地下鉄
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ニューヨーク市地下鉄の入り口アール・ヌーヴォー様式のパリ地下鉄の入り口

地下鉄の他に地上の鉄道路線や高速鉄道などの複数の路線が乗り入れるターミナル駅は地上構造物を共有している場合があるものの、地下鉄のみの駅は地上に駅舎の設備を備えず全てを地下に備えている駅が多いことが特徴的である。

多くの地下鉄駅の場合、地上の構造物はいたってシンプルであり、地下へと繋がる昇降設備、つまり駅への入り口のみで構成されている。だが、地上・地下への階段の昇り降りは、障害者や高齢者にとっては地下鉄の利用の妨げとなっている。そこで、近年各国で新設されている路線ではこれらの人のために、エスカレーターエレベーターを設置するなどして駅をバリアフリー化する試みが行われることが常である。

地下鉄しか乗り入れていない地下鉄駅の入り口はバス停留所のように歩道へ設置されていることが多く、一目で地下鉄駅だと認識できるような工夫がされている。この例として、地下鉄を運営する団体や路線のロゴを掲げたりペイントアートを行ったりする例が挙げられる。また、駅構内の広大な壁面を利用し、広告の掲示や絵画などの美術作品の展示が行われることもある。

地下鉄のプラットホームは地下にあることが多い。地下にある場合、換気設備や消火設備の重要性が特に高いため、常に整備する必要がある。しかしながら、駅の構造や予算の問題等で十分に整備が行き届いていない路線が多いのが現状とされる。1990年代以降に建設された一部の路線には、落下防止柵やホームドアの設置といった安全対策も行われている。また、地理や言葉に不慣れな乗客のために構内の放送だけでなく、プラットホームに列車の行先・種別を表示したり、駅名をアルファベットで表記したり、案内用として各駅に固有の番号を付けたりする(駅ナンバリング)など各種の配慮が講じられるようになってきている。


車両バレンシア(スペイン)の車両の内部

開業当初のロンドン地下鉄の車両は蒸気機関車だったため、石炭を燃焼した際の煙を水槽内の水に通過させることにより空気中に排出される煙を抑える構造を備えていた。

その後は電気鉄道となるが、概ね幅2500mm程度、長さ15000mm程度の小柄な車両が用いられた。その後、幅2800mm、長さ18000mm程度までに大型化する。第二次世界大戦後はさらに車両が大型化し、東アジアでは幅2800?3200mm、長さ20000mm程度の大型車両が用いられる例(東京ソウルシンガポールなど)もある。一方で建設費の点でトンネル断面を小さくした結果、車両も特殊な小型車とする例(イギリス・ロンドンのチューブ、グラスゴーブダペストなど)もある。

車両性能は高速性能より高加減速性能や登坂性能が重視される。このため、電動車の比率が高い。道路下など狭隘な土地に建設されるために急曲線・急勾配が多く、駅間距離も短いためである。

車体は大量の人員を輸送する関係で多くのが取り付けられている。全長18000mm以上の車両を中心に片側4扉以上の車両もあるが、世界的には1両当たり片側3扉が主流である。また列車の編成長は欧米で100?120m前後、アジアでは200m程度のものもみられる。

座席は欧米ではクロスシートの例が多く、アジアではロングシートが多い。また宗教的な理由や痴漢対策という観点から女性専用車両が導入されている国がいくつかある。

素材には外板には燃えにくい金属材料を使用するのはもちろんのこと、内装材にも不燃性、難燃性の素材が推奨されている。これは避難経路の限られた地下空間での火災の発生が大惨事を招く可能性が高いためである。しかし内装材については、日本などの一部の国を除いては依然として可燃性の素材が用いられていることが多い。中には古い全木製の車両が走っている地下鉄もある。

地下鉄車両の冷房化はそもそも欧州では必要なところが少ないが、それ以外でも遅れた。これには以下の理由がある。車内を冷房すればそれによって発生する熱が車外に放出され、トンネル・駅が暑くなる。次に冷房用の低電圧の電気を生むには車両に積んでいる様々な機材に対してそれ用の発電設備を別に積まなくてはならず、その場所を確保できなかった。そもそも第三軌条を採用した地下鉄には、冷房装置を積むだけの空間がなかった。

しかし、技術の進歩によってこれらは解決された。大きな要因は制御方式に抵抗器を用いないサイリスタチョッパ制御インバータによる可変電圧可変周波数制御(VVVF制御)が普及したことがあげられる。これによって車両から熱源を無くすことが可能になり、さらに冷房用の電源を積むスペースもできた。その電源には電動発電機より小型のSIV(静止型インバータ)を採用することで、より省スペース化を図ることができる。冷房装置そのものについても小型化がすすみ、第三軌条の車両でもその天井に薄型のものを置けるようになった。

現存する特殊な車両を用いる例として、ゴムタイヤ式が挙げられる。フランスと日本でそれぞれ開発された。フランスで開発されたものはカナダモントリオール万国博覧会の際に最初に建設された。これはゴムタイヤを使用した最初の路線であった。通常のレールと車輪を案内とし、その外側にゴムタイヤとその踏板を設ける方式である。他にパリ、メキシコシティでも同様の方式が採用されている。これに対し、日本の札幌で実用化されたものは走行用のゴムタイヤのほかに中央に1本の案内軌条を作り、それをゴムタイヤで挟む方式である。ゴムタイヤ方式では騒音の発生が少なく、発車時の加速や停車時の減速が滑らかであるという特徴を持つが、消耗したタイヤ粉塵が舞うことから健康被害を心配する声もある。また、転がり抵抗が鉄車輪式に比べ大きいので消費電力が多く、定期的にタイヤを交換する必要がありランニングコストが鉄車輪式よりも高くなる。タイヤにはラジアルタイヤが用いられており、パリでは過去にパンクした際、内部のスチールコードが第三軌条と接触して短絡する事故も起きている。

建設費を抑える為、1980年頃からは性能を保持したまま車両を小型化することが可能なリニア誘導モーターによる非粘着推進の車両が登場した。

車両の搬入については地上に置かれた車両基地へ送る、地下の車庫の直上に搬入用の穴を設けてクレーンで下ろすといった方法がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki