当用漢字のうち881字は、小学校教育期間中に習得されるべき漢字として、1948年(昭和23年)2月16日に当用漢字別表という形でまとめられた。いわゆる「教育漢字」である。
人名については、1948年(昭和23年)施行の戸籍法第50条には「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない」とある。この範囲は当初は法務省令によって平仮名、片仮名、当用漢字であるとされており、当用漢字以外の漢字は新生児の戸籍の届出の際に使用することができなかった。しかし、1951年(昭和26年)には人名用漢字別表として92字が内閣から告示され、当用漢字外の漢字も一部認められることになった。この人名用漢字別表は数度の改訂を経て1997年の改訂後、285字を含むものとなった。(但し、必ずしも追加だけが行われたわけではない。常用漢字表制定の際、人名用漢字のうち8字が常用漢字に追加されたため、人名用漢字からは外された。)
また、札幌高等裁判所で、戸籍法の規定にある常用平易な文字であるのに人名用漢字別表に含まれないために子供の名として使用できなかったことを不服とした裁判で訴えが認められたことも要因の一つか、2004年9月27日付で488文字が追加された。当初は578文字の追加が見込まれていたが、パブリックコメントの結果、人名にふさわしくない漢字(怨・痔・屍など)が削除された。
漢字全廃を目的とした当用漢字はしばしば批判されている。1958年から雑誌「聲」に連載された『私の國語教室』で福田恆存は、既に漢字制限は不可能である事が明らかになっている、と指摘した。1961年には表音主義者が多数を占め、毎回同じ委員が選出される構造となっていた国語審議会の総会から、舟橋聖一、塩田良平、宇野精一、山岸徳平等、改革反対派の委員が退場する事件となった。
1962年、国語審議会の委員に選出された吉田富三は、「国語は、漢字仮名交りを以て、その表記の正則とする。国語審議会は、この前提の下に、国語の改善を審議するものである。」を審議の前提とするよう提案した。
1965年、森戸辰男・国語審議会会長は記者会見で、「漢字かなまじり文が審議の前提。漢字全廃は考えられない」と述べた。
歴史的仮名遣を基に、1946年(昭和21年)11月16日に現代の音韻に基づいて改変したのが「現代かなづかい」である。
「現代かなづかい」は、もともと、表音式仮名遣いへ移行するまでの?ぎとして考えられていた。しかし、仮名遣いの完全な表音化は不可能であり、「現代かなづかい」はそのまま定着してしまった。1986年(昭和61年)7月1日に内閣から告示された「現代仮名遣い」はそうした状況の追認であると言ってよい。
従って、現在の「現代仮名遣い」は、中途半端な形のまま、様々な矛盾を抱えている。
助詞の「は」「へ」「を」において歴史的仮名遣いの原則が維持されている事はよく知られている。
和語においては、「鼻血」は「はな」と「ち」の合成語であるので形態素を意識した「はなぢ」と表記する。
漢語においてはすべて「じ」「ず」を用い、「ぢ」「づ」は用いない。「融通」を「ゆうずう」と表記するのもそのためである。また「地面」を「じめん」とするのが正則なのは、「地」は元々濁った「じ」の音読みを持っており、「地(ち)」が連濁しているわけではないからである。「ぢ」とたびたび書かれる「痔」は、「現代仮名遣い」では「じ」が正しい。
常用漢字は、1981年に内閣から告示された漢字表に掲載された漢字1945字(常用漢字一覧参照)を指す。同表は当用漢字表を基に改定されたものである。常用漢字は、漢字全廃を目的とした当用漢字と比べて制限の緩い「目安」という位置付けになっている。
漢字を巡るこうした政府の動きと前後して、日本工業規格(JIS)も、コンピュータやワードプロセッサ(ワープロ)などで用いる漢字について、その漢字の種類(文字集合)と、各漢字をデータとして処理する際の数値表現(文字コード)の規格を独自に定める試みを続けてきた。
この内、前者「文字集合」は、常用漢字などと同じく、おびただしい数の漢字の中から一定数の漢字を取り出したもので、俗にJIS漢字と呼ばれる。現在までに数度の改訂が行なわれている。
最初のものは1978年に指定された6802字の文字群(JIS C 6226)である。俗に「旧JIS漢字」とも呼ばれる。
1983年には常用漢字の制定を受けて、JIS C 6226 の大幅改訂が行われ、6877字の文字(漢字以外を含む)が指定された。これは「新JIS漢字」と呼ばれるもので、後に1987年「JIS X 0208」という呼称に変更になった。
「旧JIS漢字」と「新JIS漢字」との間で、200余字もの例示字形が伝統的字体(いわゆる康熙字典体)から略字体、俗字体に変更されており、「旧JIS漢字」で作成された文書が「新JIS漢字」の例示字形に沿っているワープロ等で字体が変わってしまう、といった問題が指摘された。
また、JISの文字集合では、「包摂」の考え方によって新旧の字体を区別せず、一つの文字として扱っているものがあり、両者を区別したい場合にも区別できないという問題がある。その一方、「剣」「劒」「劍」のように、異体字にそれぞれ割り当てられている字もある。
表外漢字字体表 ウィクショナリーに ⇒表外漢字字体表の漢字一覧の項目があります。
1980年代半ば以降、ワープロやパソコンにおけるかな漢字変換の普及により、それまで専ら手書きに頼っていた日本語の記述に大きな変化がもたらされた。それにより、常用漢字外の漢字の使用環境が改善され、それまで減少の一途を辿っていた漢字の使用率が、平衡、あるいは増加に転じるようになった。
常用漢字表に示される簡略化された字体を、常用漢字表外の漢字に適用するかどうか、国語審議会答申の常用漢字表前文では ⇒「当面、特定の方向を示さず、各分野における慎重な検討にまつこととした」とし、「国語審議会としての判断を保留」した。前述の「新JIS漢字」は漢字の省略を常用漢字表外の漢字へと拡張しており(拡張新字体)、一般の書籍における漢字字体とワープロ・パソコン環境での出力字体との間で乖離を生んでいた。また、一部には「新JIS漢字」の省略を積極的に採用する動きも出版界にあり、常用漢字表外の漢字字体に混乱が生じているとして、国語審議会が「字体選択のよりどころ」として一定の方針を示すことになったのが、「表外漢字字体表」(2000年12月最終答申) ⇒[1]である。
表外漢字字体表では実際の印刷物に使われている表外漢字を調査し、その結果、表外漢字の代表的なものとして1022字を挙げ、それらについておおむねいわゆる康熙字典体に準じた「印刷標準字体」を示した。