これらの被害を防ぐため、耐震補強により建造物の耐震性を高めるなどの対策がとられる。日本においては、建築基準法などにより耐震基準が定められている。また、より硬い地盤に建物の基礎を固定することで耐震性を高める方法もある。保険業界や企業を中心に、地震による被害のリスクを算定する地震PMLという手法も普及している。
また、地震への防災や備えの目安として、地盤の揺れやすさや地震動に見舞われる確率といった地図も作成されている。危険度が高い地域では、啓発による被害軽減の効果などが期待されている。しかし、危険度が低い地域では安心感が生まれたり防災意識の低下につながったりするのではないかという批判や、海底断層をはじめとした基礎データの不足、確率論による予測の限界といった問題もある。
また、原子力発電所をはじめとして、揺れによる災害の危険性が高い建造物については、建設の前の環境アセスメントの段階で、地盤の強度や周囲の断層の位置・活動度などを調査し、なるべくリスクの低い場所に立地するような対策が取られている。これについては、調査が十分に行われない可能性、未知の断層や新たな断層が発生する可能性もあることが問題となっている。
普段においては、防災訓練や防災用品(非常食や非常袋など)の準備などが代表的な対策として挙げられる。また、過去の災害の例を学んだり体験談を聴いたりすることも有用であるとされ、教育や地域において講演会として行われたり、書籍となったり、インターネット上で公開されたりしている。
過去に発生した地震1906年サンフランシスコ地震後の町の様子。建物が崩れ、煙が上がっている。スマトラ島沖地震による津波に襲われたスマトラ島の町の様子。水や流木が町のほとんどを覆っている。
世界の年間平均地震発生回数
マグニチュード回数
8.0以上1 (注1)
7.0〜7.917 (注2)
6.0〜6.9134 (注2)
5.0〜5.91,319 (注2)
4.0〜4.913,000 (注3)
3.0〜3.9130,000 (注3)
2.0〜2.91,300,000 (注3)
⇒USGSの資料による。
注1:1900年以降の平均。
注2:1990年以降の平均。
注3:推定。
過去に発生した世界中の地震の詳細なリスト、規模や被害による順位については地震の年表を参照
有史以来、世界各地で無数の地震が発生している。その中で、多くの被害を出した地震も多数発生している。日本では、1960年以降に気象庁が正式に命名した地震が、現在約30個あるほか、それ以前にも多数の被害地震が発生している。
世界では、1年間にM5以上の地震が平均約1,500回、M2以上の地震が平均145万回発生している。数の上では、世界で発生する地震の1割程度が日本付近で発生しているといわれている。1996年から2005年の期間中では、世界で発生したM6以上の地震の2割が日本で発生した ⇒[2]。また、1980年から1999年までの20年間で、1年当たり平均約280人が地震により亡くなっている ⇒[3]。 日本で地震、震災として多く取り上げられる地震として、1923年の関東大震災がある。この地震では、日本の歴史上最多となる10万人以上の死者を出し、首都東京を含む広い範囲に被害を与え、火災の被害も大きかった。1995年の兵庫県南部地震は都市部を襲った地震の典型例であり、その後の建築基準法の見直しや防災意識の変化などに大きな影響を与えた。2004年の新潟県中越地震では震災後の避難生活に関する問題が大きく取り上げられるようになった。また世界的には、津波により多くの死者を出した2004年のスマトラ島沖地震などがある。
人類史上、死者が最も多かった地震は、1556年1月23日に中国 陝西省で発生した華県地震で、約83万人が死亡した。これは2番目に多い唐山地震の公式統計による死者数の3倍以上である。また、人類史上、最も規模が大きかった地震は、1960年5月22日にチリ西岸で発生したチリ地震で、マグニチュードはモーメントマグニチュード(Mw)で9.5だった。
地震の発生の頻度が過去と比べて増加したかどうかということは、局地的に見ることはできても、全世界的に見ることは現状では難しい。地震の発生数のデータは、地震計の精度の向上や観測点のネットワークの状況などに左右される。世界的に見ても目が細かい日本の高感度地震観測網でも1990年代後半以降のデータであり、世界を見ても微小地震・極微小地震を捉えられるような観測網は少なく、海底となればその傾向は顕著である。
地震による被害を軽減するために、人類は揺れに強い建物を造る努力を続け、現在では大地震に耐えられるような建物を造ることができるまでになった。一方で、地震の発生時期を予測して被害を軽減しようと、数千年前から地震予知を試みてきた。しかし現在でも、一般には、地震の発生を事前に「正確に」予知することは困難とされている。
ひと口に地震の予知と言っても、そこにはさまざまな範囲や形式が考えられる。端的に言って「何月何日の何時に、何処でどれだけの規模の地震が発生する」といった範囲・形式での予知を、科学的な手段による根拠を提示して行うことは、少なくとも現時点では不可能と言ってよい。
地震調査研究本部の作成した「確率論的地震動予測地図の試作版(地域限定−西日本)平成16年3月25日(地震調査研究本部、平成16年3月25日)」(参考「 ⇒「全国を概観した地震動予測地図」報告書」)では、東海・東南海・南海などで30年以内に40〜50%(50年以内なら80%以上)の確率で地震が起こると試算している。これらの地域では長さ数百kmの断層全体が一度に動き、広範囲に被害が及ぶような地震が度々起きたことが判っているが、「次」がいつ起きるのかはわからない。
地震学者や行政が公式に認め取り組んでいるのは、ほとんどが地学的な見地に基づいた地震予知である。また一部の研究者は従来の地学的手法とは異なる観測方法を用いた地震予知を研究している。これらのほかに、地震前に広く見られると言われている種々の前兆現象(宏観異常現象)を予知に用いる研究をする人もいるが、地震学者からはほとんど認められていない。
地学的な理解の概略としては、地殻にたまったエネルギーがひずみとして蓄積され、それが数秒〜数分という短時間に一気に解放される現象が地震である(もっとも数日〜数ヶ月に渡って解放されるスロースリップ現象なども、広義の地震には含まれる)。