住居侵入罪は未遂も処罰される(刑法132条)。例えば、他人の家の塀を乗り越えようとした時点で、住居侵入罪の未遂となる。
たとえ立入り行為が「侵入」ではないなどとして住居侵入罪の成立が否定されたとしても、管理者等から退去するよう要求されてこれに応じない場合には不退去罪が成立する。住居侵入罪と不退去罪とどちらの犯罪成立要件とも満たす場合には、住居侵入罪のみを成立させるのが判例の立場である。
例えば窃盗目的で人の家に忍び込んだ場合には、窃盗罪と住居侵入罪の2罪が成立し、両罪は手段と目的の関係にあるといえるため牽連犯(刑法54条1項後段)となり、科刑上一罪として最も重い罪の法定刑の範囲で処罰される。窃盗罪のほかにも、強盗罪、放火罪、強姦罪、殺人罪などが牽連犯の関係にあるとされる。
立川反戦ビラ配布事件や葛飾政党ビラ配布事件など、政治団体や政党の活動の一環としてビラやチラシの配布を行うために、住民の了解なく、もしくは住民から立入らないよう求められている部外者が住居(共用部分)に立ち入る行為が住居侵入罪となるかどうかが争われる事例が生じている。
そこでは、まず、物理的には常時誰でも立ち入ることができる場所に立ち入ったに過ぎず、住居侵入罪の客体である「住居」等への侵入に該当しないのではないか、という議論がなされている。
また、平穏を害しないような態様で立ち入ったに過ぎず、立入りの目的も憲法21条によって保護された表現の自由の範疇に属する行為であるため、「侵入」に該当しないのではないか、「正当な理由」に基づく立入りであって処罰すべきではないのではないか(可罰的違法性の問題)、といった議論がある。そこでは、宅配ピザなどの商業用のビラを配布する行為とは異なり、上記のような政治的なビラを配布する行為は表現の自由の中でも特に尊重すべきであり、居住者のプライバシー権を超越すると言う意見もある。
また、逮捕・起訴された者が配布していたビラは反戦運動や共産党その他左翼団体の政治活動として配布されているものであり、一方で、商業的なビラの配布行為が住居侵入罪を構成するとして逮捕・起訴されたことがない(少なくとも社会的に大きな問題として取り扱われてはいない)ということに基づく不満も背景にある。
裁判例でも有罪とするものと無罪とするものとが混在しており、それぞれの理由も異なっている。なお、2008年4月11日、最高裁第二小法廷は立川反戦ビラ配布事件について、住居侵入罪の成立を認めるとともに、管理権者の意思に反する行為であり、住民の私生活の平穏を害する行為であるとして憲法21条1項に反しないとした。
関連項目
不退去罪
所有権
囲繞地通行権
相隣関係
営業の自由
表現の自由
立川反戦ビラ配布事件
葛飾政党ビラ配布事件
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往来を妨害する罪
刑法「第二編 罪」
130条〜132条
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更新日時:2008年4月12日(土)01:16
取得日時:2008/07/25 12:22