人名
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日本における人名をめぐる文化、制度、歴史


言葉としての特徴

今日の日本人の名前は、典型的には、苗字が漢字2文字、名が漢字2文字からなる。ただし法的制限などがあるわけではなく、苗字・名とも漢字1文字や3文字のものも多い。研究者の間で確認されている限りでは、苗字は漢字5文字のものが最長である。漢字5文字からなる苗字は、その種類もごく限られている。名においては、女性には平仮名も比較的多く見られる。片仮名は、男性には時代を通じて稀であるが、女性においては戦前には比較的よく使われた。戦後になって使用される例は減ったが、近年では個性的な名前を望む風潮から使われる例が増えている。

一般的な例)

1文字苗字:東、西、南、北、辻、森、林、谷、原、岡、堺…など

2文字苗字:佐藤、鈴木、田中、山本、高橋、中村、渡辺、小林、原田…など

3文字苗字:長谷川、佐々木、五十嵐、久保田、佐久間、小笠原、大久保、小野寺、波多野…など

4文字苗字:勅使河原(勅使川原・てしがわら)、小比類巻(こひるいまき)、長宗(曽)我部(ちょうそかべ)…など

5文字苗字:勘解由小路(かでのこうじ)、左衛門三郎(さえもんさぶろう)、正親町三条(おおぎまちさんじょう)…など  
※読み方は代表的なものを記載。

苗字・名どちらも比較的独自の語彙があるため、ある人の姓名を聞いて、それが人の姓名だとわかるのが普通である。また、苗字か名かいずれかを聞いた場合、「はやみ」「わかな」「はるな」「よしみ」「あいか」「まさき」「とみお」などのごく稀な例外を除いて、それがどちらであるかを区別することも比較的易しい(これは、例えば英語でRyan Douglas Scottのように姓にも名にも用いられる語がかなり多くの人の人名に使われていることと対照的である)。

しかし、姓名を聞いた時にそれがどのような文字で書かれるかについては必ずしも分からない場合が多い。これは同じ読みのものがたくさん存在するという漢字の特徴にちなむ。また、漢字で書かれた名前から正しい読み方が特定できない場合もある。これは、馴染みの薄い読み方(難読人名)であるために起こることもあるが、単に2つ以上のよく知られた読み方があるために起こる場合もある。日本の漢字は読み方が多いためこのようなことが起こりやすい(例えば、「裕史」という名はひろし、ひろふみ、ゆうし、ゆうじ、などと最低4通りの読みがある/字面通りの読みである必要はないので、実際にそれ以上存在する)。そのため、各種の申込書・入会書・願書・申請書などに名を記す時に振り仮名の記載を求められる場合が多いが、法的にそれを証明する手段が乏しい(名前の読みまで記したものが殆どない)。これは、戸籍が読みではなく字を基準にした制度であるためで、同じ戸籍内の者に「異音同字」の名前をつけることは出来ない(稀に夫婦で同名というケースもあるが、これは問題ない)。ちなみに「異字同音」の名前は可。

苗字の大半は地名に基づいているため、地名に多い田・山・川・村・谷・森・木・林・瀬・沢・岡・崎などの漢字を含むものが名字の多数を占める。

僧侶の名前などは音読みとなる場合が圧倒的に多い。文筆家の号も音読みのことが多く、藤原俊成(としなり・しゅんぜい)や藤原定家(さだいえ・ていか)、藤原家隆(いえたか・かりゅう)のように、本来訓読みでも音読みで読み慣わしている例もある。(→有職読み

