圧力鍋を用いた調理は基本的に、加熱、加圧、蒸らし、減圧の、計4つの段階がある。加熱して圧力調整用の錘が蒸気で動き始めるまでの時間が加熱時間、そのあとやや火力を絞って、圧力をかけ続けるのを加圧時間、加熱を終えて放置するのを蒸らし時間、と呼ぶことが多い。そして最後の工程が圧力調整弁の錘を外すなどして、圧力を逃がす減圧作業となる。通常これら4つの工程を足したものが調理時間とされ、キッチンタイマーなどで計りながら調理を進めていくことになる。
調理後に弁を操作して減圧を始める際、止まっていた沸騰が圧力の低下とともに再開して蒸気が発生することもあるので、減圧中の弁から噴出する蒸気でやけどしないよう、取り扱いには注意が必要となる。蓋を開ける際には、十分に減圧して圧力を開放できていないと、高温の内容物が蓋ごと上方に噴出して室内に勢いよく飛び散り、高温の蒸気や高温の飛散した食品を体に浴びてやけどしたり、蓋が激しい勢いで体にぶつかって大怪我をすることもあるので、十分な注意が必要である。このため、内圧が高い間は蓋を開くハンドルにロックがかかるような安全機構が付いているものも多い。早く圧力を開放するには鍋に水をかける方法があるが、安全弁から汁などが吹き出すおそれがあるので、気をつけなければいけない。鍋を水につけて冷やす方法もあるが、ステンレス製のものは熱伝導の関係から鍋底などを歪ませる可能性もある。また、鍋と蓋の隙間にあるパッキンは消耗品と考えたほうがよく、これが痛むと蒸気が噴出しやけどを負う危険性もある。
調理の原理上、加圧のために十分な水分と空間(すなわち空気)が鍋の中になければならない。このため、豆類など水分を吸収してふくれるものは入れる量に気をつけなければいけない。一般には鍋の容量の3分の1以上入れると危険とされている。また、牛乳のように加熱すると泡立って膜を形成して吹きこぼれやすくなる食材や、カレーやシチューなどの粘性が高い食材は、蒸気の通り道を塞いだり、流れを妨げて安全弁の動作を狂わせ、内部の圧力を異常に高くしてしまう危険性があるため、取扱説明書に従った注意が必要である。蒸気を逃がす弁の清掃などの手入れを行って、常に蒸気の通り抜けを正常に保っておく必要もある。
このように危険性もある調理器具であることから、日本国内において販売されている家庭用圧力鍋は消費生活用製品安全法の特定製品(国の定める技術基準への適合をメーカーや輸入業者が保証する製品)に指定されており、PSCマークを付けた製品でなければ日本で販売することはできない。 この基準に適合させPSCマークを付けるためには、鍋が物理的に充分な強度を持つなどの必要があるのはもちろんだが、その他に、水の代わりに油を入れて揚げ物をする行為を禁ずる旨を取扱説明書に記載することが義務付けられている。逆にいうと、この法律があるため(国産品、輸入品を問わず)日本で販売されているどの家庭用圧力鍋も消費者が揚げ物に使用しないことを前提に販売されている製品であることになる。ちなみにケンタッキーフライドチキンで鶏肉を揚げる際は圧力鍋を使用するが、こちらは特注品であり市販品とは全く構造が違う為、決して真似をするべきではない。
単に高温で加熱するためだけであれば、水で調理するということを考えなければ、他にも調理法がある。例えば食用油で揚げるなどである。しかし上述のように、日本国内で販売されている家庭用圧力鍋での揚げ物は、どの圧力鍋であっても付属の取扱説明書で禁止行為とされている。ただし、ケンタッキーフライドチキンのように当初から揚げ物用に設計された専用機器を使う場合においてはこの限りでない。また、食材によっておいしさを増す調理温度は変わるので、100℃以下で調理することが望ましいとされる食材の調理には向かない。
一般に地表付近の大気圧を1気圧と絶対圧で表記することが多いが、圧力鍋の圧力表記は、工業の分野でよく使われる、大気圧=0気圧とするゲージ圧が用いられていることが多い。圧力鍋の仕様(調圧弁の表記)に記載されている圧力がゲージ圧であると、料理レシピなどの表記が例えば絶対圧1.8気圧の場合、調圧設定は0.8気圧とするなど読み替える必要がある。
脚注^ 残りは鍋に密封された空気の膨張圧である。
関連項目
オートクレーブ - 圧力調理器を大きくした特殊なもの。実験室や病院で生物学的に汚染された道具や医療器具を殺菌するために用いられる。
無水鍋
カテゴリ: 鍋
更新日時:2008年8月18日(月)13:46
取得日時:2008/09/06 23:20