人工衛星は高高度を飛行するために、非常に広い地域を可視域とすることができる。このことが今日、人工衛星が広く利用されている最大の理由で、開発初期から通信・気象・偵察衛星が生まれたのもこのためである。近年ではこれらのほかに測地衛星、資源探査衛星など多種多様の実用衛星が登場している。通常、通信・気象衛星は静止軌道上に置かれるが、他の衛星は比較的低高度の軌道に置かれる。地表面観測、探査技術は最近急速に進歩しており、リモートセンシング技術を用いた埋蔵資源、土地利用、環境汚染、魚場調査などの広範な応用が現実のものとなっている。スペースシャトルが実用化された現在では、大型の宇宙実験室が実現しつつあり、これを用いた宇宙工場の調査も活発で、無重量状態、真空状態などの宇宙空間の産業的地盤としての有効性も模索されている。
宇宙開発も約半世紀を経て、人工衛星の数は急増しており、衛星どうしの衝突の可能性も問題となりつつある。また大型人工衛星や原子力衛星の落下(コスモス954号)もすでに社会問題となっており、国際的な対策が不可欠である。また宇宙空間の軍事利用化も進行しつつあり、科学技術の面以外にも、政治・外交など広い面での国際協調も必要となってきている。
衛星は次のサブシステムを統合して製造される。
ミッションを実現するための観測機器。
詳細はトランスポンダを参照
通信・放送衛星の場合搭載される機器。地上から発射された電波を受信し、周波数変換し、大電力増幅して再び地上に送出するための送受信機。
電波の出入り口で、放送・通信ミッションやレーダー観測衛星で重要な役割を果たす。
ミッションを実現するためのサブ・サブシステムであるが、比較的大型であることと、設計製造に特殊な技術を要することから独立に扱われることが多い。
詳細は姿勢制御を参照
地球センサ、太陽センサ、恒星センサと、慣性誘導装置、制御用計算機より構成される。これらを組合せ制御系を構築し、衛星を必要な姿勢に変更したり、姿勢を保つことを司る。
電源系
太陽電池、蓄電池、変圧装置、制御・分配装置により構成され、蓄電池への充電制御や、搭載機器への電力供給制御、回路の保護(ショート耐性)等をする為のサブシステムである。
衛星の種類によっては、衛星分離を検出し、衛星を起動させる。
惑星探査機では太陽電池が使えない事があるが、その場合は原子力電池など代替の電源を用意する。
衛星は宇宙空間にて高温から低温の過酷な環境に晒される。また、真空である宇宙空間では輻射による廃熱しかない。そのため、搭載した機器が良好に動作するためには、動作温度に収まるよう上手に設計する必要がある。実際のハードウェアとしては、次のような手段を駆使して実現する。
サーマル・ブランケット
断熱材のこと。熱の出入りを抑える。
ヒートパイプ
熱源からの過剰な放熱をラジエータまで伝達する。
ラジエータ
熱放射器のこと。
ヒーター
過剰に冷却されないよう機器を暖める。
静止衛星では、夏至、冬至、春秋分の条件下で、太陽光の当たり具合や、地球からの輻射を考慮しながら、有限要素化した衛星の構造モデルを用いて設計解析する。
テレメトリ・コマンド・レンジング系
テレメトリ
地上の管制局に衛星の状態を送信する機能。
コマンド
地上からの命令を受信し、衛星に搭載された機器の制御をするための機能。通信速度は遅くてよい。
レンジング
地上局と衛星の測距を行うための機能。衛星は日々、軌道がずれていくため、そのずれを把握するために行う。
衛星は、打上げ時、分離時に大きな衝撃を受ける。その際に、衛星自体や、搭載した機器が破損しないよう設計されている必要がある。
推進系
計画軌道に衛星を投入しても、放置しておくと、地球の重力異常や、太陽風による擾乱のために、徐々に軌道が変わっていく。そのため、スラスターを稼働させ、軌道制御を行う。
偵察衛星の場合、偵察のために必要な軌道変更を行うためにも使われる。
静止衛星の場合、静止トランスファー軌道から静止軌道に軌道変更するためのアポジ・モーターを搭載するが、それも推進系を構成する。
静止衛星が寿命を全うし、残骸が貴重な静止軌道を占有することがないよう、最後に軌道高度を上昇させるためにも使用する。周回衛星が、地球に落下するとき、安全な突入軌道にするためにも使用できる。
設計モデル
設計確認用
ブレッドボード・モデル
エンジニアリング・モデル
熱・構造モデル
プロトタイプ・モデル(PM)