外交官は、外交使節団に属する。外交官として認められるためには、派遣する国がその者を外交官として派遣することを接受国(受け入れる国)に打診し、合意(アグレマン)が成立する必要がある。アグレマンが成立した場合に該当者は接受国内において外交官と認められ、派遣した国を代表する交渉相手として扱われるほか、外交特権を享受する。接受国側がその者を外交官として扱うべきではないと判断した場合、ペルソナ・ノン・グラータの通告を行うことで、外交官としての立場を失う。ペルソナ・ノン・グラータの通告は事前(着任前)でも事後(着任中)でも良い。
外交官の種類は慣習国際法上一定の原則があり、日本もこれに則って外交官の名称を「外務省設置法」、「外務公務員法」(昭和27年法律第41号)及び「外務職員の公の名称に関する省令」(昭和27年外務省令第7号)により次の通り定めている。但し、参事官?在外公館警備対策官については、外務大臣が「公の便宜のために必要があると認める場合には、国際慣行に従い、第二条及び第三条に掲げる公の名称の一又は二以上を用いることを命ずることができる」ものであり、戦前は官名であったが現在は正式の官名あるいは職名ではない(正式の官名は外務事務官)。その為、外国に赴任して大使、公使、総領事、参事官等になった者も、国内に戻ると大使、公使、総領事、参事官ではなくなるが、儀礼的にこれらの職名で呼ばれる場合がある。また、外交儀礼上、本来の職位よりも一段上の「公の名称」を名乗ることが許される場合がある(名称大使、ローカルランク)。
特命全権大使
特命全権公使
在外公館たる公使館の公館長。但し、日本の公使館は全て大使館に格上げされたため、現在では、全世界の大使館のうち、年次が上位の者数人がこの名称を用いている(それ以外の、大使館ナンバー2は単に「公使」という)。通常は大国の日本大使館の公使が特命全権公使であるが、どの国がそうかは人事上のローテーションによって年々変わる。
参事官
書記官(一等?三等書記官・外交官補)
主として外交事務に従事する職員。このうち、外交官補は、大使館等に配属された語学研修を行う若手外交官のみが用いる。
領事官(総領事・領事・副領事・領事官補)
主として領事事務に従事する職員。この内、総領事の名称を用いるのは在外公館たる総領事館の在外公館長のみである。このうち、領事官補は、領事館等に配属された語学研修を行う若手外交官のみが用いる。
理事官(一等?三等理事官・副理事官)
主として外交領事事務に直接関連する業務に従事する職員。但し、現在は三等理事官以外はほとんど存在しない。
外務書記
外交事務、領事事務または外交領事事務に直接関連する業務の一般的補助業務に従事する職員。但し、現在は存在しない。
電信官(一等?三等電信官・電信官補)
主として電信符号の組立て若しくは解読又は電気通信事務に従事する職員。但し、現在「電信官」という公称を用いることを命じられている外務省職員はおらず、電信担当官は「書記官」又は「領事」の名称を用いている。なお、2004年(平成16年)に起きた上海総領事館員自殺事件で自殺した外務事務官は電信担当の領事である。
通訳官(一等?三等通訳官・通訳官補)
主として通訳事務に従事する職員。但し、現在「通訳官」という公称を用いることを命じられている外務省職員はおらず、通訳は語学に秀でた職員が随時担当している。
翻訳官(一等?三等翻訳官・翻訳官補)
主として翻訳事務に従事する職員。但し、現在「翻訳官」という公称を用いることを命じられている外務省職員はおらず、翻訳は語学に秀でた職員が随時担当している。
防衛駐在官
諸外国の駐在武官に相当。在外公館に勤務し、主として防衛に関する事務に従事する職員。事実上、全員が陸・海・空自衛隊から出向している幹部自衛官(主に佐官クラス)であり、自衛官としての身分及び外務事務官としての身分を併有して任命される。自衛官としての階級を公称し、自衛官の制服を着用し、儀礼刀を佩き、飾緒を着用する。この防衛駐在官は全員自衛官で占められており、外務省出身者や他の省庁からの出向者は一切いない(が、法文上は自衛官に限られるものではない)。通常はこれに加えて参事官、書記官等の名称も同時に用いる。
医務官
在外公館に勤務し、主として医務に関する事務に従事する職員。外務省が募集した医師が用いる名称だが、通常はこれに加えて参事官の名称も同時に用いる。
在外公館警備対策官
主として在外公館の警備に関する事務に従事する職員。警察官・自衛官・海上保安官又は公安調査庁職員が出向して任命されることが多い。通常はこれに加えて「書記官」又は「領事」の名称も同時に用いる。
この内、
大使、公使、領事:外務大臣の申出により内閣が任免し、天皇がこれを認証する(認証官)。
参事官、書記官、理事官、外務書記などの外交職員:外務大臣が任免する。
外交職員(特別の技術を必要とする外交領事事務などに従事する。):外務大臣が外務省令で定めるところによって任命する。
大半の外交官は国家公務員I種試験(平成12年までは外務公務員I種試験、公務員試験の項参照)および外務省専門職員試験、国家III種試験等に合格して外務省に入省した職員から選ばれる。前者出身の外交官を俗に「キャリア外交官」と呼称し、外務省本省の多くの幹部職や、主としていわゆる大国に駐在する大使等はほとんどこちらから任命される。それに対して、後者出身及び同等の経歴の者から任命される外交官を同様に「ノンキャリア外交官」と呼称することがあり、その多くは栄進したとしても本省のごく一部の幹部職や中小国駐在の大使等で外交官としての経歴を終わることになる(キャリアの項も参照)。
なお、例外的に一部の大使や公使には学識経験者等の民間人や他省庁出身者が任命されることもある。また書記官には各省庁からの出向者が、在外公館警備対策官等には警察庁・防衛省・公安調査庁・海上保安庁からの出向者が、それぞれ任命されることもある。