年齢主義と課程主義
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日本における学校ごとの現状


就学前教育

幼稚園では、園児の年齢によって年少組、年中組、年長組に分けられており、学年の名づけ方からも分かるように年齢主義である。この段階では学校的な学習よりも、周囲の人とのコミュニケーションなどの情緒的な内容が重視されるため、年齢で区切るのが自然だと考えられている。ただし、近年は異年齢保育が注目されている。異年齢とはいっても、この年代では1歳程度の差でも、かなり発達度の差があるため効果的なようだ。通える年齢については基本的には「就学の始期まで」となっているが、就学猶予を受けた園児は引き続き通う場合もある。


初等教育

前述したように、小学校においては、中学校高等学校と同様に進級に当たっては「平素の成績を評価」とされているため、法律上は課程主義を取っているとされる。しかし現実的には年度が替わると自動的に学年が上がるような形となっており、ほぼ年齢主義での運用になっている。このため、就学猶予原級留置が行なわれることは稀であり、学年を構成するのは同年齢集団となっている。ただし異年齢になるケースも稀ながら存在し、例えば病気などのために長期欠席をした場合や、帰国生徒などのように日本語の能力に問題がある場合は、所属できる最高学年よりも下の学年に所属する場合もある。また、標準年齢=最低年齢であるため、早期教育ギフテッド教育などを目的として標準年齢児童飛び級をすることは不可能であるが、年齢主義による高年齢者に対する強制的な飛び級が行なわれる場合もある。また学齢超過者の入学は困難である。

年齢主義について、1993年神戸市立菅の台小学校長期欠席児童進級事件判決では以下のように述べられている(抜粋)。

小学校段階では年齢により、体格・精神年齢・運動能力に顕著な差があり、一年遅れると次年度の児童の間にとけ込むのに大変な努力が必要になるし、社会的な違和感に耐える必要という著しい不利益を被ることを考慮すべきである。

一般的に義務教育では年齢主義的な学年制の運用がされているが、殊に、初等普通教育においては「心身の発達に応じて」教育を施すことを目的としており、小学校の段階では年齢により、精神年齢・運動能力・体格等心身の発達に顕著な開きがあることから、年齢別の教育が最も適するといえる。

同じ社会生活・日常生活上の経験を有する同年齢の児童ごとに教育することが最も適していると解せられる。

このように、神戸地方裁判所裁判官は、小学校においては同年齢集団に所属することが望ましいとの判断を下した。特筆すべきことは、このケースは学校側が原級留置を強要したのではなく、児童の親が出席日数が少ないことを理由として原級留置を望んだのであり、ほぼ自主的な原級留置といえるケースだったことである。それでもこういった判決が下りているため、この判決は掛け値なしに年齢主義の強さを示すものと判断できる。この判決の是非はともかく、現代の日本の多くの小学校においては、判決で指摘されているように「児童」が1歳でも年長であると特異な視線で見られるのもまた事実である。もちろん、違和感があるのは異年齢の「児童」が珍しいからであり、その原因は長年続いてきた年齢主義にあるのだが、やはり社会通念はなかなか変わらないし、現時点では個々の「児童」にそういった疎外感を背負わせるのもまた過酷である。また、小学校の在学生(小学生)は法律用語では「児童」と呼ばれることになっており、学校教育法などでは小学校の在学年齢に上限は設けられてはいないのであるが、この呼称自体が小学生は未成年者であることを想定しているかのような用語である。そのため、法の制定時は、やはり小学校にはあまり高い年齢の生徒が在学しないと考えていたのであろう。29歳で小学3年生になった八木下浩一の事例が大きく話題になったのは、これほど大きく年齢が違うのは非常に珍しいという認識があるからである。

ただし、小学校は修業年限が6年と長く、1年生と6年生ではかなり学習内容・身体発達に差があることも考慮しなければならない。例えば最低年齢の生徒同士の比較では、小1は6歳、小6は12歳と実に2倍もの開きがある。また、「9歳の壁」といわれる脳科学的な変化により、前半と後半では各種の差があると考えるべきである。このため、議論をする際には「小学校は」と全学年を一くくりに扱うことは避けるべきである。

養護学校の小学部では、個別のケースにあわせたカリキュラムを組まざるを得ないため、異年齢「児童(生徒)」が同一学年に在籍している場合も多い。また都道府県によっては学齢超過者就学推進事業が行なわれたりもしているため、ある程度学齢超過者も在学している。盲学校聾学校の小学部においてもほぼ同様とされる。ただし、小学部に在学する人は30代であっても、上記のような理由から、正式には「児童」と呼ばれるのだが…

なお、法律の条文上は少なくとも15歳まで小学校に在学することが想定されている。この部分は、学齢期終了まで小学校を卒業しなかった場合についての取り扱いを定めたものであるため、学齢を過ぎてからも在学することを制限するものではない。しかし、ほとんどの小学生の卒業年齢は12歳であり、13歳の卒業生ですら非常にまれであるため、この規定はほぼ空文化している。


前期中等教育

前述したように、中学校においては、小学校高等学校と同様に進級に当たっては「平素の成績を評価」とされているため、法律上は課程主義を取っているとされる。しかし現実的には年度が替わると自動的に学年が上がるような形となっており、一般の中学校ではほぼ年齢主義での運用になっている。このため、原級留置が行なわれることは、小学校ほどではないが稀であり、学年を構成するのは同年齢集団となっている。ただし異年齢になるケースも稀ながら存在し、例えば病気などのために長期欠席をした場合や、日本語の能力に問題がある場合の帰国生徒などは、所属できる最高学年よりも下の学年に所属する場合もある。また、標準年齢=最低年齢であるため、早期教育ギフテッド教育などを目的として標準年齢生徒飛び級をすることは不可能であるが、年齢主義による高年齢者に対する強制的な飛び級が行なわれる場合もある。また学齢超過者の入学はかなり門戸が狭いため、学習権が奪われているとされる。

現在は年齢主義の考え方が強いためと不登校生徒数が多いために、不登校を理由とした原級留置はかなり少ないが、不登校生徒数が少なかった時代は、不登校の場合は進級や卒業ができずに原級留置や退学となる場合もあった。例えば1953年には「第三学年の総授業時数の半分以上も欠席した生徒については、特別の事情のない限り、卒業の認定は与えられないのが普通であろう」という初等中等教育局長回答が出ているが、これはかなり昔の事であり、現在はこれはただの建前だとされており、ほとんどの例で卒業させている。このように、時代によって年齢主義と課程主義の間を揺れ動いている。

私立中学校においては必ずしも公立中学校と同様な基準ではなく、基本的には年齢主義の考え方も強いが、学校によっては課程主義的な考え方も強く、成績次第によっては原級留置となる( ⇒慶應義塾普通部の生活が一例)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki