取締役
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解任・辞任

解任は、いつでも株主総会の普通決議によって解任することができる( ⇒339条1項、 ⇒341条[3]。 ただし定款によりこれを上回るように定めることも可能であり、そのように定めている会社もある。解任のための正当な理由がない場合には、その者は会社に対し損害賠償を請求しうる(339条2項)。

また、取締役と会社の関係は委任契約であり( ⇒330条、旧商法254条3項)、取締役は原則としていつでも辞任することができる( ⇒民法651条)。

取締役が欠けた場合又は定款で定めた員数が欠けた場合には、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時取締役の職務を行うべき者を選任することができる( ⇒346条)。


肩書

通常、取締役には会長社長専務常務といった肩書が付与されている。しかしこれらは商法や会社法において規定されたものではなく、各会社が独自に付与したものである。このように何らかの役職名が付与された取締役のことを役付取締役(やくつきとりしまりやく)ということがある。これらの役職とそれが表す力関係が取締役会に持ち込まれることで、本来上下関係はなく相互にその業務を監視し合う立場にあるはずの取締役たちの間に序列が生じ、特に業務の監査において支障が出ることがたびたびある。

役員 (会社)も参照のこと


職務と責任

取締役は、原則として、取締役それ自体が会社の機関であって会社の業務執行権限を有している。これは、会社法の制定により1950年昭和25年)改正前の商法と同様になった。しかし、取締役会設置会社においては、取締役は代表取締役に選任されない限り業務執行権限を有さず、取締役会の構成員に過ぎないとされた。これは、1950年以降の商法の規定と同様である。

昭和25年改正以降の商法では取締役会が会社の機関となり、取締役は単独で職務執行権限を持たず、取締役会の一員に過ぎなくなった。同じ改正において取締役になる資格をその会社の株主に限定する資格株制度は禁止された(旧商法254条2項)。これは取締役が単なる株主の利益代表ではなく、社会的責任を帯びた存在であることを示している。しかし株主が取締役になることは差し支えなく、実際にも中小企業においては取締役のほとんどが株主である。取締役は取締役会の一員として業務意思決定を行うほか、割り当てられた業務の執行を行う。特に業務執行権を与えられた取締役を業務執行取締役といい、代表権を与えられた取締役を代表取締役という。これらは法定されたもので、後者については設置が義務づけられているが、業務担当取締役や執行役員といった制度を会社で独自に取り入れて権限を付与するという場合もある。


株主の権利の行使に関する利益供与の禁止株式会社が財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をすることに関与した取締役は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。ただし、当該利益の供与をした取締役を除いた者は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、義務を免れる( ⇒120条4項)。


会社に対する義務取締役と会社との関係は委任であり、取締役が取締役会の構成員として、また代表取締役として職務を行うに際しては善管注意義務( ⇒330条により ⇒民法644条準用)及び忠実義務を負う( ⇒355条、旧商法254条ノ3)。善管注意義務の内容は会社の規模や業界によって異なる。忠実義務の具体化として、競業避止義務( ⇒356条1項1号、旧商法264条)、利益相反取引の制限(356条1項2号、旧商法265条)が規定されている。株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を株主又は監査役に報告しなければならない( ⇒357条)。


会社に対する責任蛸配当(分配可能額(配当可能利益)がないにも関わらず株主に利益配当をすること)や他の取締役に対する金銭の貸付、利益相反取引、および法令または定款に違反する行為によって会社に損害を生じさせた場合には会社に対して賠償する責任が生じる( ⇒462条、旧商法266条)。任務を怠ったときは、損害賠償責任を負う( ⇒423条)が総株主の同意があれば免除される( ⇒424条)。取締役又は執行役が競業の規定に違反して取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する(423条2項)。監査役設置会社又は委員会設置会社は、責任について、当該取締役が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該役員等の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、法律より免除することができる額を限度として当該責任を負う取締役を除く取締役の過半数の同意によって免除することができる旨を定款で定めることができる( ⇒426条)。自己のためにした取引をした取締役の責任は無過失責任であり、任務を怠ったことが当該取締役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない( ⇒428条)。


第三者に対する責任会社の業務を執行する際に故意または重大なる過失(重過失)によって第三者に損害を与えた場合にもそれを賠償する責任が生じる( ⇒429条、旧商法266条の3)。

取締役には、他の取締役に対する監督義務が課せられている。この義務は、旧商法では、取締役会が業務執行の監督機関であり、取締役はその構成員であることから課せられていると考えられていた。しかし、会社法においては、原則として取締役会が設置されないことから、取締役の忠実義務など他の法的根拠が必要となっている。


株主による取締役の行為の差止め

詳細は株主の差止請求を参照非公開会社の株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる( ⇒360条1項,2項)。公開会社で6箇月前から引き続き株式を有する株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる(3項)。


職務の代行

取締役の職務を代行する者の権限( ⇒352条) ⇒民事保全法56条に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki