職員の採用・昇任・降任・転任・免職・懲戒などの人事権は、法律又はこれに基づく条例・規則・規定に従い、地方公共団体の長のほか、議会の長、行政委員会の委員長、代表監査委員、警視総監、道府県警察本部長、消防長、消防団長、地方公営企業の管理者等に与えられている。これらの者を任命権者という。
成績主義とは、採用、昇任、転任及び降任のすべてがその職員の能力の実証に基づいて行われなければならないという考え方のことである。 これは、猟官主義(猟官制・スポイルズシステム)に対立する制度であり、政治的介入や党派的利益を排除し、行政の安定性、能率性を確保することを目的とする。 すなわち、成績主義を導入することで、政治と行政を分離し、職員に、中立的な立場から、住民福祉の向上のために全力を挙げることを求め、またそれを可能とする環境を確保しようとしているのである。
なお、成績主義に反して任用を行った者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処される。
地方公共団体が職員を採用する場合、それぞれの地方公共団体ごとに競争試験を行う。一般的に区分は上級(大卒程度)、中級(短大卒程度)、初級(高卒程度)に分かれる。区分は地方公共団体により異なり、学歴制限が設けられていることもある。人事委員会が置かれる地方公共団体については人事委員会が、人事委員会を置かない地方公共団体については任命権者が競争試験を行う。(⇒公務員試験)
人事委員会を置く地方公共団体における競争試験による職員の任用については、試験ごとに任用候補者名簿(採用候補者名簿・昇任者候補者名簿)を作成する。任用候補者名簿には、採用試験又は昇任試験において合格点以上を得た者の氏名及び得点がその得点順に記載されている。任用候補者名簿は、人事委員会の議決により確定し、その後は、原則として、いかなる変更又は訂正も行うことはできない。
人事委員会は、作成した任用候補者名簿のうちから任命権者に採用すべき者1人につき高点順の志望者5名を提示し、任命権者はこの中から所要の職員を採用する。
職員の採用・昇任については、原則として競争試験によらなければならないが、人事委員会の定める職について人事委員会の承認があった場合に限り例外的に選考が行われる。
選考が行われるのは、
選考によって十分適格者が得られる場合
競争試験によって適格者を得ることが困難と思われる場合
に限られる。
人事委員会を置かない地方公共団体においては、職員の採用・昇任について、競争試験によるか選考によるかは任命権者にゆだねられている。
地方公務員法には、給与に関する基準(給与決定の根本原則)として
職務給の原則
均衡の原則
給与条例主義の原則
が定められている。
職務給の原則地方公務員法第24条第1項「職員の給与は、その職務と責任に応じるものでなければならない。」において、給与が職員の勤務に対する対価であることを示すとともに、給与は職務と責任に応じて決定されなければならないというものである。
均衡の原則地方公務員法第24条第3項で地方公務員の給与について「生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」というものである。
給与条例主義の原則給与法定主義に基づき、地方自治法第203条第5項及び第204条第3項において、報酬、給料、手当の額並びにその支給方法は条例で定めなければならないと規定するとともに、同法第204条の2において、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには職員に支給してはならないと定められている。
また、地方公務員法においても、第24条第6項「職員の給与、勤務時間その他勤務条件は条例で定めることとし、これに基づかずにはいかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない」というものである。
地方公共団体の職員の給与については、地方自治法では次のように定められている。
非常勤職員
報酬(第203条第1項)
常勤職員
給料(一般でいう基本給)(第204条第1項)
職員手当(第204条第1項)
扶養手当
地域手当(2006年度より調整手当から代わって支給)
住居手当
初任給調整手当
通勤手当
単身赴任手当
特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)
僻地手当(これに準ずる手当を含む。)
寒冷地手当
特殊勤務手当
時間外勤務手当
宿日直手当
管理職特別勤務手当
夜間勤務手当
休日勤務手当
管理職手当
期末手当
勤勉手当(いわゆるボーナスとして期末手当とともに支給されるが、基準期間内の勤務日数によって支給率は異なる)
期末特別手当
義務教育等教員特別手当
定時制通信教育手当
産業教育手当
災害派遣手当
退職手当
議会の議員については、条例により期末手当を支給することができる(地方自治法第203条第4項)。
企業職員・技能労務職員(単純労務職員)については、地方自治法は適用されず、労使間の協約によって取り決められる。
報酬、給料、手当の額並びにその支給方法については条例で定めなければならない(同法第203条第5項、第204条第3項)とされている。なお、実際の報酬・給与(=給料+手当)の額の決定方法、支給方法については給与規則などに定められている。
支給水準は、同地域の民間企業に比べて高いという声が根強い。これは、人事委員会が、官民比較の対象とする事業所を「50人以上」としているためであり、中小の事業所が多い地方ではこういった不満が強い。一方において、ラスパイレス指数や一時金の支給水準が国家公務員を下回るようになってきているため、労働組合などからはこうした声に反論する動きもある。また、技能労務職員(単純労務職員)の7業種(清掃職員、学校給食員、用務員、自動車運転手、守衛、電話交換手及びバス事業運転手)は、全ての業種において民間よりも高いという調査結果を総務省が明らかにしている。
公務員は、団体交渉権、争議権を制限されており、給与を適正に維持する目的から人事委員会が民間の賃金や経済状況を勘案の上、給与の勧告を議会及び地方公共団体の長に対して行う。人事委員会を置かない地方公共団体においては、議会及び長において、地方公務員法第14条に定める情勢適用の原則に従い、適切な措置を行う。
人事委員会の給与の勧告は、法的な拘束力はないが、任命権者はほぼその勧告に沿った形で、給与改定を行うことが多い。また、国家公務員の給与に関する人事院勧告も大きな影響がある。
なお、地方公務員と国家公務員の給与を比較した指標としてラスパイレス指数があり、総務省、各地方自治体が公表している。
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。(地方公務員法第30条)
以下に述べる服務上の義務規定に違反した場合は、懲戒処分の対象となる。
職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。(地方公務員法第31条) ただし、職員の服務上の義務は、任用(採用)によりいわゆる特別権力関係に入ることによって当然に生じるものであり、服務の宣誓をすることによってはじめて義務が生ずるわけではない。