博士号
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日本における博士号の取得

博士号の取得を志した場合、博士論文提出までに学会での発表を行い、博士課程在籍中に2本から3本の査読付き投稿論文を執筆するといった業績が博士の学位審査を受ける要件となっている場合もある。こうした要件は、大学研究科専攻教室研究室などによって異なる。

博士課程で学位を取得した場合は「修了」として認定されるが、就職などのために学位を習得する前に中途退学するケースも多い。所定の在学期間(3年間)以上在学し、修了に必要な単位を全て取得してはいるものの、学位論文だけが完成しないまま就職することも多く、こうした場合「満期退学」又は「単位取得退学」と称する[1]。在学年数を越えて大学院に留まる場合は研究生として在籍するケースもある。また、2005年の文部科学省中央教育審議会において文部科学大臣への答申の中で博士課程に社会人コースを設置し、社会経験にて実績のある人物の場合は1年間の在籍期間中に学位取得を志すことができるようにすべきだとされた。つまり、大学院の博士課程に社会人コースが設置された場合、1年間の修学期間で博士号を取得することが可能となる。

課程修了による博士号を課程博士、論文提出のみによる博士号を論文博士と呼び分ける。大学が博士号を授与した場合、授与大学ごとに通し番号が付けられて文部科学省に報告されるが、課程博士には甲1234XX号のように「甲」が、論文博士には乙1234XX号のように「乙」が付けられる。ただし、一部の大学においては学位記上ではこれらの区別がなされず、両者の通し番号が記載されていることもある。また、大学によっては、所定の期間在学し所定の単位を取得して退学した後、一定期間のうちに論文を提出することにより課程博士を与える制度を設けていることもあるが、同様の場合に論文博士として試験の扱いを変える(一部免除する)大学もある。

なお、中央教育審議会は2005年6月13日の総会で大学院改革に関する中間報告「新時代の大学院教育-国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて-」をまとめ、文部科学大臣に報告、その中で、「論文博士」について、「諸外国の制度と比べ日本独特の論文博士は、将来的には廃止する方向で検討すべきではないかという意見も出されている」と述べる一方、反対意見も紹介した上で、「論文博士については、学位に関する国際的な考え方や課程制大学院制度の趣旨などを念頭にその在り方を検討していくことが適当である」としている。 ( ⇒資料第1章第2節3 課程制大学院の制度的定着の促進 を参照。)


日本における博士学位の意義と問題点

博士の学位は、明治・大正期において「末は博士か大臣(大将)か」と言われた程、信頼の高い称号であった。現在でも博士の学位は、日本の学術研究の指導的立場に立つ人材の育成、国際機関などに人材供給をしていく上で大きな意義を持つ。近年、外国人留学生が日本の大学を敬遠する傾向が強いため、文部科学省も各大学に対し博士号の授与を奨励している。

博士学位の周辺事情として、理系の研究領域において、博士号の授与例が多い一方、文系における博士号は、大学人が生涯の研究の集大成として博士号を取得する歴史がながく、授与例が少ない傾向にある。そのため、大学教授であっても、そのすべてが博士号を保有しているわけではない[2]。近年、博士号は研究者の最終目標ではなく始発点との考えが日本で広まりつつあり、2001年学位規則改正後は、若いうちから博士号を取得する方向に大学院指導も変化してきている。他方、博士号の取得は、博士号を有しながらも定職に就けない、余剰博士(オーバードクター)問題を発生させている。

博士号には高い信用と専門性があるものの、現実の社会ではその効果が最大限に活かされていないと疑問の声もある。また、大学院教育が諸外国と比較して遅れている面が指摘される。また、博士の学位授与基準が厳格でその取得に時間と費用がかかるとの指摘もある。さらに、このようなマイナスの面ばかりを必要以上に強調した情報が広まったために、博士を積極的に活用しようとする動きが抑制されているとの見方もある。


ディプロマミルによる学位偽造

博士学位の問題に偽造学位の問題がある。主に海外の大学にて、学位を審査・授与するに足らないディプロマミルという機関が大学を称して、形式的な審査と料金を支払うことで、正式な博士の学位であるかのように学位を授与する組織が存在する。アメリカでは、ディプロマミルを用いた経歴詐称が深刻であり、日本においても2004〜2006年度で全国4大学に4人、「ニセ学位」によって採用・昇進した教員がいたことを2007年末文科省が発表した[3]。このような問題を回避するために学位の表明には取得大学名を併記するようになっている。欧米およびその影響の強い国々では称号として氏名に博士を付けて呼ぶ(英語圏の場合、博士号所持者はMr.○○ではなくDr.○○と呼ばれる)ことが通例であるが、日本社会ではそうした慣例は殆どなく、その点でも欧米に比べると一般社会における学位取得利点は薄い。その一方、日本には日本の博士号より、海外のPh.D.を格上と見なす者も多いため、ディプロマミルにより海外のPh.D.を手っ取り早く取得することには十分な旨みがあり、そのことがディプロマミルの潜在的な需要の一つになっているとの見方もある。


関連項目

専業非常勤講師

律令

学歴

学位

Ph.D.

Ed.D.

ドクター

法科大学院

法務博士

博士論文

修士

学士

名誉博士


外部リンク

博士論文データベース (国立情報学研究所)


脚注^ 過去においては慣習として経歴として満期退学で博士課程修了と記すことがまま見られたが、これは厳密には経歴の詐称になる。日本では履歴書には「博士課程(後期課程)中途退学」「博士課程(後期課程)単位取得退学」「博士課程(後期課程)満期退学」等と記すのが一般的である。なお、欧米では一般に満期退学はキャリアとはみなされない。
^ 欧米からの研究者の中には、日本で博士号を所持していない人物が教授の職位にあることを訝しがることがあるが、これは嘗て日本での非自然科学領域での博士号取得例が少なかった歴史の変遷による誤解である。一般に日本では50歳位以上の人文科学、社会科学の研究者では博士号の所持如何は能力のバロメーターとは看做されない。
^ 朝日新聞、2008年1月6日朝刊、東京版、34面。
カテゴリ: 学位

更新日時:2008年7月2日(水)19:03
取得日時:2008/07/21 22:22


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen