刑法学において、行為は犯罪評価の対象となる基本概念である。行為を基準に、構成要件該当性・違法性・有責性が具備されているかどうかがそれぞれ判断される。
行為をどのように定義するかについては諸説ある。かつては目的的行為論が有力化したこともあったが、現在では行為論それ自体はあまり重視されておらず、不作為や過失も行為であることに争いはない。
なお、判例は無意識の身体の動作は行為でないとして犯罪の成立を阻却したことがある。
基本的構成要件に該当する行為を実行行為という。かつては、形式的客観的見地から実行行為にあたるかを確定することが重要視されていたが、共謀共同正犯、間接正犯、原因において自由な行為、未遂犯における危険概念など、新しい理論が登場したため、犯罪論における実行行為概念はそれに応じて変容しつつある。
実行行為の概念については、形式的客観説と実質的客観説の対立があるが、実質的客観説が有力であり、これによれば
「犯罪実現の現実的危険性を有する行為」
「構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為」
「法益侵害の現実的危険性を有する行為」などといわれる。
この3つの表現の違いは用語の違いにすぎず、意味するところはほぼ同じといえる。
正犯に関する有力学説である制限的正犯概念?形式的客観説(規範的正犯概念)によると、「実行行為を自ら(自らの手で)行う者」を正犯という。
実行行為は「危険性」を有するものでなければならず、危険性の有無によって実行行為か不能犯かが区別される。危険性の有無の判断基準については、一般通常人の判断によって判断するという危険説が有力である。(例えば、手近にあったピストルを撃ったが、実は水鉄砲であったという場合)
特に「行為時において、一般人の認識し得た事情と、行為者の認識していた事情を基礎として、(一般通常人の判断によって)判断する」という具体的危険説が有力である。
危険性が「現実的」か否かによって、実行行為の有無(着手の有無)が決せられる。
例えば、店で包丁を購入しただけでは危険は現実的とはいえず、実行行為(実行の着手)はみとめられないため殺人罪とはなりえず、予備行為として殺人予備罪が成立しうるにとどまる。
殺人罪では、一般に「包丁を持って襲いかかったとき」「ピストルの引き金を引いたとき」に実行の着手があるとされる。
窃盗罪では、原則として「物色行為」があるときに実行の着手があるとされる。
中止犯における着手中止では、実行行為終了前に中止があったことが必要である。また、共同正犯や従犯では、原則として実行行為に加功することが要件とされる。また、ある種の犯罪では実行行為が終了することではじめて既遂罪となる。そこで、実行行為の終了時期が問題となる。
これについては、「行為者の意図と行為の外形的形態(結果の重大性)とを総合的に判断して決する」という折衷説が多数説といえる。
実行行為に関しては、不作為犯(不真正不作為犯)、間接正犯、原因において自由な行為、心神耗弱を利用する行為が問題となる。
例えば、甲が乙を狙ってピストルを1発撃ったところ、乙と丙に当たり乙が負傷し丙が死亡したとき、判例及び有力説は丙に対する実行行為と乙に対する実行行為が成立するとする。(この場合、錯誤論・故意の数も問題となる)
上の事例で乙に当たらず丙にだけ当たり丙が死亡したとき、判例は丙に対する実行行為だけが成立するとするが、有力説は丙に対する実行行為と乙に対する実行行為が成立するとする。
(実行行為とは事実ではなく法的評価であって、ピストルを撃つという1つの事実に対して、法的評価をした結果が実行行為であり、1つの事実に複数の法的評価が成立しうることに問題はないとする説が有力である。(ただし、故意の数の場合はこの点が議論されることが多いが、実行行為の数の場合は刑法学としては議論されないことが多い))
詳細は法律行為を参照
法律行為意思表示をその要素とする、表示された意思内容を実現する法的効果と結びつけられたものをいう。単独行為、契約及び合同行為があるとされる。
単独行為民法の法律用語。単独で成立する法律行為のこと。形成権の行使など。
処分行為と管理行為
処分行為財産について、単なる管理の域を超えて権利を売却して法律的に変動させたり、その目的物の現状や性質を変更する行為。
未成年者の法律行為( ⇒民法5条)
条件の成否未定の間における権利の処分等( ⇒民法129条)
短期賃貸借( ⇒民法602条)
管理行為権限の定めのない代理人の権限( ⇒民法103条)
保存行為管理行為のひとつで、財産の現状を維持する行為のこと。家屋の修繕、腐敗しやすい物の売却、期限の来た債務の弁済、消滅時効の中断、未登記不動産の登記等がある。
利用行為
改良行為
行政主体のおこなう行為を行政行為という。
作為
作為:積極的な動作。
代替的作為
不作為行政不服審査法での定義行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、これをしないことをいう。