国家元首
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世界各国の元首

元首に関する規程を持たない国も少なくなく、そうした国での元首は慣習上のものである。各国の憲法により、元首が政治の実権を持つ場合も持たない場合もある。実権の有無、統治形態の違いにかかわらず、元首は国家の長としての特別な権威を持つべきだと考えられている。しかし同時に自由主義、および国民主権の立場からそうした権威は不要であるとする考えもある。

一般的に元首は一人とされるが、例外もいくつかある。

サンマリノ共和国では、二名の執政が元首

アンドラ公国では、フランスの大統領ウルヘル司教が「共同元首」

以下の項目において元首の大まかな分類を行う。


専制国家の元首

終身大統領のような独任制の元首が、強大な政治的権限を有している。一部の軍部・宗教団体・部族・外部勢力による傀儡政権といった特定の集団が、独裁的な権力を掌握している場合も多い。これらの場合、形式的に議会は存在していても、元首や特定集団の追認機関に過ぎない。

アフリカ諸国や、いわゆる「開発独裁」制を敷く国家、かつての南米の多くが、これに分類される。


絶対君主制の元首

皇帝、国王のような世襲の元首が、強大な政治的権限を有している。王家が富裕で国家から歳費を支給されていないことが多い。そのため、政府や議会が歳費の支給を停止して、君主の権限である大権を制限させることができない。さらに、君主による統治の正当化が行われている。

リヒテンシュタイン(侯)[1]や、サウジアラビアオマーンなどのスルターンが、これに分類される。


大統領制国家の元首

大統領は有権者の選挙により選出され(代議員制の場合もある)、行政府の首長として強大な権限を有する。大統領は議会とは独立した地位にあり、議会の勢力と関係なく一定の任期が保障される。大統領は議会の法案への拒否権をもつが、法案の提出権はない。また閣僚の任免権を有する。閣僚は一般的に、国会議員との兼任はできない。議会の勢力が、大統領派の与党で占められている場合には強大なリーダーシップを発揮できるが、野党が多数派になった場合には厳しい議会運営が強いられる。

アメリカ合衆国フィリピン共和国の大統領が、これに分類される。


半大統領制国家の元首

大統領は行政府の首長であり、有権者の選挙で選出される。大統領は議会と独立した存在で任期は保障されるが、首相を含めた閣僚の選任には議会の承認を得なければならない。このように組閣は議会の拘束を受け、一定の議院内閣制の要素が取り入れられている。

議会で与党が多数を占めれば、大統領は内閣を自由に組織し、内政でも強大なリーダーシップを発揮できるが、フランスなどのように野党が多数派を占めた場合は、野党の党首に組閣を命じて、外交・国防は大統領、内政は野党の首相が分担することとなる。このような状態をフランスではコアビタシオンと呼ぶ。

フランスロシア連邦の大統領が、これに分類される。


議会君主制・議会共和制国家の元首

議院内閣制を採用する立憲君主国の君主、共和国の大統領がこれにあたる。行政は議会に指名される首相に委ねられ、元首である君主や大統領は国政の実権を有さない。憲法上、元首に期待される役割は、内閣の助言と承認に基づく首相を始めとする官吏の任免や、外国元首・外交官の接受といった儀礼的なものである。大統領は、直接選挙によらず、議会の投票により功績のある長老政治家が選出される場合が多い。これらの国の中には、イギリスの国王のように法律上は強力な権限を与えられているケースもあるが、そうした権限は長年の不行使により形骸化しており、実際には行使されない。ただし、政争やクーデターによる国政の混乱時には、仲裁者としての役割を期待される場合もある。上記のような理由から政治的発言の自制が求められる。

イギリスやタイ王国の国王、インドイタリアの大統領、ドイツ連邦大統領が、これに分類される。日本の天皇もこれに分類されることがある。


一切の権力を有さない元首

議会君主制・議会共和制をさらに進化させたものがこれにあたる。元首の役割は象徴的なものに限定される。閣僚の任免や議会の解散などの権能も、内閣などの他機関の承認・決定に基づいてなされる。元首の実質的な決定権は憲法によって否定される。上記のような理由から政治的発言も制限される。

スウェーデンの国王[2]、いわゆる「社会主義国」の元首[3]などが、これに分類される。日本の天皇もこれに分類されることがある。

スイスでは、元首である連邦大統領は儀礼的な機能のみを果たす。連邦大統領は行政府である連邦参事会(内閣)の7人の閣僚の中の1人が輪番制で就任する(任期1年)。

なお、これらはあくまで大まかな区分である。各国の憲法には差異があり、元首の機能も多種多様である。


日本国の元首

天皇制および 象徴天皇制も参照

日本国憲法は元首に関する規定が無く、日本国において元首が何であるかについては議論がある。戦前戦後を通じて儀礼における国事行為の場面で天皇は元首が果たすべき機能を担ってきた[4]。 天皇の元首としての権限は時代によって異なる。


大日本帝国憲法における天皇の権限

大日本帝国憲法において天皇が国家元首であったことに争いはない。第4条で「天皇は、国の元首にして、統治権を総攬し、この憲法の条規に依りてこれを行う。(現代語訳)」と規定され、万世一系の天皇が大日本帝国を統治するとされた。また、大権についても規定されていた。このように、天皇は大きな権力を持っていたように思える。実際、重要な政治的局面で影響力を行使することがあった。そのため、絶対君主制の元首に分類するべきという意見もある。しかし、憲法上、立法権については帝国議会の協賛(賛成)を要し、勅令には国務大臣の副署を必要とし、司法権は裁判所が行使することとなっているなどの制約があることは確かで、事実、天皇が直接命令して政治を行うことはほとんど無かった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki