人名
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インドシナ半島の名前

ベトナムを除いて、伝統的にこの地域では姓はない。しかし、カンボジアラオスでも旧宗主国フランスの影響で父の名などを姓として名のうしろに付加するようになった。

ミャンマーには今も家系に共通の姓はなく、必要な時には両親いずれかの名と自分の名が併用される。また、名を付ける際には、その子が生まれた曜日によって頭文字を決める。

タイに関しては、タイの名前を参照すること。


インドネシア・マレーシアの名前

この両国でも姓は義務づける法はないが、スマトラ島のバタク人や、マルク諸島(モルッカ諸島)、フロレス島などでは氏族名を姓のように用いる。ジャワ島のジャワ人とスンダ人の多くは名しか持たないが、貴族の家系は姓を持っていて名のうしろにつける。イスラム教徒のマレー人、アチェ人、ジャワ人、スンダ人はアラブ式に父の名による呼び名を持ち、名のうしろにつけて姓のように使う場合もある。


フィリピンの名前

フィリピンのキリスト教社会では、名前は西洋式に「名、ミドルネーム、姓」の3つの部分からなる。その場合、未婚者および男性は母親の旧姓を、結婚して夫の姓となった女性は自分の旧姓をミドルネームとしていることが多い。ミドルネームはイニシャルのみを記す場合と、そのまま書き表す場合がある(例:グロリア・マカパガル・アロヨ)。姓は植民地時代にスペイン人の姓から選んで名乗ったため、スペイン語姓が主流であるが、華人系の姓も多い。名は旧来のスペイン語の名前に加えて、英語その他主にヨーロッパ系の名前が自由につけられている。


キリスト教圏の名前

キリスト教圏では、姓についての慣習は各国語圏で異なるが、名については聖人天使に由来する名前が好んで付けられる。例えば、「マイケル」(英語)・「ミシェル」(フランス語)・「ミヒャエル」(ドイツ語)・「ミケーレ」(イタリア語)・「ミゲル」(スペイン語)・「ミハイル」(ロシア語)・「ミカ」(フィンランド語)は、すべて大天使ミカエルに由来する名である。その他、聖書に登場する人物の名が多い。ポール・パウル・パオロ・パブロ・パヴェル(聖パウロ)、ルイス・ルートヴィヒ・ロドヴィコ・ルイージ・ルドヴィクス(聖ルイ)、ジョン・ハンス・ヨハン・ヨハネス・ジャン・ジョヴァンニ・フアン・ジョアン・イヴァン・ヨアニス・ヤン・ショーン(使徒ヨハネ)などなど。

また、古代ローマ人の名を由来とすることも多い(例:ジュリアス←ガイウス・ユリウス・カエサルの「ユリウス」の英語読み)。女性については、花などの名前を付けることも多い(例:ローズ←バラ)。

Counterparts of given namesの項(英語)も参照のこと。


スラヴ系の名前

スラヴ系の諸民族では個々の民族によって異なるが「名・ミドルネーム・姓」の3つの部分から成りミドルネームは父親の名前を基にして作るという人名の付け方を持つ民族が多く見られる。ここでは一例としてロシア語名を取り上げる。

ロシア人の名前をフルネームで表記する時は原語での順序は「名・ミドルネーム・姓」となる。但し公式文書等では「姓,名・ミドルネーム」と書かれる。公式な場(例えば大統領へのインタヴュー等)での呼び掛け、あるいは目上の人に対する呼び掛けでは「名・ミドルネーム」が使用される。それ以外では、呼び掛けには専ら名の愛称形が使用される。ミドルネームは父称(ふしょう;Отчетество)といい父親の名前を基にして作るので性別を同じくする同父兄弟のミドルネームと姓は必ず同一となる。性別を同じくすると特にことわるのは、ロシア語には文法上のとして男性、中性、女性の三性がありロシア人のミドルネーム・姓は殆ど全ての場合個人の生物学上の性に依って男性形・女性形の異なる語尾を採る為である。

ロシア人の父称の付け方父の名の語尾父称
男性形女性形
-a/-ja-ich-ichna/-inichna
-i/-ji-jevich-jevna
(子音)-ovich-ovna

父称は父親の名前にその語尾の音に応じた適切な語尾を付加して作られる(右表参照)。父称の男性形は男性のミドルネーム・女性形は女性のミドルネームに用いられる。

例えば父の名が1)"Илья"(Ilija、イリヤ)、2)Николай(Nikolaji、ニコライ)、3)Иван(Ivan、イヴァン)の三つの場合で父称男性形はそれぞれ、1)Ильич(Iliich、イリイチ)、2)Николаевич(Nikolajevich、ニコラエヴィチ)、3)Иванович(Ivanovich、イワノヴィチ)とそれそれ変化し、一方父称女性形は、1)Ильинична(イリイニチナ)、2)Николаевна(Nikolajevna、ニコラエヴナ)、3)Ивановна(Ivanovna、イヴァノヴナ)となる。現代男性名では「---イチ」の形が父称に多くなってはいるが、中世までは「-ш、-シ」(「〜の息子」という意味合い)という語尾を採る父称が多かった。これらは南部スラヴ人種(ブルガリアなど)に一部残っている傾向がある.

姓の部分は形容詞の変化に準じて男性形・女性形となる。-ский(-skij)、-ин(-in)、-ев(-jev)、-ов(-ov)等は地名などについてその場所に帰属する、又は出身である等を示してスラブ人の姓を造る接尾辞であるが、これらは形容詞男性形で対応する形容詞女性形語尾は、-ская(-skaja)、-ина(-ina)、-ева(-jeva)、-ова(-ova)等となる(-in, -jev, -ovは姓に限らず一般に名詞に付けて物主形容詞を造る接尾辞である)。こうして自分の名がニコライ、姓がカレーニンで父の名がイヴァンという男性の場合はニコライ・イヴァノヴィチ・カレーニンが正式なフルネームとなる。この人の姉妹で、アンナという女性の場合は、アンナ・イヴァノヴナ・カレーニナがフルネームとなる。またストラヴィンスキーなどの姓は女性の場合ストラヴィンスカヤとなる。ロストフ(Rostov)というような姓は女性だとロストヴァ(Rostova)となる。なお注視すべきはウクライナ系グルジア系ロシア人の姓名に付いては歴史的経緯から、同姓で男性のみ格変化を起こす場合と性差関係無く無変化の場合があるなど、個々の相違点が見られる。

ロシア語以外での人名の規則や傾向についてはロシア語名と異なる部分も少なくないが、基本概念は同じである。


スペイン語圏の名前

スペイン語圏では、姓は他の多くの国と同じ様に、基本的に父方から子へと父系相続で伝えられるのが基本となるが、個人の姓名を構成する部分の数は人によって異なる。名が最初に来る点では共通で、それに続く部分は父方の姓と母方の姓の一部または全部からなる。例えば「名、父方の祖父の姓、母方の祖父の姓」と3つの部分からなる名前がある。あるいは「名、父方の祖父の姓、父方の祖母の姓、母方の祖父の姓」「名、父方の祖父の姓、父方の祖母の姓、母方の祖父の姓、母方の祖母の姓」と4つまたは5つの部分からなる姓名を持つ場合もある。また、女性は結婚すると「名、父方の祖父の姓、 de+夫の父方の祖父の姓」で名乗るのが一般的となる。


ポルトガル語圏の名前

ポルトガル語圏では、姓名の構成はスペイン語圏によく似ているが、姓名に父方の姓と母方の姓を並称する場合は「名、母方の祖父の姓、父方の祖父の姓」の語順となり、スペイン語圏と反対である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen