1958年に世界保健機関(WHO)総会で「世界天然痘根絶計画」が可決され、根絶計画が始まった。中でも最も天然痘の害がひどいインドは天然痘に罹った人々に幸福がもたらされるという宗教上の観念が浸透していたため、根絶が困難とされた。WHOは天然痘患者が発生すると、その発病1ヶ月前から患者に接触した人々を対象として種痘を行い、ウイルスの伝播・拡散を防いで孤立させる事で天然痘の感染拡大を防ぐ方針をとった。これが功を奏し、根絶が困難と思われていたインドで天然痘患者が激減していった。
この方針は他地域でも用いられ、1970年には西アフリカ全域から根絶され、翌1971年に中央アフリカと南米から根絶された。1975年、バングラデシュの3歳女児の患者がアジアで最後の記録となり、アフリカのエチオピアとソマリアが流行地域として残った。
1977年、ソマリアの青年の患者を最後に天然病患者は報告されておらず、3年を経過した1980年5月8日にWHOは根絶宣言を行った。天然痘ウイルスは現在、アメリカとロシアのレベル4施設で厳重に管理されており非公開になっている。天然痘は現在自然界においてウイルス自体存在しないものとされ人類が根絶した感染症として唯一のものである。
日本では1955年の患者を最後に根絶された。
WHOによる根絶運動により、1976年以降予防接種が廃止された。
現在では天然痘ウイルスのDNA塩基配列も解読されており解析はほぼ終了している。
「種痘」というワクチン接種による予防が極めて有効。感染後でも4日以内であればワクチン接種は有効であるとされている。また化学療法を中心とする対症治療が確立されている。
根絶されたために根絶後に予防接種を受けた人はおらず、また予防接種を受けた人でも免疫の持続期間が一般的に5〜10年といわれているため、現在では免疫を持っている人はほとんどない。そのため、生物兵器としてテロに流用された場合に大きな被害を出す危険が指摘されている。
天然痘そのものは根絶宣言が出されたが、類似したウイルスの危険性を指摘する研究者がいる。研究によれば、複数の身近な生物が類似ウイルスの宿主になりうることが示されており、それらが変異すると人類にとって脅威になるかもしれないと警告している[1]。
天然痘はかつての伝染病予防法では法定伝染病に指定されていた。2008年現在、感染症法で一類感染症に指定されている。
天然痘にかかったとされる有名人
藤原四兄弟(藤原武智麻呂、藤原房前、藤原宇合、藤原麻呂):737年の平城京での大流行によって感染、死亡。
エリザベス1世
ルイ15世
ヨシフ・スターリン:顔にははっきりと痘痕が残り、醜い容姿であったとされる。影武者には痘痕がない。
伊達政宗:隻眼のため「独眼竜」の異名で知られる奥州の戦国大名。幼少時に発症し、右目を失明。
豊臣秀頼:顔にあばたを残した。
上田秋成:両手の一部の指が大きくならず、結果的に小指より短くなるという障害を負った。
孝明天皇:ただし、一部に異説(他殺説)あり。
夏目漱石:自身では疱瘡としているが、幼少時天然痘にかかっていたとされる。
緒方洪庵:幼少期に発症、のちに日本における天然痘対策(ワクチンの普及)に尽力。
中島知子:お笑いコンビオセロのツッコミ(正確には弱毒ワクチンから感染した「仮性天然痘」)。
脚注^ " ⇒天然痘:類似ウイルス、今もアフリカ毒ヘビに寄生の可能性" 毎日新聞. 2007年7月10日閲覧.
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更新日時:2008年8月10日(日)08:21
取得日時:2008/08/17 00:04
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