塩水(海水や化石塩水(化石海水ともいう))との交換、塩基置換、などの水質変化・進行現象を解釈する際に、以下のような当量比で区分する。
Na / Cl
Mg / Cl
SO4 / Cl
これらにより、塩基置換・炭酸の変化・有機物の分解・酸化還元などを、地下水と地層の接触時間や、滞留時間等の解析として用いられる。
溶存成分により、仮想的な結合を考え、その塩類によって区分を行う。これは温泉の区分で行われている方法である。
鉱工業の発展に伴い地下水が汚染される例が多く地域でみられる。日本においては、汚染水を地下に浸透させることを禁止してからあまり年月が経っていない。例えば、大阪の鉱山保安法適用事業所 (OAP) において地下55m付近もの深部において汚染が確認されており、人間の経済活動が清浄な地下水を利用し、汚染してきた歴史の悪例である。さらに、健全な水循環は人間活動を行う上で必須の条件であり、都市部と言えども緊急時においては清浄な地下水の確保が生命線となるので、都市における地下水環境保全が求められている。
地下水を長期にわたって最大の利益を得るように利用するために、地下水を保全する視点を持つ必要がある。特に地下水は、地下水の特徴からくる制約事項がある。
地下水は貯留量が大きいが、地下に賦存しているが故、それを直接目視することができない。また貯留量が大きいが故、利用する(揚水)に際して、その反応が現れるまでに時間を要する。したがって、地下水を管理する場合は、長期的視点に立つ必要がある。
地下水への涵養(かんよう)量は貯留量に比べてわずかであり、揚水量が涵養量よりも上廻っている場合、貯留の減少が起き安定的に利用できなくなることに加え、地盤沈下が発生する。
昭和40年代ごろより、地下水は、公共財的性格が強い(地下水は流動し私有地に滞留しているものではない(水循環の一翼を担う)、周辺も含めた土地の環境機能の根幹をなす)とする立場の「公水論」と、土地所有者が井戸などを設置して個人的に利用できるものであることから私的財産に含まれるとする「私水論」が議論されている。昭和30年代頃より激しくなった地盤沈下の原因が、地下水の揚水によるものと結論づけられた昭和40年代頃より始まった議論である。
法的には土地の所有権について「法令の制限内に於いて其の土地の上下に及ぶ」(民法207条)としていることから、地下水は私有財産とされているが、公水とする判例もでている。現在まで国の各省庁による議論が行われてきたが、定まった・統一された地下水に関する考え方はない。
同様の議論は土壌、特に土壌汚染対策において土壌環境機能を将来にわたり制限してしまうことについて、土壌環境機能の公共性と、土地そのものを構成する物質としての私有財産の議論がある。土壌は地下水のように移動せず、また土地を構成する主体であることから、公共性については概念のみ提案されている。
1990年代の中頃より地下水汚染が各地で表面化し、それまでの地盤沈下防止対策、そして世論の環境意識の向上により、地下水を公水として考える社会的背景が形成されてきている。一方、土地所有権を地盤を所有する権利という視点に立てば、地下水は地盤を構成する三要素(1.岩石・土粒子等の固体、2.地下水等の液体、3.空気等の気体)のうちの一つと考えられることから、地下水は土地所有権に付随するものという概念は、今なお残されていることに留意が必要である。なお地下水は、自由に流動する液体であることから、私有財産に相当しないとする考え方もある。
参考文献
「諸外国及び我が国における地下水法制度等調査(平成3年度地下水利用評価調査報告書)」国土庁長官官房水資源部(平成4年3月)p.314
日本では、戦後、安価な水源として地下水が利用されてきたが、1960年代ごろには過剰な地下水の揚水により特に都市部において地下水位が著しく低下した。そのため、地層は失った地下水の分量だけ収縮していき、地盤沈下が発生することとなった。公害問題として地下水が注目された最初のケースであり、全国各地で地下水の揚水を規制する条例が制定され、地下水の利用は沈静化していった。1990年代ごろからは、低下していた地下水位の回復も見られ始めた。以前とは逆に、地下水位の上昇により上野駅地下ホームが押し上げられ、その浮き上がりを防止する対策工事が行われるなどの問題も発生している。
地下水は、人間の各種活動に欠かせない資源であるが、一方では人間の産業活動にともなう各種の化学物質等による汚染が各所で発生している。例えば農業で使用する農薬や、工業等により排出される廃棄物が地中に浸潤することで、地下水汚染が発生している。
今後も地下水を貴重な資源として利用していく上で、地下水の汚染をいかに防止するかが重要な課題である。また、地下水汚染の発生抑止のためには、地域での地下水循環の実態を把握することが不可欠である。
その反面、必ずしも十分かつ的確な地下水観察が行われていないという課題もある。例えば、日本では大阪アメニティパークというマンションにおいて敷地境界付近で環境基準の1700倍の重金属による地下水汚染が検出されている。平成17年に開催された学識経験者や環境コンサルタント等で構成する検討委員会(平田健正座長)では敷地外の地下水汚染の調査の必要性について活発な議論がなされた。その結果、敷地周辺の地下水汚染調査は当面実施しないとされた。その後(翌平成18年)、行政の指導により敷地周辺の地下水汚染調査が実施され、地下水環境基準の400倍の地下水汚染が発表された。検討委員会考え方と実際の結果が異なっていたことで、検討委員会の行政上の位置づけや委員会の基本的な姿勢について、注目されている。
有害物質を含む地下水が川や池等に流れこむと地下水に含まれていた有害物質は凝集沈殿し、水底に堆積する。底質に多くの有害物質が蓄積されると底質汚染が引き起こされる。水底や底質に生きる動植物が体内で有害物質を濃縮蓄積し、食物連鎖を通してさらに高濃度の有害物質が動物の体内で形成され、やがて人がそれを食するようになり、健康被害が懸念される。
脚注^ 榧根勇 『地下水の世界』 日本放送出版協会、1992、p57-62
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