観賞用やお香などの名目で販売され、レクリエーション目的に使用される植物や植物加工品などの脱法ドラッグはナチュラルドラッグと呼ばれる。ナチュラルドラッグにも、遅効性のドラッグが多く存在し、オーバードーズの危険が伴う。有効成分がトリプタミン系やフェネチルアミン系に分類される物も多い。摂取方法は経口や喫煙である。麻薬指定された著名なナチュラルドラッグはマジックマッシュルームである。
エフェドラ系
詳細はマオウとエフェドリンを参照マオウやエフェドリンが含まれている薬物はエフェドラ系と呼ばれる。主に、ダイエット薬やサプリメントなどの名目で販売され、1990年代からアメリカ合衆国を中心に流行し始めた。マオウ自体にエフェドリンが含まれていて、エフェドリンはフェネチルアミン系であり興奮剤的効果を持つ。また、エフェドリンは多くの国で規制物質となっている。日本でも、質量比10%を超える製品は、覚せい剤取締法により、覚せい剤原料として規制されている。
亜硝酸エステルを主成分としている脱法ドラッグは、ニトライト系もしくは亜硝酸エステル類と呼ばれ、お香やクリーナー名目で販売されている。気化したドラッグを経鼻摂取する。使用により酩酊感が得られ、オーガズム時に摂取するとその快感が上昇する。著名な物はラッシュ。使用により血圧低下が起こり、循環器に障害を残す場合がある。
取り締まりはおもに厚生労働省により行われる。また、それぞれの地方自治体による立法でドラッグを取り締まることができ、東京都による取り組みが著名である。地方自治体の条例に基づく取り締まりは保健所もしくは警察が実施する。日本には、後述するアメリカ合衆国の連邦類似物質法に相当する法律がないうえ、現行の法制度では規制物質の一括指定や包括指定を行えないため、脱法ドラッグを取り締まるのが比較的困難である。
厚生労働省はデータ収集に時間が掛かる等の理由で規制対応が遅れているとしている。
2005年2月25日以降は、厚生労働省による脱法ドラッグに対する取り締まりが強化されている。脱法ドラッグとされる薬物の中には、化学的構造が覚醒剤やLSDに似た物質、トリプタミン系やフェネチルアミン系のような麻薬や覚せい剤と同系列の物質も多々あるが、完全には同一でないため新たに麻薬若しくは覚せい剤指定しない限り規制することは出来ない。そのため以前では、個々の麻薬・覚せい剤の指定をした後、麻薬及び向精神薬取締法・覚せい剤取締法での規制対応が主たる取り締まりであった。しかしこの強化により、芳香剤、研究用試薬、観賞用などの名目で脱法ドラッグを販売をしている輸入販売業者に対して、薬事法に基づく指導・告発も併用した取り締まりを行うようになった。これにより、業者の多くは広告掲載や販売を停止し、日本における脱法ドラッグ市場は縮小しつつある。この取り締まり強化は、厚生労働省による関連行政への通知にて徹底された。この通知では、摂取目的で販売されている脱法ドラッグは薬事法違反にあたることを明言している[1]。
厚生労働省は「脱法ドラッグ」の呼称を「違法ドラッグ」に切り替えた。これは2005年9月22日に行われた厚生労働省主催の検討会「第5回脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会」中で、提案された意見に沿った物である。同検討会は、脱法ドラッグは薬事法にもとづけば違法であるとの考え方のもとで、呼称の切り替えを提案した[2]。
2006年「薬事法の一部を改正する法律案」の提出と薬事法改正
2006年3月7日、第164回通常国会に厚生労働省は「薬事法の一部を改正する法律案」を提出した[3]。これは、「脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会」と「医薬品販売制度改正検討部会」の提言を踏まえて提出されている[4]。改正案提出の理由として「医薬品販売制度などの見直し」と「脱法ドラッグへの対策強化」が挙げられた。6月8日に改正案は可決され、6月14日に公布された。「脱法ドラッグへの対策強化」としての改正法は公布後1年以内に施行される。
この改正により、脱法ドラッグ対策として「指定薬物」という新たな区分が設けられた。危険性の高い脱法ドラッグを厚生労働大臣は薬事・食品衛生審議会の意見に基づき指定薬物に指定することが出来る。そして、指定薬物は医療等の用途を除いて製造や輸入やその広告が禁止され、行政は指定薬物の検査・廃棄・回収・立入検査などを行える。また、指定薬物の製造・輸入・販売・授与・販売・授与の目的で貯蔵・陳列には罰則が設けられる。
この改正薬事法により、指定薬物の栽培、生産に精製や蒸留、個人輸入や販売などは、明確な犯罪となる。また、「指定薬物」への指定は麻薬や覚せい剤の指定より短期間で行われるため、行政は脱法ドラッグに対してより迅速に対策を取る事ができるようになる。
2005年3月、日本は国連麻薬委員会に新たな薬物への取組に関する決議案を提出し[5]、国連麻薬委員会決議48/1として全会一致で採択された[6]。決議では、昨今薬物関連諸条約における規制薬物ではない新たな薬物が特定の地域で登場し、脅威となっていると指摘した。また、これに伴い各国の情報交換や国際連携を強める必要があるとして、その様に努める事を決議した。
東京都は脱法ドラッグへの取り組みとして、「東京都薬物の濫用防止に関する条例」を制定した。この条例は「脱法ドラッグ条例」ともよばれる。2005年3月31日に公布され4月1日に施行、6月1日に運用され始められ、日本の地方自治体では初めてとなる脱法ドラッグに対する条例となった。