交叉申込とは契約の当事者が偶然に相互に内容の合致する申込みをなすことをいい、この場合にも当事者間の意思表示の合致が認められるから契約が成立する。
意思実現とは申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立することをいう( ⇒526条2項)。意思の実現ともいう。
契約が有効に成立すると、当事者はこれに拘束され、契約を守る義務が生じる。契約により生じた債務を、債務者が任意に履行しない(債務不履行)ときは、債権者は、訴訟手続・強制執行手続を踏むことによって、債務者に対し強制的に債務の内容の実現を求めることができる(強制履行、現実的履行の強制)。また、債務不履行が発生した場合、債権者は、契約の解除をしたり、債務者に対し損害賠償請求をすることができる。
債務不履行の内容としては、約束の期限までに品物を届けなかった(履行遅滞)、品物を壊してしまって債務を履行できなくなった(履行不能)、品物を引き渡したものの欠陥があった(不完全履行)の3類型が挙げられる。
契約の当事者は、契約によって発生した債権を行使し、債務を履行する。民法などの規定と異なる契約をした場合でも、その規定が任意規定である限り、契約の内容が優先する。「契約は当事者間の法となる」といわれるゆえんである。
契約はただの合意・約束とは違って、裁判を通じてその内容を強制的に実現することができる(強制執行などを参照)。 また、契約に違反すれば、契約に規定された違反時の責任(違約金など)が生じるほか、民法上も債務不履行責任や、場合によっては不法行為責任を負うこともある。
民法には契約の効力という款をおいているが、実際上「契約の効力」の問題とされる事柄はつまるところ「債権の効力」の問題なのであって、債権総則の章において規定されている。そして、債権総則では包含しきれないような契約関係(特に双務契約)独自の規定を契約の効力の款においている。特に双務契約については、対価的関係にある債権債務の牽連関係について以下の3つの規定をおいている。
成立上の牽連性 - 原始的不能
履行上の牽連性 - 同時履行の抗弁権( ⇒533条)
存続上の牽連性 - 危険負担( ⇒534条)
契約は、公序良俗に反する場合(90条)や、強行法規に反する場合(91条)、無効となる。契約を構成する申込み又は承諾が無効である場合(93条ただし書など)も、「その契約は無効である」と表現される。同様に、契約を構成する申込み又は承諾が取り消された場合(96条1項など)にも、「その契約は取り消された」と表現される。意思表示の有効性と契約の有効性を区別する意味がないため、このような用語法の混乱が生じている。
契約は解除することによって終了することができるが、契約が解除される場合には大きく分けて二つある。
一つは当事者の片方が一方的に契約を解除する場合であり、通常「解除」といえばこちらを指す。このとき、解除契約を一方的に解除する権限(解除権)が法律の規定によって一定条件(例えば債務不履行など)のもと発生するものを法定解除権といい、契約などで定めた条件に従って発生するものを約定解除権という。
上記の意味の解除については、講学上、遡及効を有するものを「解除」、有さないものを「解約(告知)」と分類することがあるが、民法の法文上はともに「解除」である。 もう一つの解除は、契約の当事者で話し合って契約をなかったことにする合意解除である。合意解除も「契約をなかったことにする契約」という一つの契約である。
解除も参照
債務不履行
履行遅滞( ⇒541条)
履行不能( ⇒543条)
不完全履行( ⇒543条)
原状回復義務( ⇒545条)
担保責任追及
合意解除
用語
三面契約それぞれ独自の主体的立場の異なる三人の当事者の間で成立する契約。
第三者のためにする契約( ⇒537条)契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約する契約。
商法における契約
契約の申込みを受けた者の物品保管義務( ⇒商法510条)商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。
行政主体(国や地方公共団体がその典型例)が結ぶ契約のことを特に行政契約と呼ぶ。行政主体が私人との間で結ぶ行政契約の例は多岐に及ぶが、公共施設を借りたり、補助金の交付を受けたり、公共事業を請け負う場合や、なんらかの協定を結ぶ場合などが挙げられる。また行政主体同士で結ばれる契約も行政契約の一つである。
行政契約も契約の一種だが、行政主体がその当事者であるため特殊な考慮が必要となる場合がある。例えば、本来ならどのような契約を結んでも良いのが原則であるが(契約自由の原則)、行政主体に権力的権限をあたえるような契約は制限される。さもなければ権力的な行政作用は法律に基づいて行われなければならないとする「法律による行政の原理」が骨抜きにされかねないからである。さらに、合理的理由のない差別的な取扱いについても禁じられると考えられている(平等原則の適用)。また、本来ならば契約を結ぶか否かも自由なはずであるが、水道などの契約においては契約を締結する義務が課されている場合もある。
判例
⇒売却処分無効確認等(最高裁判例 昭和62年05月19日)普通地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約は、当該契約を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える法令の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効となる。
英米法においては、契約とは2名以上の当事者間で結ばれた法律上強制力のある合意を意味する。契約の成立要件は申込み、承諾、約因、 ⇒契約能力、合法性の5つであり、原則として約因を必要とするのが大陸法諸国との大きな相違点である。さらに、一定の契約は詐欺防止法の規定に従い書面により作成されなければならない。 この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。