ポルトガル語圏では、姓名の構成はスペイン語圏によく似ているが、姓名に父方の姓と母方の姓を並称する場合は「名、母方の祖父の姓、父方の祖父の姓」の語順となり、スペイン語圏と反対である。
18世紀ドイツにおいては、洗礼の際にミドルネームが与えられることがあった(必ず与えられたわけではない)。もしミドルネームが与えられた場合には、その人はそのミドルネームで知られることになり、ファーストネームは余り用いられなかった。しばしば教会の記録などでもファーストネームが省略され、ミドルネームとラストネームだけが用いられた。また、ある一家の男の子達が全員ヨハネスというファーストネームを持つ、というようなこともあった。この場合でも、洗礼と共に各人に別々の名前が与えられ、その名前が用いられるようになるため、問題がなかったとされる。また、女性のファミリーネームを記録する際には元の名前の最後にinを付す習慣があった(例えば「Hahn」が「Hahnin」と書かれる)。また、一家で最初に生まれた男の子には父方の祖父の名を、一家で最初に生まれた女の子には母方の祖母の名をつけることがしばしば見られた。「花の咲く土地」を意味すると思われる姓Floryに、他にもFlori、Florea、Florey、Flurry、Flury、Florie、など似た姓が数多くある。これはその姓を持っていた人々が文字を書くことができず、名前を発音することはできても綴ることができなかったため、筆記を行った人によって異なる綴りになったと考えられる。
英語圏の姓名は多くの場合、3つの構成要素からなる。ファーストネーム、ミドルネーム、ラストネームである。ファーストネームはギブンネーム(given name)とも呼ばれ、ラストネームはサーネーム(surname)、ファミリーネーム (family name)などとも呼ばれる。
ラストネームは、日本における姓とほぼ同じもので、父系の家系を通じて受け継がれる。稀に、母のラストネームが父のラストネームとハイフンでつながれて子に受け継がれることなどもある。
ミドルネームはファーストネームと同時に親が名付けるもので、多くの場面でイニシャルだけの省略系が用いられる(ミドルイニシャルと呼ばれる)。稀に、ミドルイニシャルだけを持ち、ミドルネームがない場合もある。ハリー・S・トルーマン大統領はその一例であり、このようにイニシャルだけを与えることはアメリカ南部に見られた風習だとされる。なお、ミドルネームが無い場合もある。
西欧社会では女性は結婚と共にそれまでの姓を夫の姓に換えることが普通であったが、アメリカでは、20世紀中ごろから女性が結婚後も姓を変えない風習がひろまりつつある。また、両者の姓を併記するカップルもいる。
古代ローマの自由人男性の氏名は多くの場合3〜4の部分からなっていた。個人の名前、氏族の名前、家族の名前、および添え名である。例えばガイウス・ユリウス・カエサルは、「ユリウス氏族のカエサル家のガイウス」という名であった。このうち個人名のバリエーションは少なく、20種類ほどに限られていた。そしてクィントゥスは日本語的には「五郎」といった感じで数字由来の名を付けることも多い。また個人名はバリエーションが少ないこともあって略して記されることも少なくない。以下はその対応。
ガイウス - C
マルクス - M
ルキウス - L
ティトゥス - T
ティベリウス - Ti
プブリウス - P
クィントゥス - Q
デキムス - D
グナエウス - Cn
アウルス - A
ヌメリウス - N(またはNum)
自由人女性には個人名はなく、氏族名の女性形やあだ名で呼ばれていた。例えばクラウディウス氏族の娘はクラウディアと呼ばれ、ユリウス氏族の娘はユリアと呼ばれた。
養子の場合にはもとの姓を家族名の後ろにつけた。例えば、オクタウィアヌスの場合「ガイウス・オクタウィウス・トゥリヌス」がカエサル家に養子となった後は「ガイウス・ユリウス・カエサル・オクタウィアヌス」となった。
沿え名は国家に功績のある場合などに元老院の決議などにより与えられた。多くアフリカヌス、ゲルマニクスなど勲功を上げた土地の名にちなんで与えられた。また出身地の名称からとられることもあった。こうした添え名は一代限りのものも多かったが世襲を許され、家族名として用いられるものもあった。
オランダでは前置詞 van を含んだ姓 (surname) が多く見られる。van は英語 of あるいは from の意味を持ち、出身地を示すが、現代ではもとの意味はほとんど失われている。英語圏で見られるようなミドルネームは持たない。複数の個人名 (given name) を持つこともあるが、日常的に用いるのはそのうちの1つだけであり、ほとんどの場合はファーストネームを使う。そのため大部分の人はファーストネーム・サーネームの組み合わせで広く知られることになるが、フルネームで最も良く認識されている場合もある。貴族の家系では Huyssen van Kattendijke などの複合姓 (double surname) を持つこともあり、この場合 Huyssen はファーストネームではない。ナイトに対応する称号としては ridder が知られる。
ファーストネームが複雑な場合には省略した通称で呼ばれることもあり、例えば Hieronymusch が通称 Jeroen などとなる。大きな契約や結婚、IDカードなど以外には通称を用いるのが普通である。複数の個人名を持っている場合、通称も複数個からなるものを用いることがある。
その他の国や地域
インドについては、インド人の名前を参照。
アイスランドでは、家系に共通の姓はない。姓名は通常、子供の名と、父の名の語尾に接尾語を加えた名の2つの部分からなる。接尾語は、男の子には息子を意味するソン(son)、女の子には娘を意味するドッティル(dottir)を父の名の後に付すという形をとることが法律で定められている。電話帳では、ファーストネームにより検索することになる。
トルコでは、1934年に導入された創姓法によって、国民全員が姓を持つことが義務付けられた。
フランスではナポレオン法典によって子供につけられる名前が聖人の名前などに限定されたことがある。Jean-PaulやJean-Lucのような2語からなるファーストネームがフランスで一般化したのは、そのような状況の中で名前に独自性を持たせようとした当時の工夫のためである。フランスでは子供に付けられる名前が少なく(アラン、フィリップなど)、同じ名前の人物が多数いるという状況で、苦情が絶えない。
ギリシャ人は長男に父方の祖父の名をつける、などの習慣がある。また「〜の息子」を意味する「〜プーロス」という姓が用いられることも多い。(例:「ステファノプーロス」=「ステファノスの息子」→ギリシャ系アメリカ人で米TVコメンテーターのジョージ・ステファノポロス等が有名)。また古代ギリシャ人では姓は形跡があったものの、一般化しておらず、このため古代ギリシャの人物は「ハリカルナッソスのヘロドトス」にように地名を冠して呼ばれることが多い。ギリシャ人に姓が普及したのは、有力貴族が成長してきた9世紀の東ローマ帝国時代以降のことである。
犬や猫などのペットには通常、人名と同様の個体固有の名前が与えられる。日本では犬の「ポチ」、猫の「タマ」などが比較的典型的な名前として知られている。アメリカでは犬には「Dude」が多い。これらの名前からわかる通り、ペットの名前は人間の名前とは明らかに異なるものである場合も多い。