名前を聞いたり見たりした場合に、その名前の主が男性であるか女性であるかを見分けることは比較的易しい場合が多い。一般的には、男性の名には「健」「武」「雄」「剛」「俊」など力強さや雄大さを連想させる文字がよく使われ、「?介」「?之」「?太」と続く名前が多い。生まれた順番に、男性を意味する字である郎・朗を付けて「一郎(太郎)」「二郎(次郎)」「三郎」などとすることは昔に比べ少なくなったが、前の字に漢数字を付して「健一」「浩二」などとすることは現在でも散見される。女性の名には「優」「恵」「理」「愛」など優しさや可愛らしさを連想させる文字がよく使われ、「?子」「?美」「?香」「?奈」と続く名前が多い。ただし昨今は「?子」で終わる名前が少なくなってきているとも言われる。また、「桜」「桃」など花の名前もよく使われる。男性に比べ名前が平仮名である割合も多い。
一方で、『ユウキ』『ヒロミ』『ツカサ』『カオル』など、旧来から男女両方に使われる名も少なからずある。最近では『ナギサ』『チヒロ』など旧来は女性名とされてきたものが男性に使用される場合や、『アキラ』のように男性名とされてきたものが女性に使われる場合もある。また、女性的に見える名前が男性に付けられる事もある。例えば蘇我馬子小野妹子平国香正親町三条実愛一条忠香明治天皇の岳父)などの歴史上の人物、田沼則子(三木のり平の本名)・渡邉美樹?ワタミ社長)や、吉田照美(フリーアナウンサー)のように「?美」を付ける男性もいる。特に「?美」は男女が非常に判り辛い。これら『子』や『美』が男性に使われる事があるのは、『子』の字が男性の美称でもあることに由来(その名残で現在でも「日子(ひこ)」と同音の「彦(ひこ)」が男性に使われている)し、『美』の字が「大きな羊」という意味から作られた字であることに由来している。


また、元々は外国の人名であるものに漢字を当てた名前も多い。『レオ』『サラ』などは近年になって使われだした名前だが、『ジョウジ(ジョージ)』『ナオミ』『エリカ』『リサ』『マリ』などは、今や日本人名として広く定着している。


姓の継承と変更

婚姻により夫と妻が新たな戸籍を作る際には、その姓(苗字のこと。法制度上は、「」と称していることに注意)として夫・妻いずれかの結婚前の姓を付けるものとされており、結果として結婚後の両者の姓は統一される。どちらの姓を採るかはその夫妻の決定に委ねられるため、単純に考えれば双方5割前後となるはずだが、旧民法家制度の下で妻は嫁として夫の「家」に入ってその姓を名乗るもの、という意識が広まった結果、新民法の下でも95%以上の戸籍で夫の姓を採用している。この制度については1990年代半ば頃から見直しの気運が高まっており、「夫婦別姓」問題として議論されている。結婚後も夫婦別姓を採用することの利点として、姓を変える側(通常女性)が一方的に蒙る社会生活における煩雑さや不便が避けられること、結果の平等の視点にたち男女平等の精神に即したものであること、などが指摘されている。反対意見として夫婦の絆を弱めるものだとの意見や、夫婦の間に生まれた子供の苗字をどちらにするかの問題などがある。

養子縁組の場合は養親の姓を名乗ることになる。

近世以降、現代の日本における姓の動向については、特に記事 「」 に挙げる。


名付け

現代の日本では、上述したように、正式な名前は姓と名からなる。これは戸籍に登録されており、新生児は出生後14日以内(国外で出生があった時は3ヶ月以内)に登録する(戸籍法第49条)。

名前は親や祖父母などが考えて決める場合が多い。子供の名前を集めた本や姓名判断など占いの類を参考にする場合もあるが、出生当時の社会情勢が子供の名付けに反映されることも多い[4]

例えば、昭和10年代では戦時体制下を反映して男性の名前に「勝」「勇」などの名が上位に見られるが、戦後昭和21年以降になると「勝」は上位10位から姿を消す。昭和50年代以降は有名スポーツ選手やテレビドラマなどの主人公名が上位に見られるようになる(例えば、荒木大輔が高校野球で大活躍した時期には「大輔」が流行した。松坂大輔もその一人とされる)。女性の名前から「○子」が少なくなるなどの変化が見られる。また、皇室の影響を受ける場合も多く、今上天皇明仁)が皇太子時代に成婚した際は「美智子」という命名が流行し、続いて皇太子徳仁親王生誕の際には浩宮にちなんで「浩」という漢字を付けることも流行した(浩之・浩子など)。



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki