大相撲
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力士の待遇

力士には、地位によって以下の待遇の違いがある。

地位幕内十両幕下三段目序二段序ノ口
大銀杏丁髷
服紋付羽織袴着物・羽織(外套・襟巻も着用可)着物・羽織着物(浴衣もしくはウール)
博多帯ベンベルグ
履物足袋に雪駄足袋に雪駄(エナメル製)素足に雪駄(エナメル製)素足に下駄
稽古廻し白色・木綿黒色・木綿
取り廻し博多織繻子黒色・木綿
下がり取り廻しの共布紐
足袋の色白黒
控えの敷物私物の座布団(色は自由)共用の座布団(紫)共用(畳)

このほか、

三役以上の力士

初日と千秋楽に行われる協会挨拶で理事長と共に土俵に上がる。


幕内以上の力士

横綱土俵入りで露払いや太刀持ちを務めることができる。


十両以上の力士

力士会に参加できる。

幕下以下の力士が付け人として付く(地位が上がるほど人数も増える)。ちゃんこ作り、掃除、買出しなどの部屋の雑用も原則免除。

相撲部屋において個室が与えられるか、別居が許される(幕下以下の力士は、共同の部屋で寝起きする)。

起床時間など生活の自由度が飛躍的に増す。

巡業・本場所などの興行で自分の名前が入った幟(のぼり)を立てることができる。

化粧回しを締めて土俵入りを行う(十両と幕内は別に行われる)。

支度部屋に明け荷を持ち込むことができる(横綱は3個、横綱以外は1個)。

取組では、力水、力紙、塩を使用する(幕下上位の取組の場合で、進行が早い場合は塩を使用することがある)。

一人前の力士の敬称である「関取」「?関」と呼ばれる。

優勝力士に頼まれて優勝旗を持ち、優勝力士と一緒にオープンカーに乗って優勝行進できる。


幕下以下の力士養成員でも本場所で十両力士と対する場合、弓取り式を行う者、初っ切り、甚句、断髪式の時は大銀杏が結える。

の違いがある。


待遇の歴史

歴史的に見て、力士は永く薄給で酷使されてきた。江戸時代には本場所の興行収入は一部の年寄たち(相撲会所、現在なら相撲協会に相当)によって山分けされ、看板となるような人気力士、花形力士は別として、大半の力士への給与はなけなしのものだった。

三役力士ともなれば、大名家からお抱えとされ、藩士としての報償を受け取り、また贔屓客からの祝儀もあった。こうした力士は地方巡業へ出掛ければ各地の興行主(勧進元)から引く手あまたであって、むしろ懐は他の武士階級より潤っていたが、そうでない大半の力士は、細々と自主興行による「手相撲」で地方巡業を行い食いつないでいた。もちろん、いわゆる「力人信仰」から来る善意の喜捨も多く、本当に食うにこまるまで困窮する力士も少なかったが、本場所で「星を売る」、いわゆる八百長行為も横行していたと見られており、現在でも度々、八百長行為の存在が指摘されている。

明治に入って以降も、大名家が藩閥政治の有力者となった以外、こうした状況は変わらなかった。そのため力士による待遇改善要求は度々おこり、昭和における春秋園事件はその最後にして最大のものだった。相撲取りが相撲を取ることによって生計が立つようになったのは、昭和に入ってからと言って良い。

1958年(昭和33年)、こうした相撲界の体質が国会でも問題視されて以降、月給制など力士の待遇改善の試みが進んだ。それでも、年6場所と相撲協会主導の地方巡業によって、一年のほとんどを拘束される力士たちに対して、「時給で見れば世界でもっとも可哀想なプロスポーツ選手」などの声もある。一方で、税金対策や引退時の退職金制度など、表面に表れにくい部分で他のプロスポーツよりむしろ充実しているという見方もある。たとえば、国技館内には力士のみならず一般の診察も受け付ける相撲診療所があったり、社会保険組合を独自に運営している点(プロ野球選手は国民健康保険)、また厚生年金制度を導入していること(プロ野球選手は基本的に国民年金)など、外からは見えにくい部分での福利厚生が充実しているとも言える。

金銭の面に関しては、角界というのは、とにかく後援者(タニマチ)からの祝儀が大きな収入源のひとつになっている。各力士によってタニマチの大小はあるが、横綱・大関などへかなり有力な人物がタニマチとしてバックに付くと、優勝すれば1,000万以上の祝儀が集められるという。とくに千代の富士全盛時は一晩で5,000万集まったという。横綱の月給が282万であり、他のプロスポーツのトップクラスに比べて相当に安いのだが、これは角界ではこういった後援者からの祝儀が表面の給与に比べて大きな比重を占めているという現実がある。とくに年寄株の取得資金、部屋経営の資金、有力学生相撲選手の獲得資金など、角界はタニマチなしでは成り立たない構造となっている。


伝統とそれによる問題点

大相撲は、力士が大銀杏などまげ(髷)を結うなどの大和民族の伝統的・古風な文化の他、土俵上への女性の立ち入りを認めない(春場所では当時の大阪府知事太田房江による知事賞の直接授与が認められなかった)など、男性優位の「伝統」が強く保たれている。

横綱審議委員会と言う諮問機関や、一部の事務職を外部から採用している以外、すべて元力士(年寄)によって運営され、その閉鎖性は繰り返し指摘される。かつてはおおむね年寄は短命であり、年寄株もむしろ余り気味なのが通例だったが、近年では空き株がほとんどない状況が続いている。結果として年寄株の高騰を招き、「準年寄」制度の導入などで対応したが、それでも数々のトラブルが発生している。なお、準年寄制度は2007年に廃止された。

小錦、若乃花(花田勝)、といった、大関・横綱を務め人気もあった人たちが次々協会を離脱しているのには、芸能界格闘技プロレスなど他分野に新天地を求めたい気持ちがあるが、親方になっても日本相撲協会から雇われる身という将来が保証されていない現状であり、そうした先行きの不透明感も一因としてあると言われている。

さらには、伝統に対して対立していた朝青龍に対し多々の問題に関して、日本相撲協会が2007年には2場所出場停止と謹慎という異例の処分を下したことにより日本並びにモンゴルのマスメディアがこの処分を大々的に報道し、騒動となった。

なお、年寄になるためには、日本国籍が必要である。大相撲界の大和民族主義と運営の閉鎖性の問題もあるが、これは日本相撲協会が文部科学省所管の財団法人であることが大きい。

現実に外国出身で三役、横綱まで務める者が現れているが、彼らは協会に残るために日本国籍を取得(帰化)している(前述の元関脇・高見山、現・東関親方など)。

また、度々力士養成員の手当金の親方による着服疑惑とそれによるトラブルが指摘され続けているが、関取になったときに力士として認められるという慣習ゆえに、対応が取られた様子は当然ない。

大相撲の公演中、升席では喫煙が認められていたが、健康増進法の施行に伴い、2005年(平成17年)1月場所から全館禁煙となった(室内スポーツの観覧席で唯一タバコが吸えたのが大相撲の升席であったが、以前から他の観客や力士の健康や防災面からも異常との指摘も多く、ようやく重い腰を上げた形である)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki