ドメイン、界、門、綱、目、科などの、属よりも大きな区分には、最初の1文字が大文字で、それ以外は小文字の名前を用いる。 これらは属名や種小名の字体(一般にイタリック体)と同じ字体は用いない。 これらの分類群の学名を属名+種小名の前に続けて書くことはあまりしない。
さらに細分が必要な場合には、大・上・亜・下・小の接頭辞(Magn-, Super-, Sub-, Infra-, Parv-)をつける。(例:下目、上科、亜科、等)
また、科の下に"Tribe"を立てることもある。この階級に対する訳語は動物学と植物学で異なり、動物学では族、植物学では連と呼ばれる。
生物分類の基本単位は「種」だが、さらに亜種・変種・品種と、細目に分類することがある。
亜種名等は、種小名と同様の形式(一般にイタリック体ですべて小文字)で表記し、 属名+種小名の後に続けて書く。
属名+種小名+「ssp.」または「subsp.」+亜種名(ssp, subsp: subspeciesの略)
属名+種小名+「var.」+変種名(var: variantの略)
属名+種小名+「f.」+品種名(f: formaの略)
この表記を「3名法」とよぶ。ssp.等の符号は属名や種小名の字体(一般にイタリック体)にしない。なお、亜種や変種の無かった種に新たにそれらが作られた場合、元になった種には、種小名の後ろに基本亜種(変種)を示す亜種名(変種名)としてもとの種小名が繰り返される。これは新亜種(変種)の記載によって自動的に生じるものである。
なお、動物の場合、上に示した ハイイロオオカミ Canis lupus lupus のように、subsp.等の符号抜きで亜種小名を記すのが通例である。また、亜種より下位の階層である変種や型は、1961年以降、「国際動物命名規約」の適用から除かれ、現在で分類学上は意味を認められない。
園芸方面では、園芸品種名を下記のように引用符で括ったり、符号cv.(複数形はcvs.)で表記することがある。
属名+種小名+「‘園芸品種名’」
属名+種小名+「cv.」+「園芸品種名」(cv: cultivarの略)
園芸品種名は書かないが園芸品種であることを表記するには下記のようにする。
属名+種小名+「cv.」
属と種の間には「亜属」があるが、植物や菌類では属の下に節(Section)、節の下に系を用いることがある。属>(亜属>節>亜節>系>亜系>)種となる。
亜属等は特に表記しなくとも問題ないが、表記したい場合には
属名+ (亜属名) +種小名
属名+ (「Subgen.」+亜属名) +種小名 (Subgen.: Subgenusの略)
等のようにする。 亜属名等は属名と同様の形式で表記する。() で括るためこれをカウントして、亜種、変種などの時のように「3名法」と呼ぶことはない。Subgen.等の分類名は属名や種小名の字体(一般にイタリック体)にしない。分類名を表記しないと、亜属名なのか節名なのか分からないため表記されることがあるが、表記しなくても間違いではない。特に動物では節や系を用いることはほとんどないため、表記しないのが普通である。動物の場合、属名と種小名の間に() でくくられた属名と同様の形式の名称があれば、自動的に亜属名であると見なされる。
雑種は次のように表記する。ここで属名はXxx,Xxx1,Xxx2等と書き、種小名はyyy,yyy1,yyy2等と書くことにする。
種間雑種(同属他種との雑種)
「Xxx yyy1」と「Xxx yyy2」の雑種は、「Xxx × yyy3」という形式にする。(掛け算の記号「×」は雑種を意味する記号。エックスと間違わないこと。 yyy3は雑種につけた種小名である。)上記のような表現では、どういう種と種の雑種かわからないので、それを明記したい場合は、「Xxx yyy1 × Xxx yyy2」という形式にすることもある。
属間雑種(他属との雑種)
「Xxx1 yyy1」と「Xxx2 yyy2」の雑種は、 「× Xxx3 yyy3」という形式にする。(Xxx3は雑種につけた属名、yyy3は雑種につけた種小名である。)
属が変更された種については、次のようになる。まず命名者については、命名者名が括弧でくくられ、その後に変更者の名前を書くことになる。また属名には性があり、基本的に種小名の語尾は属名が男性のときには-us、-is、女性のときには-a、-is、中性のときには-um、-emとなる。そのため属の変更によって種小名の語尾が変化することがある。
その他 記号、略号など
「+」
キメラを表す。例えば植物では接ぎ木したような場合。
「et」または「&」
「〜と〜」を意味し、命名者を繋ぐ。「Xxx yyy Aaa et Bbb」なら「Aaa氏とBbb氏が学名Xxx yyyを命名」ということになる。
「et al.」または「& al.」
「その他」を意味する "et alii" (英語の "and others" )の略であり、命名者が3人以上の場合、筆頭命名者の後に続けて他の命名者を省略する場合に用いられる。
「.」
略。たとえば「L.」は「Linnaeus」の略である。
「:」
命名規約で指定している著書によって『認可』されている学名は、命名者の後に「:」を伴ってその認可者の名前を書く場合がある。(例:Friesによる認可名は「:Fr.」、Persoonによる認可名は「:Pers.」)『認可』されている名前は、先行同名や他の異名に対しての優先措置があるため、特にこの様な書き方をする。(ただし、動物命名規約には認可という措置もこの様な記号用法も無い)
「hort. ex.」
正式な学名が与えられていないという意味。例としてはハッサク「Citrus hassaku hort. ex」など。
「f.」
通常は品種formaの略号であるが、命名者の後ろについている場合は、その人の息子という意味になる。例えば「L. f.」ならリンネの息子という意味。ただし動物学では基本的に用いられず、どうしても必要な場合はファーストネームのイニシャルによって区別される。
関連項目
生物の分類
種
模式標本
国際動物命名規約
国際植物命名規約
国際細菌命名規約
Encyclopedia of Life - 学名をもつ種すべてについて記載することを目指すオンラインの百科事典プロジェクト
外部リンク
⇒学名の表記(茄子のご陽庭)
⇒学名解説 @ GLNからこんにちは - 植物の学名の意味を解説。
⇒花の名前(千葉大学園芸学部・花卉園芸学研究室より - 植物の分類や学名の表記について解説)
⇒生物の名前と分類(生物の分類学と学名に関する総合解説)
⇒国際植物命名規約(セントルイス規約)
⇒国際動物命名規約第4版(2000年1月)
⇒国際細菌命名規約(1990年改定)
カテゴリ: 分類学 | 名前
更新日時:2008年6月20日(金)13:25
取得日時:2008/08/15 07:46