狭義の共有とは、広義の共有のうち、持分の処分等について各共有者の独立性が強い類型のものをいう。
狭義の共有については、 ⇒民法第249条から、 ⇒264条に規定されている。
共有者が有する所有の割合の事を持分(もちぶん)または共有持分と言う。その割合は、意思や法律の規定によって定められるが、法律上等しいものと推定される( ⇒第250条)。
共有者の一人が、持分を放棄したときおよび死亡して相続人がいないときは、その共有者の持分は他の共有者に帰属する( ⇒255条)。ただし、死亡して相続人がいないときでも特別縁故者がいる場合は、 ⇒958条の3による特別縁故者への相続財産の分与が優先され、共有者には帰属しない( ⇒最判平成元・11・24)。この事は、相続人無き死者の財産は、本来国庫に帰属すべきだが、その財産中の共有持分をも国庫帰属とすると、「国と他共有者との共有」という非常に難解な法律関係を生み出す事になり、それを避けるために設けられた特側が255条であるという判例の立場の表れである。
共有物に対する権利
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる( ⇒249条)。具体的には、土地について3分の1の持分を有する共有者は、面積の3分の1ではなく全体を使用することができる。
共有物の変更行為[1][2]は、他の共有者全員の同意を得なければならない( ⇒251条)
共有物の管理行為[3][4]は、共有者の持分価額の過半数で決して行わなければならない( ⇒第252条本文)。
共有物の保存行為[5][6]は、各共有者が単独でできる( ⇒252条但書)。
共有者間で協議がされない時は、持分価額が過半数を超える者が単独で他の共有者の占有する共有物の明け渡しを求めても当然には効力を有しない。(最判昭41.5.19)
脚注^ 変更行為とは、保存行為と管理行為を除く、共有物の物理的変化を伴う行為と、法律的に処分する行為を言う。
^ 変更行為の具体例は、?田畑を宅地に造成する事、?売買とその解除、?共有地上に用益物権(地上権・法定地上権等)を設定する事などがあげられる。
^ 管理行為とは、共有物の使用・利用・改良を行う行為のことを指す。ここでの「利用」行為とは共有物を用いて、その性質を変更せずに収益を上げる事を指し、「改良」行為とは共有物の交換価値を増加させることを指す。
^ 管理行為の具体例としては、?共有者の一人に使用させる事 ?共有物の賃貸借とその解除 ?共有物の管理者を定めそのものに使用収益させる事などがある。
^ 保存行為とは、共有物の現状を維持する事で、全ての共有者に不利益が及ばないようにする行為のことを指す。
^ 保存行為の具体例としては、?目的物の修繕 ?腐敗し易い物の売却 ?物権的請求権の行使(但し、妨害予防請求権については不明。)などがあるが、他の共有者に不利益を与えない行為は保存行為として広く捕らえることが多い。
詳しくは、共有物分割の項目を参照。
各共有者は、いつでも共有物の分割請求ができる( ⇒256条1項)。ただし、5年以下の期間で分割禁止契約をすることはできる。
共有者間で分割の協議が調わない場合は、裁判所に対して分割を請求することができる( ⇒258条1項)。
分割の方法としては、現物分割、現物分割と過不足分の価格賠償、全面的な価格賠償による分割があり、原則として現物分割による。
本稿では、不動産の所有権について持分を放棄した場合の登記について述べる。
共有者の一人がその持分を放棄して他の共有者に帰属する場合、共有者の持分抹消登記ではなく持分移転登記をするべきである( ⇒最判1969年(昭和44年)3月27日民集23巻3号619頁)。
放棄した持分は、他の共有者にその持分の割合に応じて移転するのであって、特定の者のために持分放棄に基づく持分移転登記を申請することはできない(登記研究470-97頁)。なお、持分放棄に基づく持分取得は原始取得である(登記研究10-30頁)。
前提の登記
表示変更
共有持分放棄をした者がその前に住所を移転している場合、持分移転登記の前提として登記名義人表示変更登記をしなければならない(登記研究473-151頁)。
移転登記未了
A・B共有の不動産につきAがCに持分全部を売却した後、その登記をしないうちにBが持分放棄をした場合、持分放棄を原因とするBからCへの持分移転登記の前提として、売買を原因とするAからCへの持分移転登記をしなければならない(1985年(昭和60年)12月2日民三5440号回答)。
更正登記
真実はA・B共有であるのに、誤ってAの単独所有である登記がされている不動産につきBが持分放棄をした場合、持分放棄を原因とするBからAへの持分移転登記の前提として、A・Bの共有とする所有権更正登記をしなければならない(1985年(昭和60年)12月2日民三5440号回答参照)。
登記の可否
保存行為
A・B・C共有の不動産につきAが持分放棄をした場合、AとBの共同申請によりAからB・Cへの持分移転登記をすることはできない(登記研究577-154頁)。
一部の移転
A・B・C共有の不動産につきAが持分放棄をした場合、AとBの共同申請によりAからBへ移転した持分のみについて持分移転登記をすることができる(1962年(昭和37年)9月29日民甲2751号回答)。
一部の移転に乗じた残部の移転
上記一部の移転登記後Cが登記をしていなことに乗じて、Cに移転すべき持分をAが第三者Dへ売却した場合、売買を原因とするAからDへの持分移転登記の申請は受理される(1969年(昭和44年)5月29日民甲1134号回答、 ⇒第177条)。