日常用語はともかくとして、哲学では人の行為と行動とは厳しく区別しなければならない。たとえば同一の走行という行動を、逃走と追跡というふたつの行為に区別するのはその行動者の自覚的な内的意図による(今道友信)。 この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
日本の刑法学上の用語としては、行為は「人の意思に基づく身体の動静」と定義するのが伝統的通説である。周囲の事物の因果の流れに変動を及ぼす行為をいう。(例えば、刑法では、放置しておけばそのまま生存し続けていたはずの被害者を、その頚部を圧迫して窒息死させること)を作為(さくい)といい、自らの意思に基づき敢えて周囲の事物の因果の流れに変動を及ぼさない行為(例えば、足を滑らせて川に転落した被害者を、敢えて救助せずにそのまま放置すること)を不作為という。行為がなければ犯罪は成立しないという意味において、刑法学の最も基本的な概念であるといえる。 また、刑法以外の法律用語においてはある一定の法律行為や事実行為のことを「〇〇行為」と形容することがある。以下でいくつか取り上げる。
日本の刑法
刑事法
刑法
刑法学 ・ 犯罪 ・ 刑罰
罪刑法定主義
犯罪論
構成要件 ・ 実行行為 ・ 不作為犯
間接正犯 ・ 未遂 ・ 既遂 ・ 中止犯
不能犯 ・ 相当因果関係
違法性 ・ 違法性阻却事由
正当行為 ・ 正当防衛 ・ 緊急避難
責任 ・ 責任主義
責任能力 ・ 心神喪失 ・ 心神耗弱
故意 ・ 故意犯 ・ 錯誤
過失 ・ 過失犯
期待可能性
誤想防衛 ・ 過剰防衛
共犯 ・ 正犯 ・ 共同正犯
共謀共同正犯 ・ 教唆犯 ・ 幇助犯
罪数
観念的競合 ・ 牽連犯 ・ 併合罪
刑罰論
死刑 ・ 懲役 ・ 禁錮
罰金 ・ 拘留 ・ 科料 ・ 没収
法定刑 ・ 処断刑 ・ 宣告刑
自首 ・ 酌量減軽 ・ 執行猶予
刑事訴訟法 ・ 刑事政策
刑法学において、「行為」は2つの意味を有する。一方は、いわゆる「狭義の行為」(独;Handlung)であり、それによって生じた作用・結果を捨象した概念であり、他方の「広義の行為」(「所為」とも。独;Tat)は、狭義の行為からそれによる作用・結果を含める概念である。犯罪として評価されるのは広義の行為であって、狭義の行為はその構成要素に過ぎないことに注意を要する。以下、狭義の行為について説明する。
刑法学において、行為は犯罪評価の対象となる基本概念である。行為を基準に、構成要件該当性・違法性・有責性が具備されているかどうかがそれぞれ判断される。
行為をどのように定義するかについては諸説ある。かつては目的的行為論が有力化したこともあったが、現在では行為論それ自体はあまり重視されておらず、不作為や過失も行為であることに争いはない。
なお、判例は無意識の身体の動作は行為でないとして犯罪の成立を阻却したことがある。
基本的構成要件に該当する行為を実行行為という。かつては、形式的客観的見地から実行行為にあたるかを確定することが重要視されていたが、共謀共同正犯、間接正犯、原因において自由な行為、未遂犯における危険概念など、新しい理論が登場したため、犯罪論における実行行為概念はそれに応じて変容しつつある。
実行行為の概念については、形式的客観説と実質的客観説の対立があるが、実質的客観説が有力であり、これによれば
「犯罪実現の現実的危険性を有する行為」
「構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為」
「法益侵害の現実的危険性を有する行為」などといわれる。
この3つの表現の違いは用語の違いにすぎず、意味するところはほぼ同じといえる。
正犯に関する有力学説である制限的正犯概念?形式的客観説(規範的正犯概念)によると、「実行行為を自ら(自らの手で)行う者」を正犯という。
実行行為は「危険性」を有するものでなければならず、危険性の有無によって実行行為か不能犯かが区別される。危険性の有無の判断基準については、一般通常人の判断によって判断するという危険説が有力である。(例えば、手近にあったピストルを撃ったが、実は水鉄砲であったという場合)
特に「行為時において、一般人の認識し得た事情と、行為者の認識していた事情を基礎として、(一般通常人の判断によって)判断する」という具体的危険説が有力である。