特命担当大臣も参照
複数の省庁に関係するような国政の重要事項については一省庁の所掌とせず、専任の重要事項担当部署(局・対策室など)を省庁より格上の内閣官房か内閣府に設置して、最高責任者である内閣総理大臣の下で総合的に処理する場合がある。これら重要事項担当部署の長(局長・対策室長など)は、通例官僚が任命されるが、それら局長等と内閣総理大臣との間に総括的な責任者として担当大臣が置かれることがある。重要事項担当部署が内閣府にある場合、その担当大臣のことを法律上「特命担当大臣」(官報辞令上は「内閣府特命担当大臣」)と言う。一方、重要事項担当部署が内閣官房にある場合その担当大臣の正式呼称は特に法定されていない。
内閣府特命担当大臣(例:金融担当)も、内閣官房の重要事項担当部署の担当大臣(例:郵政民営化担当)も、一般的にはそれぞれの担当職務を用いて「○○担当大臣」と呼ばれる。
例はあまり多くないが、複数省庁にわたる政策事項でありながら内閣官房でも内閣府でもなく一省庁内に「対策室」等を設置し、その総括をその省庁の大臣と別の大臣に命ずる場合(例:個人情報保護担当)があるが、その場合も内閣官房の場合と同様に担当大臣の法定された正式呼称はなく、俗に○○担当大臣と呼称される。
詳細は内閣総理大臣臨時代理を参照
内閣法第9条に「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う」と規定されており、内閣総理大臣が死亡・病気・海外出張等で不在となった際には、あらかじめ指定された国務大臣が「内閣総理大臣臨時代理」の職名で職務を行う。2000年4月以降、組閣時に就任予定者5名があらかじめ指定される規定となった。
各省大臣(=主任の大臣)の外遊時等には、「国務大臣の代理には他の国務大臣が就く」という内閣法上の原則に基づき、直属の副大臣ではなく、他の大臣または内閣総理大臣がその臨時代理を務める(例:総務大臣臨時代理)。その人選は内閣総理大臣が行う。
各省大臣以外の「内閣官房長官・国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣」の代理については、他の大臣が「事務代理」を務める(例:内閣官房長官事務代理)。ただし、内閣総理大臣自らが代行する場合は「事務代理」でなく「事務取扱」と称する(例:内閣官房長官事務取扱)。※上記「特命事項の担当大臣」の項で言及した担当大臣のうち、内閣官房(まれに省)の重要事項担当大臣については、内閣府特命担当大臣と異なり外遊時等に代理発令がされることはない。厳密には、総理の口頭指示等による一時的代行はあるのかも知れないが、少なくとも辞令のような公に分かる形で官報掲載された例はない。
副大臣は、直属上司である大臣・長官等の代理に指定されることはない。閣僚でない副大臣に法令への連署等をする最高権限がないためである。ただし、「内閣の一員たる国務大臣の権限」を必ずしも要請されない行為(例:省庁の代表者として式典で祝辞を述べる等)の場合は、直属副大臣や政務官が代行(参席・代読等)することが一般的である。
内閣法には第9条に「臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」、第10条に「臨時に、その主任の大臣の職務を行う。」とあり、一方で内閣府設置法と国家行政組織法には「副大臣(副長官)は・・・職務を代行する。」とある。「行う」と「代行する」という似て非なる文言で区別がなされており、副大臣・副長官の「代行する」権限が「省庁組織の長としての大臣権限」に限られ、より広汎な「主任の国務大臣の権限」までは及ばないと解する根拠の一つとなっている。
大臣と副大臣・大臣政務官等の任命方式・権限の差異
大臣は、1)内閣総理大臣から任命・天皇から認証される「国務大臣」としての官記(国務大臣に任命する)、2)総理から担当事務を命ぜられる「各省大臣・長官等」としての補職の辞令(例:総務大臣を命ずる、内閣府特命担当大臣を命ずる)、という二段階の任命方式が採られている。閣議においては例えば防衛大臣である国務大臣が司法改革など他省庁の閣議案件について(あくまで理論上ではあるが)深く意見を述べたり、当該他省庁の官僚に「一国務大臣として」何らかの指摘・要求等をすることも可能であり、「国務大臣」としての関与権限は国政全般に及ぶものとされる。
一方、副大臣と大臣政務官は、特定の省庁名を冠された官記又は辞令(例:内閣府副大臣に任命する、総務副大臣に任命する、財務大臣政務官に任命する)だけを受ける。副大臣は国務大臣と同様認証官であるため天皇の認証のある官記を受け、大臣政務官はそうでないという違いはあるが、どちらも国務大臣のような国政全般への関与を可能とする権限付与(二段階の辞令)は行われていない。
閣議では、各大臣は各省や特命事項の担当大臣としてだけでなく、広く天下国家を論じる国務大臣の一人として参画する。一方、副大臣会議では、副大臣は各府省の調整代表の高官として参加しており、国政全般を論じたり他府省の副大臣の提出した案件に対して必要以上の関与をすることはできない。
一部に、国務大臣の表記にならって「国務副大臣」のような表記をする向きがあるが、広汎な国務大臣の権限に比べ副大臣の地位・権限が限定的であることと矛盾する。「国務副大臣」の名称はいかなる法令にも存在せず、そのような辞令が発せられたこともない。各府省副大臣の総称は単に「副大臣」とするのが正しく、各種法令でもそのような取扱いがなされている。大臣政務官についても同様で、「国務大臣政務官」とするのは法的には誤りとなる。
詳細は国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範を参照
詳細は罷免#国務大臣の罷免を参照
憲法の規定により、内閣総理大臣は他の国務大臣を任意に罷免することができる。これは、旧憲法下において内閣総理大臣の権限が極めて弱かったために軍部の独走を許したことへの反省からである。
在職中に死亡した国務大臣死亡年月日氏名内閣役職死因
1889年(明治22年)2月12日森有礼黒田内閣文部大臣他殺
1926年(大正14年)9月13日早速整爾第1次若槻内閣大蔵大臣病死
1936年(昭和11年)2月26日高橋是清岡田内閣大蔵大臣他殺
1945年(昭和20年)8月15日阿南惟幾鈴木貫太郎内閣陸軍大臣自殺
1973年(昭和48年)11月23日愛知揆一第2次田中角栄内閣大蔵大臣病死
1976年(昭和51年)1月15日仮谷忠男三木内閣建設大臣病死
1987年(昭和62年)1月25日玉置和郎第3次中曽根内閣総務庁長官病死
2007年(平成19年)5月28日松岡利勝安倍内閣農林水産大臣自殺
※ 内閣総理大臣を除く
大臣とは古来からの日本固有の高官職名である。明治期に太政大臣、左大臣、右大臣、内大臣、准大臣といった大臣職が改められ、内閣制度の発足とともに、内閣構成者としての内閣総理大臣及び国務大臣として新たな大臣の職掌が整備された。