使徒
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狭義

新約聖書内には、απ?στολο?の語は(複数形απ?στολοιも含めて)、「マルコによる福音書」、「マタイによる福音書」、「ルカによる福音書」、「使徒行伝」、パウロ書簡、「ヘブライ書」、「ペテロ書」、「ユダ書」、「ヨハネの黙示録」に用いられている。この内、「マルコ」[1]と、「マタイ」[2]、「ヘブライ書」[3]は、文脈上、この単語を単に「派遣されたもの」または「使者」という意味で用いている。 他の文書では、απ?στολο?は、固有名詞的に、何か権威ある称号のようなもの(邦訳で云う「使徒」)として使われている。近代批評学では「原始キリスト教」において、「使徒」がどのような定義をもつ語として用いられていたのか、その詳細はよくわからないとされる。

ルカ(の著者)の12使徒観ははっきりとしている。ルカ文書(ルカ福音書と使徒行伝)によれば、「12使徒」とは、最初にイエスによって選ばれた12人の弟子集団である[4]。旧約時代の神の民・イスラエルの12部族との関連で、12人という枠は維持すべきもので[5]、12使徒の成員の条件としては、イエスの復活の証人であり、またイエスと生前をともにした者でなければならない[6]。またルカははっきりとパウロを使徒と認めている[7][8]

さらに、パウロ書簡は、使徒の基準を伝えている。パウロ書簡による使徒の定義は、復活した主イエスの証人であること[9]主イエスに使徒として召されたことである[10][11]。重要な点として、パウロは「使徒」としての権威を強調していることが挙げられる[12]。このパウロの使徒としての権威は、使徒ペテロも認めている[13][14]。次に、パウロは、使徒は12人(あるいは、自身を含めて13人)に限定していない[15]

近代批評学では、パウロがルカと同じく、主の兄弟ヤコブを「使徒」とは呼ばないことにも、「使徒」の定義の謎が残るとされる。エルサレム教会の権威が失墜した時期以降、恐らく「使徒」の厳しい定義も消えていったと考えられる。

歴史的な「正統派」キリスト教会は、パウロを「使徒」と認め、それは現代にまで至る。


十二使徒

前述のように、「十二使徒」は極めてルカ的概念である。ただし、ルカは「十二使徒」という言葉そのものは用いていない。新約中、この言い方は、「ヨハネ黙示録」21節14節のみである(マタイ10章2節については、前述の通り)。

新約聖書内では、ルカ福音書と使徒行伝を除いては、使徒を12人に限定していないが、イエスの高弟である「十二人」(δωδεκα)については、幾つかの文書に記されている。彼らは、イエスから悪霊を払うための権能を授けられたという。12という数字は、イスラエルの12部族に対応するものと思われる。「十二人」のすべての名は、「マルコ福音書」[16]に記されており、「マタイ」[17]、「ルカ」[18]、「使徒行伝」[19]は、これを写したものである。「ヨハネによる福音書」には、「十二人」の存在は語られるが、内数人のみの名が挙げられている。他に、「第1コリント書」[20]、「ヨハネの黙示録」[21]など。使徒行伝によれば、イスカリオテのユダによる欠員をマティアで埋めたという[22]

福音書によって構成員の名前が異なること、ほとんど言及されない人物もいること(後掲の図参照)から、イエス時代の史実でないと考える研究者もいる。ルカの「十二使徒」という概念は、後に「正統派」教会においてドグマ化し、広く定着した。

マルコマタイルカ使徒行伝ヨハネ
シモン・ペトロ(B1)シモン・ペトロ(B1)シモン・ペトロ(B1)シモン・ペトロヨハネの子シモン・ペトロ(B1)
ゼベダイの子ヤコブ(B2)ゼベダイの子ヤコブ(B2)ゼベダイの子ヤコブヤコブ(B2)ゼベダイの子たち(!)(?)
ヨハネ(B2)ヨハネ(B2)ヨハネヨハネ(B2)イエスに愛された弟子(?)[23]
アンデレ(B1)アンデレ(B1)アンデレ(B1)(!)アンデレ(!)アンデレ(B1)
フィリポ(!)フィリポ(!)フィリポ(!)フィリポ(?)フィリポ
バルトロマイ(!)バルトロマイ(!)バルトロマイ(!)バルトロマイ(!) 
マタイ(!)徴税人マタイマタイ(!)マタイ(!) 
トマス(!)トマス(!)トマス(!)トマス(!)ディディモ・トマス
アルファイの子ヤコブ(!)アルファイの子ヤコブ(!)アルファイの子ヤコブ(!)アルファイの子ヤコブ(!) 
タダイ(!)タダイ(!)   
  ヤコブの子ユダ(!)ヤコブの子ユダ(!) 
熱心者のシモン(!)熱心者のシモン(!)熱心党員と呼ばれたシモン(!)熱心党のシモン(!) 
    ナタナエル[24]
イスカリオテのユダイスカリオテのユダイスカリオテのユダ イスカリオテのシモンの子ユダ
   マティア 

注:

(B) は兄弟関係を表す。

(!)は、ただ一回のみの言及。

(?) は、他の文書内の使徒と同一人物であるかわからないもの。

レオナルド・ダ・ビンチによる「最後の晩餐」における配置は左から以下の通り: バルトロマイ(ナタナエル)、アルファイの子ヤコブ、アンデレ、ユダ、シモン・ペテロ、ヨハネ。イエスを越して、トマス、ゼベダイの子ヤコブ、フィリポ、マタイ、タダイ、熱心党のシモン。



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki