地震
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地震の原因論とメカニズム論の展開

日本では古来より「地中深くに大ナマズが存在し、その大ナマズが暴れることにより大地震が起きる」という俗説が信じられていた。その為なのか、一部の人々には今でもナマズが暴れると大地震が来ると信じられている。だが、ナマズが地震を予知できる根拠は見つかっていない。また、鹿島神宮にはこの大ナマズを抑えるという要石があり、地震の守り神として信仰されている。地震避けの呪歌に、万葉集の歌を使った「ゆるぐともよもや抜けじの要石鹿島の神のあらむ限りは」というものがある。

中国では古来から、陰陽説の考え方を背景にして、地震とは陰の性質を持った大地から陽の性質を持った大気が出てくるときに起こるものという説明があった。

北欧神話においては地底に幽閉されたロキが、頭上から降り注ぐ蛇の毒液を浴びたときに震えて地震が起きるとされている(詳細はロキを参照のこと)。ギリシア神話ではポセイドンが地震の神とされた。

一方、古代ギリシアでは、自然哲学者アナクシメネスが大地の窪みにずり落ちることが原因だと考えた。アナクサゴラスは地下で激しくが流れ落ちることを原因と考えた。その後、アリストテレス四元素説を基に、地震は地中から蒸気のようなプネウマ(気、空気)が噴出することで起こると説明した。これらを受けて、セネカは地下での蒸気の噴出によって空洞ができ、そこの地面が陥没するときに地震が起こるという説を立てた。時は変わって、アラビアではイブン=スィーナーが、地面が隆起することが原因だとする考えを示した。

18世紀には、リスボン地震をきっかけにジョン・ミッチェルが地震の研究を行い、火山の影響で地中の水蒸気が変化を起こすことが原因という説を発表した。

19世紀末には、お雇い外国人として日本にいたジョン・ミルンやジェームス・アルフレッド・ユーイングが地震を体験したことがきっかけとなり、世界初の地震学会として日本地震学会が設立され、地震計の開発や地震の研究が一気に進み始めた。地震の波形から震源を推定する方法が発見されたり、アンドリア・モホロビチッチがモホロビチッチ不連続面を発見して地球の内部構造の解明の足ががりとなったりした。後に帰国したミルンはイギリスで地震の研究を進めて同国に近代地震学が確立されるきっかけを作り、現在イギリスには世界中の地震の観測情報を集積している国際地震センター(ISC)が設置されている。

また20世紀に入って、リチャード・ディクソン・オールダムが地球の(コア)を発見、ベノー・グーテンベルグがグーテンベルク不連続面を発見するなどし、地球物理学が次第に進展するとともに、アルフレート・ヴェーゲナー大陸移動説から発展したマントル対流説海洋底拡大説プレートテクトニクスにまとめられ、地震の原因として断層地震説と弾性反発説が定着した。

ただ、断層地震説と弾性反発説によって一度否定された岩漿貫入などは、2説を補完する説として考える学者もいる。また、地球空洞説に原因を求めるなど、これらとはまったく異なる説を展開する学者や思想も、少数ながら存在している。


地震動・地震波と揺れ地震の波形。黒:東西動成分、青:南北動成分、赤:上下動成分。P波とS波の伝わり方を示した動画

断層のずれによって発生した振動は、地震波という形で周囲に伝わる。地震波には大きく分けて実体波と表面波の2つがあり、実体波はP波とS波、表面波はレイリー波とラブ波にさらに分類される。一般的に地震計で計測されるのは実体波のみであり、震度やマグニチュード、震源位置の推定などは実体波の計測結果から計算される。地震が発生したとき、基本的には、初めに小さなゆれを起こすP波が来て、少し経ってから大きな揺れを起こすS波が来る。しかし、揺れの大きいP波によって被害が出ることもあるほか、震源が近くにある場合はP波とS波がほぼ同時に到達することもある。地震波を振動として捉えた場合は地震動と呼び、両者は使い分けられる。

地表では、P波による揺れが始まってからS波が到達するまでは、初期微動と呼ばれる比較的小さい揺れに見舞われる。その後、S波が到達した後は主要動と呼ばれる比較的大きい揺れとなる。また震源から近い場所では、P波が到達する前後にレイリー波も到達し、同じく揺れを引き起こす。海上のなどでは、P波のみによって発生する海震と呼ばれる揺れに見舞われる。

被害を引き起こすような揺れのもとは主にS波だが、レイリー波、ラブ波、P波も振幅や周期によっては被害を引き起こすような揺れとなる。地震波(振動)の周期が、被害を受ける構造物(あるいは構造物の固有振動)と関係していることは、地震工学や建築工学においては重要であり広く知られているが、一般的な知識としてはあまり浸透していない。

例えば、日本家屋のような木造住宅は周期1秒前後の短周期地震動が固有振動周期にあたるため、周期1秒前後の地震動によって共振が発生し非常に強く建物が揺さぶられ、壊れやすく被害が拡大しやすい。一方、高層建築物は周期5秒以上の長周期地震動が固有振動であり、地震波が堆積平野を伝わる過程で発生しやすい長周期地震動によって、平野部の高層建築物の高層階では大きな被害が発生する。このほかに、M9を超えるような巨大地震の際に観測される、超長周期地震動または地球の自由振動と呼ばれる周期数百秒以上の地震動がある。この超長周期地震動の中には地球の固有振動周期に当たる地震動もあり、地球全体が非常に長い周期で揺れることもある。

地下の構造、特に地面に近い表層地盤の構造や地下のプレートの構造によって、地震動全般に対する揺れやすさ、揺れやすい周期、あるいは地震波の伝わり方が異なる。そのため地震の際、震度が震央からの距離に完全に比例して、きれいに同心円状に分布することはほぼない。稀に震央と異なる地域で揺れが最も大きくなることがあり、異常震域と呼ばれる。

また、多くの地震計は周期0.2〜0.3秒前後の地震動を感知しやすいため、周期0.2〜0.3秒で大きく周期1秒で小さい地震では震度に比べて被害が軽かったり、逆に、周期0.2〜0.3秒で小さく周期1秒で大きい地震では震度に比べて被害が甚大だったりといったことが起こる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen