判決
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効力の発生

刑事訴訟における判決は、公判廷における宣告によりなされ効力を生じる(刑事訴訟法342条、刑事訴訟規則34条)。

なお、判決書は、宣告前に作成することを要しない。また、上訴の申立てがなく、かつ、宣告から14日以内に判決書謄本の請求がないときは、公判調書の末尾に主文等を記載することで、判決書に代えることができる(刑事訴訟規則219条)。


判決の種類


第1審の判決
有罪判決
被告事件について犯罪の証明があったときは、有罪判決をする。刑の免除をする場合を除き、判決での言渡しをする(刑事訴訟法333条1項)。刑の執行猶予をする場合、保護観察に付する場合は、刑の言渡しと同時に言い渡す(同条2項)。
無罪判決
被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、無罪判決をする(同法336条)。
免訴判決
次の場合は免訴の判決をする(同法337条各号)。
確定判決を経たとき(1号)

犯罪後の法令により刑が廃止されたとき(2号)

大赦があったとき(3号)

公訴時効が完成したとき(4号)

公訴棄却判決
次の場合は公訴棄却の判決をする(同法338条各号)。
被告人に対して裁判権を有しないとき(1号)

公訴取消しにより公訴棄却の決定がされて確定した後に、新たに重要な証拠を発見した場合でないにもかかわらず、同一事件について再度公訴が提起されたとき(2号)

二重起訴がされたとき(3号)

公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき(4号)

管轄違いの判決
被告事件が裁判所の管轄に属しないときは、管轄違いの判決をする(同法329条)。


控訴審の判決
破棄判決
控訴裁判所は、刑事訴訟法377条から382条及び388条に定められた控訴理由があるときは、判決で原判決を破棄する(397条1項)。これを「1項破棄」という。控訴裁判所が、職権で、第1審判決後の情状について事実の取調べをした結果、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる(同条2項)。これを「2項破棄」という。控訴裁判所は、原判決を破棄するときは、原則として原裁判所に差し戻す(破棄差戻し)。ただし、訴訟記録及び既に取り調べた証拠によって直ちに判決することができるときは、自ら判決することができる(破棄自判。同法400条)。
控訴棄却判決
控訴裁判所は、控訴の申立てが法令上の方式に違反するとき若しくは控訴権の消滅後にされたとき、又は控訴理由がないときは、判決で控訴を棄却する(同法395条、396条)。


判決書の特徴

リアリズム法学の知見を承継した法社会学の世界では、判決書・判決文の構成や内容の適切性が学問的に検証されている。日本の判決文に対する主な指摘は以下の通り[1]

一つの文が極めて長大であり、いかに読解力に優れる者でも読み返さなければ論旨が理解できない。また、不必要な美辞麗句が過剰に並べ立てられている。

日本語の誤用が顕著である。特に、「けだし」の意味を「なぜなら」と取り違える用法が知られ、これは既に法律家の世界での業界用語として定着している。

判決書は、勝訴した側を一方的かつ全面的に讃美し、敗訴した側を徹底的に貶める傾向にある。敗訴した者の尊厳を傷つけ、いたずらに心情を逆撫でする危険がある。

法律審のみならず事実審に関する箇所でも、当事者を見下した尊大な書き方が目立つ。法律を最も正しく知っているのは法律家だが、事実を最も正しく知っているのは当事者である。裁判官の思い描く事実こそ客観的な絶対の真実とみなす姿勢は、当事者への配慮に欠けている。

論理の飛躍や説明不足が多い。「○○なのは〜〜に照らして明らかであり」と書かれているが、どう考えても明らかではない。訴訟中に大きく争われた論点も当然のように一行で片付けられている。

論理に厳密になりすぎるあまり、理路整然とはしているが、結論が人情に合致しない判決が下されることがある。これとは対照的に、特定の結論を出すのを急ぐあまり、論理的に支離滅裂な文章が書かれることがある。

日本国憲法第82条の規定に基づき、判決言渡しの期日には、裁判官は判決書を声に出して読み上げる。ただし、注目されていない民事事件では傍聴者が全くいないことも多く、このような場合には判決の読み上げは省略される。なお、民事事件の当事者は、判決が下されたら弁護士を通じて直ちに事件の結果を報告するよう嘱託していることが多く、たいていは判決言渡しの期日に欠席する。刑事事件においては、被告人は判決言渡しの期日に出席するのが通例である。

地方裁判所など下級裁判所では、判決書は裁判官が職務の一環として自ら起草する。最高裁判所では、最高裁判所調査官と呼ばれる専門の職員が、担当の裁判官から論旨の方向性を聞かされた後、ゴーストライターとして裁判官に代わって起草する。判決書の様式は形式的な箇所を除いて特に法律で定められてはいないが、起草のマニュアルは存在する。

最高裁判所の判決文は、たいていは民集刑集や公式ウェブサイトに載せられている。ただ、重要性が低いと判断されたものについては除外されている。無論、判例タイムズなど在野の書籍が、除外された判決文の内容を紹介することは妨げられない。下級裁判所の過去の判決文については、公開の是非は裁判所が職権で決める。判決書は行政文書ではないため、情報公開法に基づいて非公開の決定を覆すことはできない。公開が認められる場合でも、名誉毀損を争った事件など当事者のプライバシーに配慮する必要がある場合には、裁判所は不適切だと判断した箇所を塗りつぶした上で公開する。ただし、裁判所には、何らかの手違いで流出した判決書の流通を差止め、回収する権能は認められていない。司法の透明化が日本国憲法の理念だからである。ジャーナリストや法学者が、法曹の知人を通じて非公開の判決書を入手する行為は、脱法というより純粋に合法である[2]著作権法第13条に明記されている通り、判決文に著作権は存在せず、自由に転載することができる。


脚注^ 例えば、半田和朗 『やさしい裁判法 法壇のある風景』 信山社(1998年)を参照。
^ 無論、名誉毀損を理由に処罰されることはあるが、これは訴訟の当事者の利益を考慮したものであり、裁判所の法益を侵害したことを理由に制裁が加えられるわけではない。


用語
確定判決
上訴では取り消せない判決をいう。民事では、確定力・執行力・形成力を持つ。
主文後回し
死刑判決を言い渡す場合、判決理由から始まり判決の内容(主文)は最後になることが多い(例外もある)。これを主文後回しと一般的に呼んでいる。このようにする理由は先に死刑を言い渡してしまうと被告人は衝撃を受けてしまい判決理由が頭に入らなくなるからだと言われている。


関連項目

裁判 - 決定命令

判例判例集

司法

訴訟


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen