弁護士という職業の存在自体は広く認識されているにもかかわらず、個人が実際に利用することは稀である。弁護士の関与が望ましいはずの契約交渉、民事紛争処理等においても、可能な限り法的色彩を持たせずに、当事者間の話合い等により解決することが望ましいという風潮が強い。裁判等の法的手段に訴えることが紛争処理の最後の手段として考えられていることと併せ、弁護士の関与もその最後の手段の一部としての認識が根強い。
従来、弁護士は、その職業の性格上、宣伝広告をするべきではないという考え方が一般的であり、弁護士ないしは法律事務所の広告は行われていなかった。この規制は近時の制度改革により2000年10月より撤廃され[3]、大都市を中心に債務整理、破産手続等を担当する法律事務所を中心に、広く一般に対する広告(主に都市周辺の私鉄やスポーツ新聞、タウンページ、ネット広告)が目立つようになってきている。
弁護士報酬(依頼者が弁護士に対して支払う費用)は、原則として各弁護士が定めるものであって統一的・客観的な基準はなく、同様に専門家のサービスの提供を受ける医療と比べても、保険制度(医療なら、医療機関を受診する際に使用する健康保険制度)が存在しないことから、あまり明確に共通認識がなされていない。実際、個人の依頼者にとっては、その報酬(費用)は高額とのイメージとなりがちであり、資金面での不安から依頼を躊躇する者も多いのが現状である。
資力の乏しい者が弁護士の援助を受ける方法としては、日本司法支援センター(法テラス)による法律扶助の制度があり、「勝訴の見込みがないとはいえない」場合に、弁護士費用や裁判費用の援助が受けられる。ただし、法テラスの援助は日本人または適法に在留する外国人に限られ、難民認定申請や在留特別許可の申請、不法滞在者の労働問題などは日本弁護士連合会が自主事業として援助を行っている。また、刑事事件では、被疑者となった場合に、1回に限り無料で弁護士の出動を依頼できる当番弁護士制度、無資力の被疑者のために弁護士費用を援助する被疑者弁護扶助制度、刑事被告人に資力がないときに裁判所が被告人のために弁護人を選任する国選弁護制度などの制度があり、また一定の重罪事件については、被疑者段階でも無資力の被疑者のために国選弁護人を付する被疑者国選弁護人制度が設けられているなど、各種の制度が整いつつある。もっとも、当番弁護士制度は弁護士自身の負担で維持されている状況であり、国選弁護人に対する報酬が低廉であること、被疑者弁護扶助制度について十分に知られておらず、貧しいために被疑者段階で本来必要な弁護人の援助を受けられない者もいるなど、問題点も多い。
訴訟代理は、従来、弁護士の独占業務であり、弁護士資格を有しない者にはできないものとされており、弁護士へのアクセスの難しい地方や少額の事件については、当事者は、弁護士を立てずに行う本人訴訟を余儀なくされていた。このような状況を改善するため、司法制度改革の一環として、弁護士以外の特定の法律専門資格の保持者(司法書士)にその関係分野や一定の金額までの紛争に限定して訴訟代理権を与えることや、隣接法律職に法廷以外での紛争解決制度(ADR)を設ける動きが広がっている。
例としては、2003年に、一定の研修を受け、認定試験に合格した司法書士(簡裁代理認定司法書士)には簡易裁判所での訴訟代理権が認められた。以前は、司法書士は法的裁判所に提出する書類の作成はできたが, 訴訟代理権は認められていなかった。簡裁代理認定司法書士は、簡易裁判所における通常訴訟や少額訴訟、民事調停、裁判外の示談交渉、和解手続(ただし、簡易裁判所の民事訴訟の対象となるものに限る)等の代理を行うことができるようになった。これらの権限の拡大に伴い、紛争当事者の権利を保護するために懲戒規定の強化がなされている。
また、代替的紛争解決制度における代理権(ADR代理権)は、司法書士の他、弁理士、土地家屋調査士、社会保険労務士の4士業について付与されることとなった。なお、行政書士、不動産鑑定士、税理士などについては、ADR法の施行後に、手続実施者としての実績等を見極めた上で、将来の検討課題とすることとされた。
個人や会社から収入を得る業務の他に、裁判所に選任され裁判所が報酬を決定する業務や日本司法支援センター(法テラス)との契約により報酬が支払われる業務などがある(刑事被疑者・被告人の国選弁護人業務、破産管財人業務、相続財産管理人業務など)。
日弁連の2000年の調査によると、弁護士の所得は平均1,701万円(粗収入から必要経費を差し引いた額)。もっとも、平均値は一部の高額所得者に引っ張られているので、中央値によれば、平均所得は1300万円となる。更に言うならば、500万円未満、1,000万円未満が4割を占めている(裁判官、検察官の退職者の多くが弁護士登録をしていることに注意。これらの弁護士の中には高齢で本格的に弁護士として稼動していないにも関わらず、名誉顧問などの名称で各事務所のパートナークラスの収入を得ている者もおり、実稼働弁護士の実質年収はさらに低下する)。 厚生年金や福利厚生、自営業であることから退職金などもないことを考えると、それらによって得られる利益を差し引くと、実質的な収入はさらに下がる。したがって、実労働時間の長さ、ミスを犯したとき多額の損害賠償請求を受けることも考えると、ハイリスク・ローリターンの職業だともいえる(『日本の法律事務所2000―弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査報告書』自由と正義53巻13号)。 また、そもそも日弁連の調査は任意のアンケート方式のため、低年収の弁護士(特にいわゆるイソ弁・軒弁・宅弁)は回答を避ける傾向にあるのではないかとしてその回答の正確性に疑問を呈する向きもある。なお、「平成18年の厚生労働省 賃金構造基本統計調査等」によると弁護士の平均年収は現在772万円とされている。刑事弁護を専門として行っている弁護士の収入は100万円前後ともいわれる。
司法制度改革で司法試験合格者が急増(2010年には3千人を突破見込み)した結果、弁護士になっても就職できない状況が生まれつつある。雑誌ではSPA!において「年収300万『下流弁護士』大量発生の闇(2007年10月16日号)の特集があり ⇒[1]<読売ウィークリーにも同趣旨の記事があったが掲載日時未確認>、TV番組でも毎日放送「VOICE 」が、2008年1月22日、3月14日 ⇒[2]などに取り上げている。
以前は独立までの間、「イソ弁」(居候弁護士の略とされる)として先輩事務所に有給で勤務するのが一般的であったが、先輩の事務所に所属はするものの無給となり「ノキ弁(電話や机を借りるだけ―軒先を借りるから)」と呼ばれる例が少なからずでてきている。軒先も借りられないのでいきなり自宅開業する「タク弁」、携帯電話のみで開業の「ケータイ弁護士」も出てきているとの指摘してもある。「試験にパスしたが年収200万」という「下流弁護士」が弁護士会で大きな問題になりつつあるという指摘もある(07年10月22日付東京新聞)。ちなみに、弁護士法人や合同事務所に勤務したり企業の法務部等に勤務するのでなければ、弁護士は自営業者である。
さらに、「司法試験に合格しても職場がない-"新卒”弁護士激増の時代」の特集でも、1990年ごろまでは毎年500人程度だった司法試験合格者が、全国津々浦々の市民に司法サービスとの要請に2007年は2500人が就職活動をしている。