車両面における大阪市の特徴としては、前述した初期に開業している第三軌条使用路線が(以下便宜上、第三軌条線と称す)、いずれもほぼ同じ規格で作られていることが挙げられる。
一般に日本の地下鉄では新路線を建設するたび、新技術の投入または他社線との相互乗り入れのため規格の見直しが行われることが多く、異なる路線では車両の融通が利かないことも多い(ただし一世代前と後の路線では規格が似通っていたり、車両検修設備などを共用する目的から、線路を繋げて車両が回送されるケースも比較的よく見られる)
しかし大阪市では堺筋線まで、既存の郊外鉄道への直通を企図した構造の路線が建設されなかったため(相互直通運転の北急、近鉄は第三軌条線となった)、市営第三軌条線は全線同一の規格となった。車内信号を使用する千日前線や、後に他社線と直通することになった御堂筋線・中央線では、路線別に仕様の個別化が若干必要とされるが、軌間や車両サイズなどの基本寸法が同じであることに変わりはない。
前述の形式別解説を参照しても、一部路線でしか使用歴のない形式もあれば、第三軌条線のほとんどで使用された形式も存在する。以前の大阪市では、異なる第三軌条線でも同じ外観・車体色の車両が使用されていたが、前述のラインカラーの明確化にともない1970年代半ばより、基本的な塗り分けパターンは同じだが、正面や側面窓下などのラインカラー部だけ色を変える新塗装が施された。これによりラインカラーによる識別性は、他都市の地下鉄と同程度に向上した。
第三軌条線は御堂筋線と四ッ橋線、ないし谷町線と中央線と千日前線、それぞれのグループで線路が繋がっており、両グループにまたがって車両転属をする場合は陸送が必要となるが、(特に50系から30系を製造していた頃は)新規区間開業や輸送力増強が相次ぎ、編成替えもともなう転属が頻繁に行われてきた。
もっとも第三軌条線の大半が新20系で占められてからは、多少の転属は発生しているもののも、ほとんどの編成は特定の一路線で使用、以前ほどの頻繁な転属は行われなくなり、他都市の地下鉄に近い状況となった。
その他
関西圏の鉄道事業者は車両メーカーを1社に絞っていることが多いが、大阪市営地下鉄は公営事業者としての立場から入札制を維持し、主要5社(川崎重工業・近畿車輛・東急車輛製造・日本車輌製造・日立製作所)すべてに発注している。
新車置き換えのタイミングなどから、短期間で廃車される車両も多かったが、20系登場以後は車体更新工事(20系に関しては制御装置の更新も同時施工)を推進させる傾向になりつつある。
2007年度は約225億円の黒字を確保した。大阪市営地下鉄は、2005年度に44年ぶりに実質的な黒字決算となって以来、順調に黒字を伸ばしており、2007年度決算でも一般会計から15億円の補助金を繰り入れているものの、それをはるかに上回る利益を上げている。この収支改善の要因としては、景気回復による御堂筋線を中心とした乗車人員の増加、市政改革に伴う経費削減効果などが挙げられる。2007年度の1日平均の地下鉄乗車人員は、2006年度比約18,000人増の約238万人となった(日本全国の地下鉄の経営状況は日本の地下鉄の項目を参照のこと)。
大阪市営地下鉄においては、長らく「御堂筋線の黒字で他路線の赤字を補う」という決して健全とは言えない収支状況が続いていた。近年では、御堂筋線以外にも谷町線が黒字に転じてきていたものの、この2路線以外は赤字運行が続いていた。しかしながら、2008年度決算においては、この2路線以外でも収支改善が順調に進んでおり、四つ橋線、今里筋線は赤字幅が拡大したものの、それ以外の路線については赤字幅が縮小、中央線に至っては黒字転換を果たした。中央線の黒字転換については、近鉄けいはんな線との相互直通運転が軌道に乗ったこと、臨海部の土地売却が進展したことなどが挙げられている[2]。
ただ、御堂筋線の営業収益が2007年度比で30億円減となるなど、これからの経営状況については不安定要素もかいま見られる他、今里筋線の乗客伸び悩みなど問題も多いと言える。
2006年5月8日に関西経済同友会は「大阪市営地下鉄とバス事業の民営化」を提言した。これを受けて關淳一大阪市長は、交通局の経営形態について、完全民営化も選択肢に含めた検討を進める方針であった。しかしながら、2007年11月18日に行われた市長選挙において關市長が落選、後任の平松邦夫は、交通局の経営形態について、「当面現行の地方公営企業のままとし、任期中に住民投票条例を制定した上で民営化の是非をはかる」と表明しており、当面は民営化論議は収束するものと見られる。
2008年度の路線別での経常収支は以下のとおりになっている[3]。なお、地下鉄ではないが、大阪市交通局が地下鉄と一体的に運営している南港ポートタウン線(ニュートラム)の経常収支についても以下に記す。
路線純損益
御堂筋線351億2100万円の黒字
谷町線46億6100万円の黒字
中央線38億8800万円の黒字
四つ橋線7億800万円の赤字
千日前線31億200万円の赤字
堺筋線5億8500万円の赤字
長堀鶴見緑地線81億3600万円の赤字
今里筋線107億8600万円の赤字
南港ポートタウン線9億3400万円の赤字
その他(乗務員の運転業務も含む)
1992年8月1日から、各駅発車時における車内自動放送にて英語のアナウンスが追加され、地下鉄路線同志で接続している駅での乗り換え案内ではそれまでの「○○線、××方面は乗り換えです。」から「○○線は乗り換えです。」に簡素化されている。この日本語部分のアナウンスは1999年4月1日、それまでの津田英治から秀平真由美に交代し現在に至っている。
2008年度までに、不整脈を発症した乗客などの救命を行う医療器具「自動体外式除細動器」 (AED) を地下鉄の全駅に設置する予定。
2006年度は御堂筋線20駅(御堂筋線全駅)に29台、谷町線13駅に14台、四つ橋線6駅に6台、中央線5駅に5台、千日前線3駅に3台、堺筋線4駅に4台、長堀鶴見緑地線4駅に4台、今里筋線11駅に11台(開業時から設置)、南港ポートタウン線(ニュートラム)2駅に1台(コスモスクエア駅は中央線と共用)の合計68駅に77台設置する[4]。