イギリスの博士号は、PhD又はDPhilと略記される。イギリスには、博士号のさらに上位に上級博士の学位がある。修学期間は多くの場合、標準で学士取得後3年間であり、このうちの1~2年は修士課程の扱いとなっている場合がある。
少なくとも、以下の学位が存在する。
博士 (農学)(Dr. agr. (agriculturae): Doktor der Agrarwissenschaften)
博士 (工学)(Dr.-Ing. (Doktor-Ingenieur): Doktor der Ingenieurwissenschaften)
博士 (法学)(Dr. iur. (iuris): Doktor der Rechtswissenschaften)
博士 (数学)(Dr. math. (mathematicae): Doktor der Mathematik)
博士 (医学)(Dr. med. (medicinae): Doktor der Medizin)
博士 (歯学)(Dr. med. dent. (medicinae dentariae): Doktor der Zahnmedizin)
博士 (哲学)(Dr. phil. (philosophiae): Doktor der Philosophie)
博士 (林学)(Dr. rer. hort. (rerum horticulturarum) Doktor der Gartenbauwissenschaften)
博士 (理学)(Dr. rer. nat. (rerum naturalium): Doktor der Naturwissenschaften
博士 (国家学)(Dr. rer. pol. (rerum politicarum): Doktor der Staatswissenschaften)
博士 (行政学)(Dr. rer. publ. (rerum publicarum): Doktor der Verwaltungswissenschaften)
博士 (音楽学)(Dr. sc. mus. (scientiae musicae): Doktor der Musikwissenschaften)
博士 (経済学)(Dr. sc. oec. (scientiarum oeconomicarum): Doktor der Wirtschaftswissenschaften)
博士 (社会科学)(Dr. sc. soc. (scientiae socialis): Doktor der Sozialwissenschaften)
博士 (神学)(Dr. theol. (theologiae): Doktor der Theologie)
フランスの博士号(仏 ⇒doctorat)は、国家、大学、その他の認められた高等教育機関によって発行される学位であり、その発行・取得に関する詳細は法令により定められている。取得のための修学期間は、標準で修士(仏 ⇒master)取得後3年間である。博士論文(仏 ⇒th?se de doctorat)を提出し、審査に合格することにより取得できる。
博士論文の審査は、報告者(仏 rapporteur)による論文の審査と、その後の審査会(仏 soutenance)からなる。報告者は、2名以上の博士論文指導資格(仏 ⇒habilitation ? diriger des recherches)を持つ学外の当該専門領域の研究者であることが義務付けられている。そして、この報告者がそれぞれ別々に報告書を書き審査会に進めるかどうか決定する。1名でも反対があれば、審査会は開けない。また、審査会は、原則的に一般公開であり、3名から8名の審査員(仏 jury)もまた半数以上が学外の研究者でなければならない。この審査会を取り仕切るのは、プレジダンと呼ばれる博士論文指導資格を持つ大学教授もしくはそれに相当する研究者である。審査過程において、博士論文の指導教官は一人の審査員でしかなく、博士号授与の決定権は小さい。また、学外の研究者を多く取り入れることにより博士号の質を保つとともに、研究成果をその分野の著名な研究者に周知できる工夫がなされている。
日本においては、1887年5月21日、勅令第13号学位令が公布せられ、同令第1条により、博士と大博士の二等の学位が定められ、第2条により法学博士、医学博士、工学博士、文学博士、理学博士の五種が定められた。さらに、第3条により、博士学位は大学院の定規試験を通過した者に、帝国大学評議会の許しを得て、授与された。後、1914年、勅令第200号として改正学位令が公布され、同令第1条により、学位は博士に統一され(結局、「大博士」は授与された者がいないまま廃止となった)、学位の種類は文部大臣の定めるところとなった。同令では、学位授与の規定がより具体的に規定されるとともに、第10条により、学位の栄誉を汚辱した者にはこれを剥奪する、懲罰規定が盛り込まれるなどより詳細な規定が整備された。
今日の学位制度における博士の学位は1947年の学校教育法の制定により整備されたものである。1953年、学位規則が制定され、新たな学位として修士の学位が加わり、学位は博士と修士の二等となった。1991年改正学校教育法により、学位は博士、修士に加え学士の三等とされ、それまで専攻分野を冠した学位名称だったものを、すべて博士、修士、学士に統一し、その代わりとして、博士 (医学)というように学位の後に専攻名を括弧付きで併記することとされた。同年には、今日の独立行政法人大学評価・学位授与機構の前身となる学位授与機構が発足し、大学校などで大学院博士課程の修了に相当する、教育課程をへた者に対する博士の学位授与は当該大学校及び学位授与機構の審査を経た者に授与されることととなった。2000年、学位授与機構は、大学評価・学位授与機構に改組され、それまでの学位事業は同機構に承継された。更に2005年改正学校教育法により、上記三等の学位に加え短期大学士を加えた四等となり、これによって今日の学位制度が整えられた。
現在、博士の学位については、学校教育法第67条、第68条の2において大学院を修了した者に博士または修士の学位が授与されることとされ、第68条2の2に前項の規定により博士の学位を授与された者と同等以上の学力があると認める者に対し、博士の学位を授与することができるとされている。さらに、学位規則第4条において、大学院博士課程を修了した者に博士の学位を授与することが規定されており、同条の2では大学院の行う博士論文の審査に合格し、かつ、大学院の博士課程を修了した者と同等以上の学力を有することを確認された者に対し博士の学位の授与を行うことができると規定されている。また、学校教育法第68条の2第4項第2号及び学位規則第6条の2において大学院(博士課程)に相当する教育を修了し、大学評価・学位授与機構の審査を合格した者に博士の学位を授与することとされている。
ちなみに2003年以降、専門職大学院の1種である法科大学院において、法務博士 (専門職)の学位が新設された。これはアジアやアフリカなどでは通常の博士号とは区別された専門職学位であるとされるが、米国においては「職業博士」として、(医学博士、法務博士等)同列に扱われている。
なお、日本では、博士論文は国立国会図書館への寄贈が求められ(納本の対象ではなく義務ではない)、取得後一定期間内に公刊することが義務づけられている。国立国会図書館と国立情報学研究所が作成している「 ⇒博士論文書誌データベース」で国内の大学で授与されている博士論文の検索ができる。
日本においては前述のとおり、1991年の改正学校教育法により学位の統一が行われた。それ以前に設置されていた学位は以下の19種類である。
学術博士
文学博士
教育学博士
神学博士