「国家領域」(le territoire national)は、領土、領海、領空に分けられる。特に領土は、「人民」、「外交を行う能力」とともに国家を構成する基本的要素である。国家領域では、国家はその管轄権を排他的に行使しうる。ただし、他国の主権も尊重しなければならない。
領土とは、一般にその自国民が住んでいる地理的領域をいい、地面および地下が含まれる。人が住んでいない領域(無人島など)もこれに含まれうる。領土の取得及び喪失については、「無主地」(terra nullius)に対する「先占」は国際法上、認められている領土取得の方式である。「パルマス島事件」仲裁判決で、マックス・フーバー裁判官は「継続的で平和的な領域主権の表示は権原の一つとして適切である」と判示した(U.N.R.I.A.A., Vol.II, p.839)。「西サハラ」に関しては、国際司法裁判所はその勧告的意見で、スペインの植民地であった西サハラには社会的にかつ政治的に組織された人々が民族としてそれを代表する長の権力の下に住んでいたのであり、無主地とはみなされない、と判示した(C.I.J.Recueil 1975, p.39, par.81)。今日では、無主地は存在しないとされる(南極大陸については、国際化領域の項を参照せよ)。また、現在では、武力行使による領土取得は禁じられている。これに関して、イスラエルによるパレスチナの占領について、国連安保理決議242は、イスラエルの占領地からの(英:from occupied territories(無冠詞), 仏:des[de+les] territoires occupes(定冠詞))撤退を確認し(affirms)、決議338では、決議242の履行を求める(call upon)となっており、必ずしもイスラエルの第三次中東戦争で占領した全ての領土からの撤退を義務づけていないと解する余地がある。この問題は、宗教的、政治的性質が濃い。
領海とは、今日では国連海洋法条約により、領土の基線より12海里を超えない範囲で沿岸国が決めることができる(海洋法の項目も参照せよ)。領海には、沿岸国の主権が及ぶが他国の船舶の「無害通航権」(droit de passage inoffensif)を認めなければならない。無害通航とは、「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない」ものをいう(19条)。違反する船舶に対しては、警察権を行使しうる(27条5項)。ただし、他国の軍艦および非商業目的で航行する政府船舶には「免除」が与えられる(32条)。
領空とは、領土及び領海の上空に接している大気圏の領域をいう。空域を規律する国際法は、「空法」(Droit aerien)と呼ばれる。空法は、1944年の「国際民間航空条約」(シカゴ条約)を基本とする。シカゴ条約は、1条で「各国がその領域上の空間において完全かつ排他的な主権を有する」としている。どの高さまで領空と認められるかは、条約上、明らかではない。また、領海における「無害通行権」と類似して、「五つの自由」が認められており、1919年のパリ条約では、(1)無着陸の通過の自由、(2)運輸以外の目的での着陸の自由が認められ、さらに「国際航空協定」1条では、これらに加えて、(3)自国領域内で積み込んだ貨客を他の締約国でおろす自由、(4)他の締約国で自国向けの貨客を積み込む自由、(5)第三国向けあるいは第三国からの運送の自由が認められている。ただし、これらの自由は、慣習法ではなく、厳格に条約的である。今日の状況は、二国間の「オープンスカイ協定」が空を網の目のように張りめぐらされている。また、シカゴ条約に基づき、「国際民間航空機関」(ICAO)が設立されている。これは、総会や理事会、航空委員会などの固有の機関を有し、空の安全と発展を目的として活動している。2007年12月にEU理事会は、温暖化ガスの排出権取引を国際民間航空にまで拡張することを決定しており、米国はこれに反対している。2007年9月のモントリオールでのICAO総会では、当事国の合意がない限り排出権取引制度は適用されない旨、決議がなされているが、EUはこれに拘束されないとしている(A.J.I.L., Vol.102, 2008, pp.171-173)。
「国際機構法」あるいは「国際組織法」とは、国際組織(政府間国際組織)(International Organizations)に関する国際法の一分野である。国際組織とは、条約によって設立され、共通の目的を有し、それを達成するための常設の機関を持ち、加盟国と独立した法人格を有する国家の集まりをいう(1975年「国家代表に関するウィーン条約」1条)。国際組織法の最大の特徴は、国際組織が生きた組織として変わりゆく国際情勢に対応するために、設立当初の創設者の意思から離れてでも、動態的な目的論的解釈がとられる点にある(「黙示的権能」implied power)。
国際組織法は、内部法と外部法に分けられる。内部法とは、その国際組織の内部運営(表決制度や予算の決定など)を規律する法の総体をいい、外部法とは、その国際組織の対外的活動を規律する法の総体をいう。本項では、現代の主要な国際組織である国際連合を中心に述べる。
内部法として、まず、表決制度がある。決議成立の方式としては、一般に、全会一致、多数決、コンセンサスなどがある。国連総会の決議は、重要問題を除いて(出席し投票する加盟国の三分の二の多数)、出席し投票する加盟国の過半数で成立する(国連憲章18条)。国連安全保障理事会の決議は、「常任理事国の同意投票を含む九理事国の賛成投票」で成立する(27条)。慣例により、常任理事国の「棄権」は決議の成立を妨げないとされている。しかし、27条を文言通りに解釈すれば、棄権は「同意」ではないので、決議の成立を妨げるはずである。よって、これについては、法的には、棄権についての規定が欠缺していたとか、暗黙のうちに憲章が改正されたとか説明する他はない。EUでは「共同体法」(EC法)に属する分野について、加重投票の制度が行われており、世界銀行でも加重投票で議決される。
予算の決定については、国連総会によって派遣されたONUC(コンゴ国連軍)及びUNEF(国連緊急中東軍)(いわゆるPKO)への支出が国連憲章17条2項にいう「この機構の経費」に当たるのか争われた。国連憲章上、PKOは明示的には認められていない。これに関して、1962年に「ある種の経費事件」として国際司法裁判所の勧告的意見が下された。裁判所は、17条2項の文言を憲章の全体構造と総会と安保理に与えられたそれぞれの機能に照らして解釈するとし、ONUCとUNECの活動が国連の主要目的である国際の平和と安全の維持に合致することは、継続的に国連の諸機関によって認められてきたことによって示されているとし、当該支出は「この機構の経費」にあたると判示した(I.C.J.Reports 1962, pp.167-181)。この勧告的意見の理由付けについては、批判もある。
国際機構で働く人については、「国際公務員法」という特別の分野となっている。国連では、職員が関わる争いについては「国連行政裁判所」が国連総会決議によって設立され、活動している。
外部法としては、まず、国際組織の「国際法人格性」(international personality)が問題となる。国際司法裁判所は1949年の「国連の任務中に被った損害賠償」に関する勧告的意見において、(当時としては)国際共同体の大多数の国家に相当する50ヶ国は、国際法に従って、客観的国際法人格を持つ実体を創設する権能(power)を有していたのであり、同時に国際請求をする権能を有すると述べた(I.C.J.Reports 1949, p.185; 皆川『国際法判例集』137頁)。ECも、その設立条約であるEC条約においてECの国際法人格性を有すると規定し(EC条約281条)、国際社会はこれに一般的承認を与えており、現在、ECは京都議定書や国際貿易機関を設立する「マラケッシュ協定」の当事国となっている。
国連の対外的活動として最も重要なものは、「国際の平和と安全の維持」に関する安保理の活動である。いわゆる「国連憲章第七章」に基づく行動である。七章に基づく安保理の行動は、冷戦が終結した1990/1991年以降、大変、活発になっている。その緒端は、1990年のイラクのクウェート侵攻の際の、1991年の安保理決議678に基づく多国籍軍の行動である。同決議は、憲章43条に基づく常備の「国連軍」がいまだ創設されていないことに鑑み、加盟国に「全ての必要な手段を用いることを許可する」(authorizes...to use all necessary means)とした。これは、朝鮮戦争において、米国の指揮下にある軍に国連旗の使用を許可した1950年の安保理決議84に端を発すると考えられる。この安保理決議678以降、「全ての必要な手段を許可する」という方式は繰り返し使用され、現在では完全に定着したと言える。
「自衛権」(self-defense)は、国連憲章51条で、個別的自衛権(individual self-defense)、集団的自衛権(collective self-defense)とも、「固有の権利」(inherent right; 仏語テキストでは「自然権」le droit naturel)と規定されている。2001年9月11日の米国同時多発テロ事件では、翌月に米国はアフガニスタンを攻撃した。