大日本帝国憲法においては「安寧秩序を妨げず、及び臣民の義務に背かざる限るにおいて信教の自由を有す」と定められていたが、その後長らく宗教団体に関する一般法は作られなかった[1]。
50年を経て、1939年に宗教団体の法人化を認める「宗教団体法」が制定され、翌1940年4月1日から施行された。宗教団体の設立には「文部大臣又は地方長官の認可」が必要とされ、文部大臣は宗教団体に対し、監督、調査、認可の取り消しなどの権限を持つと定められていた[1]。
第二次世界大戦後は、日本に進駐していたGHQによって1945年10月4日、治安維持法などと共に「宗教団体法」の廃止が命じられ、日本政府は同年12月28日、勅令をもってこれを廃止し、それまでの認可性を届出性に変え、宗教法人の設立、規則変更、解散などを自由に行なえるようにした「宗教法人令」を即日施行した[2][1]。
この「宗教法人令」は当初から平和条約の発効により廃止されものとされており、それに代わるものとして1951年4月3日「宗教法人法」が公布され、即日施行された。
新興宗教の法人化が相次いでいた1958年4月22日、「宗教法人審議会」は「宗教法人法における認証、認証の取り消し等の制度の改善方策に関する答申」と題する答申を出した[1]。その内容は宗教団体の定義を明確にすること、宗教法人法と認定する基準を設けること、公告制度、役員制度、財産処分等の手続きなどの改善、公益事業とその他の事業の明確化、宗教法人に対する調査及び報告の取り扱いの明確化などであった。
しかし、この答申は当時の宗教界の反対により、「宗教法人法」に取り入れられることはなかった[1]。その後、1958年の答申でも宗教法人法に対する認証基準が不明確であることが指摘され、1966年には所轄庁となる各都道府県に対し、所轄の宗教法人に法の趣旨を普及徹底させ、規則を遵守させるよう指導すべきとの通達が出された[1]。 1988年にも文化庁宗務課が宗教法人法に対する認証の際に充分な審査をすべきとの通達を出した[1]。
1989年?1995年ころ、オウム真理教による一連の事件によって、新興宗教に対する問題や宗教法人等が話題となるようになった。一定の要件を満たしていれば所轄庁は認証しなければならなかったことや、社会を混乱させる準備や行動をしている宗教法人を見つけ出せないことなどが問題となり、改正を求める声が高まった。
国会などで一部の宗教団体は改正に反対したが、この法としては大きな改正がなされ、1996年9月に施行された。
問題点
日本国憲法の結社の自由と信教の自由に考慮し、宗教法人の「認証」に対してではなく、「認証不可」に対し厳重な手続きとなっている。
宗教法人として認証された後は所管庁のチェックがない。
宗教団体は宗教法人として認証されなくとも、布施などの寄付に対しては税金を課せられないので、問題があって解散を命じられた宗教団体の信者らが任意団体として活動を続けたとき、そこで集めた寄付に課税することができない[1]。
宗教法人は数々の税制上の優遇措置が与えられるが、非課税特権で得た利益をどんな目的に使ってもわかりにくい。そのため、形骸化したり、休眠状態にある宗教法人を買取り転売して利益を得る「宗教法人ブローカー」などにより宗教法人が商売目的や暴力団の隠れ蓑として使われたりしている[1]。アメリカやドイツでは宗教活動に実質的に関連したものだけに限り優遇措置を適用するとしており、実際に優遇する際にはその団体が政治団体化、営利団体化しているかなどを審査するという[3]。
脚注^ a b c d e f g h i 紀藤正樹 『21世紀の宗教法人法』(朝日新聞社 1995年11月30日)
^ ⇒第二編 戦後の教育改革と新教育制度の発展 第三章 学術・文化 第五節 宗教(「文部科学省」公式ウェブサイト)
^ 第二東京弁護士会 消費者問題対策委員会(編)『論争 宗教法人法改正』 1995年9月30日 緑風出版
関連項目
宗教
宗教団体
靖国神社 - 靖国神社問題
世界基督教統一神霊協会 - 霊感商法
公益法人
カルト