刑罰
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刑罰の意味と目的
威嚇(抑止)( オースチン「法実証主義の出発点」)

社会規範の表出(価値の再確認 =「社会が何を許さないか」という蓄積されてきた価値の確認)

被害者及び社会の感情的修復(応報 )

社会的結束・動員のツール(共通の敵をつくることによる親和)(スケープゴート、厄払い、バッシング

祝祭 (秩序の文化人類学的再生産)( 公開処刑ワイドショー)( フーコー「監獄の誕生」)


日本の現行法における刑種

日本における刑罰は主刑と附加刑とに分けられる(刑法9条)。付加刑とは主刑の言渡しに付加してのみ言い渡すことができる刑罰を言う。

主刑

死刑

懲役

禁錮

罰金

拘留

科料


付加刑

没収

主刑の軽重は上に掲げる順序による。ただし、無期禁錮と有期懲役とでは無期禁錮を重い刑罰とし、有期禁錮の長期(当該犯罪の刑期の最長期間をいう)が有期懲役の刑期の2倍を超えるときも、禁錮を重い刑罰とする(同法10条1項)。

これらの刑種は、死刑を別として、懲役・禁錮・拘留を自由刑、罰金・科料・没収を財産刑と大きく分類される。なお、罰金ないしは科料を完納することができない場合には、労役場に留置されることとなる。

なお、比較的軽度の刑罰に対しては、刑の執行を一定の期間猶予し、その間犯罪を犯さないなどの条件を満たす場合には刑の言い渡しの効力を失わせる執行猶予という制度が設けられている。執行猶予は3年以下の懲役・禁錮、50万円以下の罰金に対して付すことが可能であり、これによって、短期の自由刑については、刑事施設内での処遇の弊害を回避しつつ、社会内で一定の心理的強制力を対象者に及ぼしつつ更生を図らせることが期待されている。

執行猶予が付されていない刑罰(一般には懲役・禁錮を指す)は俗に実刑と呼ばれる。また、行政処分の1つである反則金などとの対比において、刑事手続に基づく刑罰のことを刑事処分と呼ぶ。


刑罰の問題

刑罰をめぐる問題としては、罪刑法定主義の問題や残虐刑の禁止などがあげられるが、近年問題になっているのは厳罰化とよばれる問題についてである。


厳罰化問題


概要

犯罪が増加した場合、または抑止効果を狙って、死刑の適用、懲役禁錮の年数増加など刑を重くすること(厳罰化)が行われることがある。 つまり、ルールを破った者、罪を犯した者への対応として、教育することと、処罰を加えることのバランスにおいて、後者により重きを置くのである。

厳罰化は立法による場合(法定刑の引き上げ)、行政による場合(求刑の引き上げ)、司法による場合(量刑の引き上げ)によってなされる。厳罰化には、犯罪に対するより厳格な報復を望む被害者・遺族および世論の要望に応える目的や、社会感情を鎮めること、社会秩序の維持、国家や警察・検察機関の体面の維持などが挙げられる、さまざまな社会的要因が関係する。


厳罰化の長所と短所

厳罰化の長所としては

罪をより深く自覚させる

再犯を防止する

威嚇により犯罪を抑止する

被害者がいる場合は被害者感情、遺族感情を鎮める

社会感情を鎮める

統治権力・警察・検察等の威厳を高める

社会的結束を強化する

社会的規範を再確認する

低コストで即効性がある(小さな政府・ネオリベラリズム)

などが挙げられる。

一方、短所としては、

悪質な交通死亡事故の厳罰化のように犯罪全体の厳罰化が進むと、殺人や傷害などの凶悪犯罪との量刑のバランスが取れなくなってくる。

教育や矯正のためのプログラムに予算や人が割り振られなくなる

犯罪者個人の極悪非道性ばかりが強調され犯罪のおこった社会背景の分析や反省が行われない

被害者や被害者遺族に対する応報感情の沈静のみが強調され、実質的な保障や情報公開の必要性が隠れてしまう

国際基準に照らして、釣り合いがとれなくなる(現在日本と犯罪者引き渡し条約に締結しているのは米、韓二国のみ。参考:仏96、英115、米69、韓25)

社会の不寛容が固定化する

犯罪者の自首に対するインセンティブが薄れる(捕まりたくない)

警察検察の威圧力が必要以上に増す

冤罪のダメージが増す

国連の調査によれば厳罰化による犯罪抑止効果が統計上認められたのは軽犯罪と性犯罪(強姦殺人を除く)のみであるが、日本では軽犯罪は刑務所を溢れさせるため罰金刑導入などによる軽罰化が行われた。

などが挙げられる。


厳罰化の弊害

厳罰化には以上に列挙したように、長所だけでなくさまざまな短所・弊害をもつ。

過剰な厳罰化は、凶悪犯罪を増やすとの意見もある。精神的・生活的に追い詰められた人間は、「死刑になるのであれば、思いっきりやってしまえ!」「1人殺して死刑になるなら、もっと多く殺しても同罪だろう」という安易な思考をして、より重大な犯罪に発展するいう発想である。中国では、窃盗罪の刑罰に死刑を設けたため、かえって事件を隠蔽するため「窃盗の目撃者」を殺害してしまう事例がみられるとの指摘がある。

また、突発的な犯罪を犯した際に、厳罰化の社会では「逃走」を選択させる事も少なくない。そして、それは「逃走時の犯罪」を誘引することになる。たとえば、日本において、交通事故を起こした運転者が危険運転致死傷罪による厳罰を恐れたためにひき逃げや「飲み直し」による飲酒運転の証拠隠滅が増加したという指摘がある。


心理的な脅迫

厳罰化が進むと、無意識化の内に「心理的な脅迫」を受け続ける状態になる。この心理的脅迫は、何気ない日常を送っている間には、ほとんど気付くことはない。しかし、何不自由ない日常から一転、突如ストレスを受ける事態になり、周囲に助けてくれる人間がいなかった場合などに、これらの「無意識の脅迫」は我々を襲うことになる。

金銭トラブル・怨恨など、様々な理由から追い詰められた人間にとって、法律は自身を守るものではなく、精神的に追い詰めるものになりつつあるのである。

このため、犯罪抑止のためには、単純に厳罰化を推し進めるだけでは、不十分であって、追い詰められた人間が犯罪に走る前に、未然に救済する法律・組織などが必要であるという指摘がなされる。また、犯罪者の自首・反省を促し、犯罪を犯した人間を再教育し、更生を助ける社会を築かなければならないだろうとする指摘もある。


日本における厳罰化

最近の日本の状況も厳罰化傾向にあると指摘される。少年犯罪や凶悪犯罪(殺人・強姦など)、悪質交通事故に対する厳罰化(2001年少年法改正、2004年刑法改正、2001年危険運転致死傷罪新設)が根拠として挙げられる。しかし、警察白書などの犯罪統計によれば、日本では少年犯罪や凶悪犯罪は統計上は減少傾向にある。


犯罪報道と厳罰化

犯罪報道の過熱化と厳罰化とは密接な関係が指摘されている。1995年のオウム真理教事件、1997年の神戸連続児童殺傷事件を発端にして、ワイドショー番組でも盛んに事件報道が行われるようになった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki