執行役
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沿革

委員会設置会社に相当する制度は、2003年4月施行の株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法)改正により、委員会等設置会社として導入された。当時は、商法特例法上の大会社ないしみなし大会社のみが導入することができ、初年度に導入を決定した企業は36社であった。

その後2006年5月施行の会社法において、委員会設置会社に名称を変更して引き継がれた。会社法では、定款に委員会を置く旨の定めを設けることで、その規模を問わず委員会設置会社となることができるよう制度が改められた。その他、業務の適正を確保するための体制( ⇒416条1項ホ)を取締役会が決定することが義務付けられたなど、細かな改正点がある。


機関

委員会設置会社には取締役会と執行役がおかれ、取締役会の中には指名委員会、監査委員会、および報酬委員会がおかれる。その一方で監査役監査役会)を設置する事はできない( ⇒327条4項)。また常に会計監査人の設置が必要である(327条5項)。


取締役会

取締役会の権限は業務意思決定と個々の取締役及び執行役による職務執行の監督である( ⇒416条)。この点については従来までの取締役会とさほど変わりはないといえる。しかし委員会設置会社における取締役は原則として業務の執行をすることはできず、それは執行役にゆだねられる( ⇒415条)。ただしドイツの場合と異なり取締役は原則として執行役を兼任することができ( ⇒402条6項)、アメリカのように取締役会構成員の過半数を社外取締役とする必要はない。

取締役会の中には指名委員会、監査委員会、および報酬委員会の3つの委員会(三委員会)を必ず設置しなければならない。これらのうち一つでもかけてはならないが、新たな委員会(例えば訴訟委員会や顧客対応委員会など)を設けても構わない。各委員会の委員は取締役会決議で選ばれた3名以上の取締役で構成される( ⇒400条1項)が、どの委員会にも属さない取締役をおいても差し支えない。各委員会は次の役割を持つ( ⇒404条)。

指名委員会(404条1項)株主総会に提出する取締役の選解任に関する議案内容を決定する。

監査委員会監査委員は、委員会設置会社若しくはその子会社の執行役若しくは業務執行取締役又は委員会設置会社の子会社の会計参与支配人、使用人を兼ねることができない( ⇒400条4項)。取締役および執行役の職務が適正かどうかを監査し、株主総会に提出する会計監査人の選解任・不再任に関する内容を決定する(404条2項)。監査委員による執行役等の行為の差止め( ⇒407条


報酬委員会(404条3項)取締役および執行役の個人別の報酬内容、または報酬内容の決定に関する方針を決める。執行役が委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねているときは、当該支配人その他の使用人の報酬等の内容についても、決める。

各委員会の決定は拘束力を持ち、委員会を構成する取締役の過半数は社外取締役でなければならない点が業務適正化の要となっているが、我が国では、委員を選解任する取締役会のメンバーは執行役が多数を占めることが可能であり、それが通例である。また、監査委員会以外の委員会では、執行役が委員を兼任できる。

なお従来2年であった取締役の任期は1年に短縮されている( ⇒332条3項)。


執行役

委員会設置会社には執行役をおかなければならない( ⇒402条1項)。選任・解任は取締役会決議で決せられ(402条2項、 ⇒403条1項)、任期は1年である(402条7項)。

執行役が数人いる場合、その各執行役が担当する業務の分掌および指揮命令系統が取締役会によって定められる。また、取締役会によって執行役の中から代表権を行使する代表執行役を選任しなければならない。ただし執行役が一人しかいない場合にはその執行役が当然に代表執行役となる( ⇒420条1項)。執行役は委員会を設置しない株式会社にいう業務執行取締役( ⇒363条1項2号)に、代表執行役は代表取締役にそれぞれ相当するといえる。また、前述したように、執行役と取締役は原則として兼任することができ、実際にも兼任している場合が多い。

執行役は、実際の業務を執行するだけでなく、取締役会から委任を受けた事項について自ら業務の執行の決定を行うが( ⇒418条)、取締役会が執行役に委任できる事項は、従来型ガバナンス制度と比べて極めて広範に及ぶ( ⇒416条4項)。これによって、委員会設置会社では、執行役による迅速な業務執行が可能になる。


株主総会権限の変化

委員会設置会社の株主総会は依然として会社の最高意思決定機関であると考えられているが、その権限は会社法に規定されている事項および定款で定めた事項に原則として限定されることとなった。

利益処分案についての承認がその権限から外された。すなわち、貸借対照表損益計算書株主資本等変動計算書・個別注記表の計算書類は一定の場合、定時株主総会で承認があったとみなされる( ⇒439条)。その代わり、取締役の任期を1年に短縮することで株主総会の取締役会に対する監督機能を維持した。これは、所有と経営の分離の表れとして、株主総会の権限を取締役に対する人事権に集約したのだともいわれる。


導入の状況

委員会設置会社は、執行役の権限強化による経営の迅速な実行を可能にするため、あるいはアメリカ企業を親会社にもつ企業が親会社と組織構造を連携させたり、外国人投資家へのアピールを狙って導入され始めたが、2002年から2005年までの東証一部上場企業の時価総額合計の伸び率は30%近いのに対して委員会設置会社のそれはマイナスとなっており、投資家の評価が高いとは言えない状況である。

一方、監査役をおく既存の体制をとる会社は、委員会設置会社に移行しなくても経営の効率性が図れる、あるいは移行すると監査機能が形骸化するなどを移行しない理由とするが、それらの会社でも社外取締役や執行役員制度の導入がますます進んでいる。


問題点

士気の低下従来的な人事制度では、大手企業の場合、平社員を振り出しに最終的には取締役、社長などへ昇格することがひとつの目標としている場合が多い。社外の者が取締役になることで、社内のモラール(士気)の低下などが危惧される。

人材の確保委員会設置会社においては最低2名の社外取締役が必要となるが、アメリカと比べて経営者の労働市場が流動的でない日本において経営を監督できる資質をもった社外取締役を確保できるのか危惧される。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki