この公務員改革で安倍は、特に社会保険庁改革(社保庁民営化)に力を入れていた。その理由としては年金行政への信頼回復とともに、社保庁の民営化によって公務員削減の突破口にしたいとの狙いがあった[55]。しかしここでも激しい抵抗にあう。
労働政策
再チャレンジ政策
小泉政権下によって生じた都市と地方の歪や不安定雇用の増加やいわゆる格差社会の是正を掲げ、再チャレンジ政策の一環としてフリーターを正社員として採用するよう企業に要請したが、2006年8月の 経団連が会員企業に行なったアンケートによると、フリーターの正規社員採用に約9割が消極的であるとの結果であり、期待通りの成果は出なかった。「ワーキングプアと言われる人たちを前提に言わばコストあるいは生産の現状が確立されているのであれば、それはもう大変な問題であろう」と述べ、「企業も非正規雇用者が正規社員へ常にチャレンジができるように積極的に取り組むことが、中、長期的には企業への信頼感、活力も高まる」という旨の考えを示しており、偽装請負等に関しても、「法令、労働基準法に反していれば厳格に対応していく」旨を述べている[56]。
ホワイトカラーエグゼンプション(事務職残業手当適用除外制度)
「日米投資イニシアチブ報告書」に基づき、この制度を導入する予定であったが、 メディアで「残業代ゼロ法案」と批判的に報じられ、反対世論が強まったため、2007年1月17日、「現段階では国民の理解を得られない」として、国会提出を断念した。
「最低賃金」
最低賃金の抜本的引き上げは、「中小企業を中心に労働コスト増で、かえって雇用が失われ非現実的だ。」とした[57]。2007年3月の参議院の予算委員会では、「最低賃金制度を生活保護以上にしていくという改正を行ない、成長力底上げ戦略を進めていく中で、中小企業と労働者の生産性を上げることによって、最低賃金も上げるという二段構えの仕組みを検討している」考えを示した[58]。
格差問題
「格差はいつの時代もあるわけであって、格差を全くなくすことはこれは不可能であろう」、「努力した人が報われる社会をつくっていく、汗を流した人、頑張った人が、知恵を出した人が報われる社会をつくっていかなければいけない」、「結果平等の社会をつくろうとは全く思っていない」、「格差においては、これは不公平、不公正な競争の結果であってはならないし、また、社会的にこれはやはり容認できないという格差であってはならない」、「格差が固定化されてはならない」と述べている[59]。
組織犯罪処罰法(いわゆる「共謀罪法案」)について、「国際社会で組織犯罪に対応していく役割を果たす上で早期に「国際組織犯罪防止法条約」を」批准をする必要がある」として2007年1月25日召集の通常国会で成立を図るよう指示したが、反対する世論や自民党内からの反発も強いため、継続審議となった。
郵政民営化時の造反議員を復党させた(郵政造反組復党問題)。これに対しては国民から強い反発が出たため、支持率はその後低下した。
社会保障
中国残留孤児
中国残留孤児問題における訴訟では請求を取り下げられた原告団に面会し、新たな支援を検討していくことを確認した。
慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」
赤ちゃんポストも参照2007年2月23日に、熊本市の慈恵病院が赤ちゃんポストの設置を計画していることについて、「ポスト」という名前や匿名で子供を置いていけるものだということに大変抵抗を感じると反対の意向を示した[60][61]。
年金問題
年金記録問題および 宙に浮いた年金記録も参照年金記録問題では民主党の小沢一郎との党首討論で「消えた年金はどうするのか」という野党からの追及に対し「年金は消えたわけではない」として年金時効撤廃特例法案など具体的な救済案を提示した。該当者不明の年金記録5000万件の照合作業については「三千万人の方々とこの二千八百八十万件を一年間のうちに突合いたします」[62]「一年間で私たちはすべて突合を行うということをお約束をする」[62]と断言、当初2年程度を想定していた調査期間を前倒しすると表明し[63]、自民党の公式HPでも宣伝した。第21回参議院議員通常選挙の際は、安倍自身が「最後の一人まですべての記録をチェックし、まじめに保険料を払ってきた人の受給を保障する」[64]と各地で演説した。しかし、メディアや専門家からは、その公約の実現性に対して当初から懐疑的な意見が出されていた[65]。