「登山ナイフ」と呼ばれるものの用途イメージに今日最も近いものに対する、ナイフメーカー側の呼称。ユーティリティは「万能」、フィールド&ストリームは「野原と河原」の意である。主に握り易く滑りにくいハンドル(握り)をもち、多少手荒に扱っても折れたり曲がらない堅牢性を備える。また長期間風雨に晒されても性能に支障が出ず手入れもし易いよう、単純な構造の製品が主である。
登山でも職業登山家の活動や、壁面登頂や冬山登山など、あるいは狩猟などといった過酷な野外生活で、刃物が必要とされる局面において広範囲に使用する事を想定した中型?やや大型の汎用ナイフで、そういった過酷な環境下ではフォールディングナイフを一々両手を使って出し入れできない事態も想定されることから、すぐ取り出せ利用できるように旧来は鞘に収めるシースナイフを腰などに吊る様式が一般的であった。
この用途には釣った魚や捕らえた動物の解体・調理も含まれるが、木を加工して道具を作成することや、危険な野生動物よりの難を逃れるための武器といった用途も含まれており、道具としても武器としても使用できる形状となっている。今日ではフォールディングナイフでも片手で扱えるものも登場するなど必ずしもシースナイフではなく、スパイダルコ社の製品を始めとして、手袋をしたまま片手で扱える製品も見られる。
なお屋外生活向けのナイフでは、ハイキングやトレッキング、またはレクリエーション的な登山や家族連れのキャンプといったような一般的な野外活動向けにキャンピングナイフと呼ばれる簡便で様々な機能がコンパクトにまとめられたナイフがあり、これは主にフォールディングナイフである。近年の製品は信頼性が高く十分な強度を持つことから、登山でもよほど本格的な冒険行をするでもなければ、キャンピングナイフのみを携行する者も少なくない。なおキャンピングナイフに類されるものでも、ユーティリティやフィールド&ストリーム同様の苛酷な環境での利用を想定し、扱い易いロック機構や握り易いハンドル形状を備えた製品も見られる。
狩猟においては、弓にせよ、銃にせよ、獲物に致命傷を負わせる事は出来ても、即死させる事は難しい。また、一人では運びきれない大形獣を仕留めた際には、運搬に適するようにその場で解体することもある。このため、獲物に止めを刺し、なおかつ解体作業に用いても壊れない丈夫なナイフが必要となる。
ハンティングナイフには、獣皮を切り裂く鋭い切れ味と、骨に当たっても関節に差し込んで筋を切っても折れたり欠けない丈夫さが求められる。これらの解体作業に当たっては、皮を剥いだり肉を切り出したりする用途毎に違うナイフを用いる事もある。ガットフックは筋を切って解体を助け、スキナーは皮を剥ぐために刀身を薄く、形状は反り返り先端は鋭くなく作られている。またこれらハンティングナイフは、血を被っても滑りにくい、丈夫で握り易い柄の部分が必要である。
日本では、熊狩りにおいて、マタギが使うナガサと呼ばれる、伝統的なハンティングナイフも存在する。柄が後端が開いた筒状になっているものは「袋ナガサ」と呼び、熊と出くわしたりした際には立ち木を柄とする槍になる。また、アイヌ語を語源とするマキリという小型ナイフも、多用途ナイフとして北海道や東北各地に形状を変えながら使われ続けている。
重厚な作りから、ナイフコレクター等に好まれる種類でもある。
藪漕ぎする場合に草や低木をなぎ払う鉈状の特大型のナイフ。ナイフとしては非常に大きい為、他の用途には概ね不適である。野外生活においては普通のユーティリティナイフが別途必要となる。
軍事行動中において遭難などで他の装備を失った場合、それのみで生存を計る(→サバイバル)目的で設計された、大型のシースナイフ。
想定される状況によって装備は異なるが、柄を中空にしてその中に釣り糸、釣り針など自力での食料調達のための装備や医薬品を格納したり(この場合は強度の面で、柄をハンマー代わりにする事は出来ない)、墜落した航空機からの脱出などを想定して刃の背に金属を切断する鋸刃を設けたりする設計が一般的である。このほか、銃剣の機能を備えたサバイバルナイフも見られる。
また、戦地での「サバイバル」には当然敵兵との格闘戦も想定されるため、武器としての威力と堅牢性は設計の最優先課題の一つである[8]。
映画ランボーに登場して有名になったことから「ランボーナイフ」と呼ばれることもある。ちなみに同映画シリーズで使われたナイフは、米国のナイフ作家(カスタムナイフ製作者)であるジミー・ライル(ランボー・ランボー/怒りの脱出)、ギル・ヒブン(ランボー3/怒りのアフガン)に特別発注されたもので、刃渡りが30cm近くあり、実用性よりも映像的な見栄えが重視されている。戦闘を意識したファイティングナイフ(一種の剣)の中には同じ位の長さを持つナイフもあるが、サバイバルナイフとしては例外的に大きなサイズとなっており、実用性は考慮されないコレクター向けのナイフとなっている。
武器としての使用を主眼においたナイフはファイティングナイフと呼ばれる。バタフライナイフ、スイッチナイフ、トレンチナイフ、銃剣[9]などがここに含まれる。
宗教的な象徴としての意味を持つナイフもある。例えばイエメンをはじめ中東?中近東といったアラビア世界では、ジャンビーヤと呼ばれる湾曲したナイフがあるが、これは遊牧民が家畜をさばくような日常生活でも利用される一方、成人した証でもある。大人になった男子はこのナイフを与えられ、一人前とみなされる。こういった儀礼的ナイフは世界各地に見られ、その多くは美しく宝飾されていたり、あるいは彫金されているなど、一種のアクセサリー的な側面もある。
その一方で宗教的な行為に使用されるナイフも見られ、神秘主義の中には儀式において所定のナイフを使用するものがあるほか、ヒンドゥー教では新生児の枕元にマッチと共にナイフを置いて魔除けとするなどといった風習も見られる。