京都議定書
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気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書
通称・略称京都議定書
気候変動枠組条約京都議定書
署名1997年12月11日
署名場所日本・京都市
発効2005年2月16日
寄託者国際連合事務総長
文献情報平成17年1月20日官報号外第10号条約第1号
言語アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語
主な内容先進国等が約束期間において数量化された約束に従って温室効果ガスの排出を抑制しまたは削減すること等を定める
関連条約気候変動枠組条約
条文リンク気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(外務省
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気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(きこうへんどうにかんするこくさいれんごうわくぐみじょうやくのきょうとぎていしょ、: Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)は、1997年平成9年)12月に京都市国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)で同月11日に採択された、気候変動枠組条約に関する議定書である。通称は、京都議定書(きょうとぎていしょ、: Kyoto Protocol)。以下、原則として京都議定書の表記を用いる。
概要

地球温暖化原因となる、温室効果ガスの一種である二酸化炭素メタン亜酸化窒素ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄について、1990年(平成2年)を基準として各国別に先進国における削減率を定め、共同で約束期間内に目標値を達成することが定められた。

ただし、京都議定書第3条第8項に基づき各締約国は ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄の基準年として 1995年(平成7年)を選択できることとされている。この規定は京都議定書の枠内のみである。京都議定書の上位概念である気候変動枠組条約では、一部の経済移行国を除き、基準年として1990年(平成2年)しか選択できないこととされている。このため、直近年の温室効果ガス排出量の基準年比増減率が気候変動枠組条約と京都議定書で異なる値で発表されることがある点に留意が必要である。日本国内では専ら京都議定書の基準年との比較による増減率が提示される。一方、締約国会議では条約の基準年を用いた増減率が提示されることが多い。

また、京都メカニズムや、吸収源活動が盛り込まれている。

運用細目は、2001年(平成13年)に開かれた第7回気候変動枠組条約締約国会議において定められた。
削減目標

議定書で設定された各国の温室効果ガス6種の削減目標。京都議定書第3条では、2008年(平成20年)から2012年(平成24年)までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年(平成2年)に比べて少なくとも 5%削減することを目的と定め、続く第4条では、各締約国が二酸化炭素とそれに換算した他5種以下の排出量について、以下の割当量を超えないよう削減することを求めている。

92% -  欧州連合15か国

93% -  アメリカ合衆国

94% -  カナダ、 ハンガリー、 日本、 ポーランド

95% -  クロアチア

100% -  ニュージーランド、 ロシア、 ウクライナ

101% -  ノルウェー

108% -  オーストラリア

110% -  アイスランド

欧州共同体旧15ヵ国は京都議定書第4条の下で共同で削減を行うことが認められている。欧州が採択するバブルでは、欧州共同体15カ国のそれぞれの削減目標がEU指令で定められている。このEU指令下では、京都議定書策定以前から技術のみに依存するのではなく化石燃料を使わない方法で化石燃料由来排出量を減らしてきた北欧諸国[1][2][3]などは京都議定書の目標値が緩く設定されており[4]、例えばスウェーデンは +4%が認められている[注釈 1]など、具体的な成果を挙げている国については相応の評価がされている。
遵守

気候変動枠組条約および京都議定書により定められた義務については、その約束が遵守されることを担保するため、罰則規定のように機能する規定が設けられることとなった。具体的には締約国会議7および締約国会議/moP1で決定され、疑義が唱えられた際の審議・判断を行う遵守委員会が設けられるとともに、不遵守時には次のような措置が取られることとなっている。
報告義務不遵守
[5]
気候変動枠組条約および京都議定書による温室効果ガス排出量管理に必要な各種排出量および森林吸収量の変化を推計するための基礎的数値については、各国が集計し報告することとなっている。この報告に問題があった場合には京都メカニズムへの参加資格を喪失する。
排出枠不遵守 [6][7]
京都議定書により約束した割当量を超えて排出した場合には、

超過した排出量を 3割増にした上で次期排出枠から差し引く。

排出量取引において排出枠を売却できなくなる。

締約状況
発効条件

発効の条件は、以下の両方の条件を満たす必要がある(京都議定書25条)[8]

55か国以上の国が締結

締結した附属書I国(先進国、積極的に参加した諸国)の合計の二酸化炭素1990年の排出量が、全附属書I国の合計の排出量の55%以上

後者の条件について、世界第二位の温室効果ガス排出国であるアメリカ合衆国が国内事情により締結を見送っている。

経済発展をおこなう以上、多量の二酸化炭素を排出せねばならないと考えられたため発展途上国の自発的参加が見送られ、当初は推進していたアメリカ合衆国も後に受け入れを拒否[注釈 2][9]ロシア連邦も受け入れの判断を見送っていたため、2004年ごろまでは議定書の発効が行われていない状況であった。

2004年に、ロシア連邦が批准したことにより、2005年2月16日に発効した。日本においても、2005年1月26日に公布及び告示され(平成17年条約第1号及び外務省告示第58号)、同年2月16日から効力が発生している。

先進諸国の中で京都議定書を批准していないアメリカ合衆国政府は、産業界の自己経済利益のみを追求する考え方に基づき取り組みを拒否しているとの非難を国内外から浴びている[10]。同様に批准していなかったオーストラリアでは世論の高まりを受けて総選挙により政権交代し、直後の 2007年12月3日に批准した[11]

なお、日本では2002年5月31日に国会で承認され、2002年6月4日に国際連合に受諾書を寄託した。
署名・締約国数

以下に、署名・締約国数[12][13]を示す。各国の批准の状況を示した図
(2012年2月時点)
■: 数値目標をもつ締約国(主に先進国)
■: 数値目標をもたない締約国(主に発展途上国)
■: 態度未定・不明
■: 批准を拒否している国
■: 議定書を離脱した国

署名国:83か国

締約国:192か国

なお、批准を拒否している米国においては、219都市が独自に京都議定書を批准している[要出典]。
京都メカニズム

国内での単なる排出量削減を除く植林活動や、国外での活動、削減量の国家間取引など、温室効果ガスの削減をより容易にするための規定で、柔軟性措置とも呼ばれる。一般に、クリーン開発、排出量取引、共同実施の 3つのメカニズムを指す[14]が、これに吸収源活動を含めることもある。
クリーン開発メカニズム

クリーン開発メカニズム (CDM: Clean Development Mechanism) とは、先進国開発途上国技術資金等の支援を行い温室効果ガス排出量を削減、または吸収量を増幅する事業を実施した結果、削減できた排出量の一定量を先進国の温室効果ガス排出量の削減分の一部に充当することができる制度である。


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