学習者にとっても情報不足は深刻である。日本では教育制度の基礎的な情報は意識的に入手しようとしなければほとんど手に入らず、かなり熱意を持って調べようとしても、特に在学年齢に関する情報は非常に入手困難であるため、ほとんどの人が在学年齢に関して正しい知識を持っていない。そのため、単なる社会通念と自分の学校体験でしか、学校制度に対する認識・判断を持てなくなっている。学校選びの際の判断は、こういった「多数派における常識」のみで成り立っているような側面があるため、少数派は情報不足に直面してしまい、一般の常識では判断できず、さりとて情報もないため混乱してしまう。例えば、一部の高等学校では入学年齢に上限があるということは、一般には知られておらず、直接募集要項を読むまで分からない場合が多い。しかしながらこれとは全く逆に、「高校(特に全日制)は年齢が高いと入学できない」という偽情報がまことしやかに語られたりする場合もある。このように、正確な情報が不足しているため、正反対の誤った情報が流通しているようなケースもある。小中学校においてはさらに複雑であり、法律上は在学年齢に上限がないので高年齢者の入学は認められているものの、実際の運用では不文律として年齢相当学年を外れる生徒が所属することはあまりない。このように、教育に関する法令や公式資料を読んだだけでは実際の取り扱いは理解することができない。しかし、夜間中学校では全員が学齢超過者であるという例もあり、また一部の私立中学校では最低年齢よりも数歳年長でも入学可能であるなどの例もあり、必ずしも年齢主義一辺倒ではない。このように、「年齢上限が全くない」という考え方も誤りであり、また「学齢超過者が所属できない」という考え方も誤りである。しかし一般にはそういったことは知られておらず、考える機会すら与えられないまま、ほとんどの学齢超過者は中学校に行こうと考えることはないし、18歳を超えた人が高校に行こうと考えることも少ない。
これらのことは書籍や雑誌やウェブサイトでも同じである。一般の受験関連書籍や受験情報誌や受験情報サイト(以下、受験情報媒体と表記)は、高校までの学校については最低年齢者の受験を前提としており、年齢が高い受験生についてはほとんど触れていない。例えば、もともと高校は高年齢者が入学することを十分に許容している制度であり、社会通念でも高年齢者が在学することは理解されているにもかかわらず、一般的な受験情報媒体には、年齢が高いと入学できなくなる場合があるとは書かれておらず、最低年齢の受験生を対象にしている媒体なのだということを、社会通念で判断するしかない。このように、多数派以外は情報が著しく不足しているため、年齢制限に気づかない場合が多い。また公立高校でも年齢や中卒後期間によって調査書の取り扱いなどが変わるが、こういったこともほとんどの受験情報媒体には書かれず、教育委員会の公式情報を見たり、各私立高校の募集要項を一校ずつ見たりするしかない。中学受験においては、もはやほとんどの受験情報媒体は高年齢者の受験を無視しており、資料によっては例外的に一部の中学校の帰国生徒入試の受験可能年齢が書かれているくらいである。
小学校・中学校・高等学校・高等専門学校においては、学校教育法施行規則により「各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当っては、児童(生徒・学生)の平素の成績を評価して、これを定めなければならない」とされており、年齢や在学期間によって自動的に進級するとされているわけではないため、法律上は課程主義を取っている。
この「平素の成績」というのが何を表しているのかは諸説あるが、「試験の成績」ではないことから、進級試験や修了・卒業試験を行なってその成績で決定するのではなく、日常の試験の成績や出席日数なども含めたものだとされている。現在の一般的な公立小中学校では、学力試験の結果や通知表の評価よりも、主に出席日数を基準として解釈されている。このため、成績不良でも出席日数が十分である場合は進級できる場合が多く、また1990年代ごろからは不登校生徒の増加に伴い、フリースクールの出席も学校出席とみなすという規定が適用され、それによって進級できることが多くなっている。さらに近年はこういった施設を利用していなくても進級できる例も増え始め、出席日数ゼロでも進級する取り扱いをする場合も多くなっている。このように、課程主義であっても、ほとんど出席日数のみで進級を決定する場合は、修得主義ではなく履修主義での運営といえるため、年齢主義・年数主義と類似した運営となる。こういった学習段階を考慮せずに自動的に進級させる制度は「ところてん式進級」とも呼ばれる。ただし、私立中学では後述するように学力的な成績も考慮される場合も多い。
一方、高校・高等専門学校においては、単位取得が進級・卒業の必要条件となるため、出席日数が十分であっても単位認定に不合格となると進級できないため、小中学校よりも課程主義の考え方が強いといえる。
小学校・中学校・中等教育学校前期課程では、年齢相当学年(ねんれいそうとうがくねん)という考え方が強く浸透している。これは年齢主義で運営されている学校においては重要な概念であり、生徒の年齢によって所属することになる学年のことをあらわしている。たとえば下記の表のように、4月1日の時点で13歳である人の年齢相当学年は中学校2年生または中等教育学校2年生である。年齢相当学年に在籍している人の年齢が標準年齢であるといえる。
小は小学校の略。中は中学校、中等教育学校の略。
直前の4月1日時点の年齢6歳7歳8歳9歳10歳11歳12歳13歳14歳
年齢相当学年小1小2小3小4小5小6中1中2中3
年齢相当学年よりも高い学年に在籍することは禁止されているため、標準年齢の生徒は飛び級をすることは不可能である。一方、年齢相当学年よりも低い学年に在籍することは可能であるため、標準年齢以上の生徒は原級留置をすることが可能であるが、こういった例はかなり少数派である。すなわち、年齢相当学年に在学する生徒は、標準年齢かつ最低年齢であるが、最高年齢ではないということである。この用語は教育法上の正式な用語ではなく、法的な根拠は薄いが、実態として年齢主義の学校ではそういった概念が生まれるため、あくまで便宜的にであるが文部科学省などでも広く使っている言葉である。一方、盲学校・聾学校・養護学校の小学部・中学部においても年齢相当学年の縛りはあるが、上記ほどではなくなく、高年齢の在学者も多めである。また中学校の夜間学級・通信教育課程は例外的に学齢超過者のみを対象としているため、年齢相当学年の考え方は一切存在せず、また上記の表に当てはまらない。
日本の小中学校では戦後60年間にわたって年齢主義が続いてきたが、必ずしも問題点が指摘されなかったわけではなく、改良して行こうという動きも強い。しかし、情報不足欄に記したように、年齢主義以外の制度に対する免疫が存在しない状況では、混乱が生じる恐れもあるため、改悪になってしまわないか危惧する声もある。
官僚・識者の間にも、課程主義の導入を求める声はある。町村信孝文部科学大臣は、2002年の講演会や『教育の論点』(文藝春秋刊)掲載の文章内で、10歳の大学生や20歳の中学生がいてもよいとの見解を示した。また河村建夫文部科学大臣は、2004年に朝日新聞のインタビューに答え、義務教育段階での原級留置は今までほとんど活用されなかったが、これからはこれについて研究しなければならないとの考えを示した( ⇒キャッシュ)。