井伊直弼
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幕末の動乱の中で井伊直弼

彦根藩時代は藩政改革を行い、名君と呼ばれたといわれる。

嘉永6年(1853年)、アメリカ合衆国ペリー艦隊来航に伴う江戸湾(東京湾)防備に活躍したが、老中首座の阿部正弘がアメリカの要求に対する対策を諮問してきたときには、「臨機応変に対応すべきで、積極的に交易すべきである」と開国論を主張している(ただし、直弼の開国論を「政治的方便」とする説もある(後述))。

安政2年(1855年)、左近衛権中将に遷任し、掃部頭は兼任となる。安政4年(1857年)、従四位上に昇叙される。

このころ幕政は、嘉永から安政年間にわたって老中首座の阿部正弘によってリードされていた。阿部は、幕政を従来の譜代大名中心から雄藩(徳川斉昭松平慶永ら)との連携方式に移行させ、斉昭を海防掛顧問(外交顧問)として幕政に参与させた。斉昭はたびたび攘夷を強く唱えた。しかしこれは、溜間(江戸城で名門譜代大名が詰める席)の筆頭であり、また自ら開国派であった直弼としては許しがたいものであった。直弼ら溜間詰諸侯と、阿部正弘・徳川斉昭の対立は、日米和親条約の締結をめぐる江戸城西湖の間での討議で頂点に達した。このため斉昭は阿部に迫り、老中の松平乗全松平忠固の2名の更迭を要求する。

安政2年(1855年)8月4日、阿部はやむなく両名を老中から退けた。乗全、忠固はともに開国・通商派であり、また乗全と直弼は個人的に書簡をやり取りするほど親しかったからである。直弼は猛烈に抗議し、溜間の意向を酌んだ者を速やかに老中に補充するよう阿部に迫った。阿部はこれまたやむなく溜間の堀田正睦(開国派、下総佐倉藩主)を老中首座に起用し、対立はひとまず収束したが、これは乗全、忠固の罷免に対して、直弼を筆頭とする溜間諸侯が一矢報いた形といえる。

安政4年(1857年)、阿部正弘が死去すると堀田正睦は直ちに松平忠固を老中に再任し、幕政は溜間の意向を反映した堀田・松平の連立幕閣を形成した。さらに第13代将軍・徳川家定継嗣問題で紀伊藩主の徳川慶福を推挙し、一橋慶喜を推す一橋派の徳川斉昭との対立を深めた。「井伊直弼大老職就任誓詞控」

安政5年(1858年)、松平忠固や水野忠央(紀州藩付家老)ら南紀派の政治工作により、直弼は江戸幕府の大老に就任した。就任直後の6月、直弼は孝明天皇の勅許無しでアメリカと日米修好通商条約を調印し、無断調印の責任を、自派のはずの堀田正睦、松平忠固に着せ、両名を閣外に逐い、かわりに太田資始間部詮勝、松平乗全の3名を老中に起用し、尊皇攘夷派が活動する騒擾の世中にあって、強権をもって治安を回復しようとした。病弱な将軍・家定の後継問題では紀州藩主の徳川慶福を擁立して第14代将軍徳川家茂となし、一橋慶喜を推薦する水戸徳川家の徳川斉昭や松平慶永らを蟄居させ、川路聖謨水野忠徳岩瀬忠震永井尚志らの有能な吏僚らを左遷した。

また閣内でも直弼の方針に反対した老中・久世広周寺社奉行板倉勝静らを免職にした。故に尊王志士達から憎まれた。安政6年(1859年)、正四位上に叙せられる。


最期彦根城金亀児童公園にある井伊直弼銅像

直弼の対応に憤った孝明天皇は、戊午の密勅を水戸藩に発し、武家の秩序を無視して大名に井伊の排斥を呼びかける。前代未聞の朝廷の政治関与に対して幕府は態度を硬化させ、直弼は水戸藩に密勅の返納を命じる一方、間部詮勝を京に派遣し、密勅に関与した人物の摘発を命じる。こうして開始された安政の大獄により多数の志士(活動家)や公卿(中川宮朝彦親王)らを粛清したが、尊攘派の怨嗟をうけ、安政7年(1860年)3月3日に水戸藩浪士により、江戸城桜田門付近で暗殺された(桜田門外の変)。享年46(満44歳没)。後を次男の井伊直憲が継いだ。

著作に『井伊大老茶道談』『茶湯一会集』などがある。

現在、彦根城内の他に横浜市の掃部山公園内に開国断行を顕彰して、元藩士らにより銅像が建てられた。しかし、条約調印による開国の功績については評価が分かれている。

死後の文久2年(1862年)、安政の大獄を行なったことを罪にされて、幕命により彦根藩は10万石減封されている。なお、彦根市と水戸市は、明治百年を契機に歴史的わだかまりを超え、昭和43年(1968年)に「親善都市」提携を行った。

肖像画は狩野永岳の作と、直弼の四男・井伊直安の作が知られている。墓所は井伊家の菩提寺である豪徳寺東京都 世田谷区)。


人物・逸話

部屋住みの時代に儒学国学、曹洞宗の、書、絵、歌、剣術居合槍術弓術砲術柔術などの武術茶の湯能楽などの多数の趣味に没頭していた。特に居合では新心流から新心新流を開いた。茶の湯では「宗観」の名を持ち、石州流を経て一派を確立した。著書『茶湯一會集』巻頭には有名な「一期一会」がある[2]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki