小学校・中学校・高等学校・高等専門学校においては、学校教育法施行規則により「各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当っては、児童(生徒・学生)の平素の成績を評価して、これを定めなければならない」とされており、年齢や在学期間によって自動的に進級するとされているわけではないため、法律上は課程主義を取っている。
この「平素の成績」というのが何を表しているのかは諸説あるが、「試験の成績」ではないことから、進級試験や修了・卒業試験を行なってその成績で決定するのではなく、日常の試験の成績や出席日数なども含めたものだとされている。現在の一般的な公立小中学校では、学力試験の結果や通知表の評価よりも、主に出席日数を基準として解釈されている。このため、成績不良でも出席日数が十分である場合は進級できる場合が多く、また1990年代ごろからは不登校生徒の増加に伴い、フリースクールの出席も学校出席とみなすという規定が適用され、それによって進級できることが多くなっている。さらに近年はこういった施設を利用していなくても進級できる例も増え始め、出席日数ゼロでも進級する取り扱いをする場合も多くなっている。このように、課程主義であっても、ほとんど出席日数のみで進級を決定する場合は、修得主義ではなく履修主義での運営といえるため、年齢主義・年数主義と類似した運営となる。こういった学習段階を考慮せずに自動的に進級させる制度は「ところてん式進級」とも呼ばれる。ただし、私立中学では後述するように学力的な成績も考慮される場合も多い。
一方、高校・高等専門学校においては、単位取得が進級・卒業の必要条件となるため、出席日数が十分であっても単位認定に不合格となると進級できないため、小中学校よりも課程主義の考え方が強いといえる。
小学校・中学校・中等教育学校前期課程では、年齢相当学年(ねんれいそうとうがくねん)という考え方が強く浸透している。これは年齢主義で運営されている学校においては重要な概念であり、生徒の年齢によって所属することになる学年のことをあらわしている。たとえば下記の表のように、4月1日の時点で13歳である人の年齢相当学年は中学校2年生または中等教育学校2年生である。年齢相当学年に在籍している人の年齢が標準年齢であるといえる。
小は小学校の略。中は中学校、中等教育学校の略。
直前の4月1日時点の年齢6歳7歳8歳9歳10歳11歳12歳13歳14歳
年齢相当学年小1小2小3小4小5小6中1中2中3
年齢相当学年よりも高い学年に在籍することは禁止されているため、標準年齢の生徒は飛び級をすることは不可能である。一方、年齢相当学年よりも低い学年に在籍することは可能であるため、標準年齢以上の生徒は原級留置をすることが可能であるが、こういった例はかなり少数派である。すなわち、年齢相当学年に在学する生徒は、標準年齢かつ最低年齢であるが、最高年齢ではないということである。この用語は教育法上の正式な用語ではなく、法的な根拠は薄いが、実態として年齢主義の学校ではそういった概念が生まれるため、あくまで便宜的にであるが文部科学省などでも広く使っている言葉である。一方、盲学校・聾学校・養護学校の小学部・中学部においても年齢相当学年の縛りはあるが、上記ほどではなくなく、高年齢の在学者も多めである。また中学校の夜間学級・通信教育課程は例外的に学齢超過者のみを対象としているため、年齢相当学年の考え方は一切存在せず、また上記の表に当てはまらない。
日本の小中学校では戦後60年間にわたって年齢主義が続いてきたが、必ずしも問題点が指摘されなかったわけではなく、改良して行こうという動きも強い。しかし、情報不足欄に記したように、年齢主義以外の制度に対する免疫が存在しない状況では、混乱が生じる恐れもあるため、改悪になってしまわないか危惧する声もある。
官僚・識者の間にも、課程主義の導入を求める声はある。町村信孝文部科学大臣は、2002年の講演会や『教育の論点』(文藝春秋刊)掲載の文章内で、10歳の大学生や20歳の中学生がいてもよいとの見解を示した。また河村建夫文部科学大臣は、2004年に朝日新聞のインタビューに答え、義務教育段階での原級留置は今までほとんど活用されなかったが、これからはこれについて研究しなければならないとの考えを示した( ⇒キャッシュ)。しかしながら、2005年現在はまだ現実に原級留置が増加したとの報道はない。
原級留置の適用拡大に当たっては、ちょうど少子化の時期であり、教員数、教室数は余裕があるため、明治初期のように破綻することはないといわれる。また、補習や習熟度別指導などの個別指導の技術についても、明治初期とは比較にならないほど情報が蓄積されており、当時のように破綻する可能性は低い。また前述したように、原級留置が増加しても税金負担は増えないので、導入による財政負担の増加はないと考えられる。ただし現状では、義務教育期間の終了基準は年齢主義になっているものの、無償の義務教育期間を過ぎた中学生に対しても、授業料を徴収していないという例も多いため、この取り扱いを継続するならば原級留置が増加すると財政面の負担が増えることになるが、過去の指導では「(学齢超過者は)学校の収容能力等の諸事情を考慮して(受け入れるべきである)」とされているため、学齢生徒と比較すると融通が利くので、一人当たりの税金負担は少ない。また、原級留置をせずに高等学校に進学した場合と比較しても、公立高校の授業料も低廉に抑えられているため、学齢超過の中学生から授業料を徴収しないことによる、高校生との税金負担の差はあまりない。
一方、浮きこぼれ問題もやはり存在するため、戦後約60年間にわたって禁止されていた中学校以下の学校での標準年齢者の飛び級に対しては、各界から導入の要請が強いが、上記の町村発言のようなダイナミックな飛び級はまだ不可能である。また飛び入学が可能な大学数は1998年当初は千葉大学1校だったが、2005年には5校に増加しており、徐々に広まってきてはいるが、「特に優れた資質」に限定し、例外的措置とされている。また現在の教育環境では、中学校以下の学校での飛び級のような早期教育に対してはアレルギーが強く、安易に飛び級を認めると過当競争が生まれる恐れも強く、ますます受験戦争(飛び級競争)を低年齢化させるという懸念も強い。