中高一貫校#問題点および 格差社会#教育による階層化も参照
中高一貫校では高校・後期課程進学時に高校受験が不要または簡単な試験で済むため、6年間のうち大部分を試験勉強に追われずに過ごせるという点が人気の一因となっている。これは、従来、一定以上の学力成績を達成していれば確実に地元の公立普通科高校に進学できるようにした総合選抜制度などで実現されていたことでもある(その後、総合選抜は進路選択の余地が少ないなどの拘束性が嫌気されて、徐々に衰退していった)。高校受験などの負担が少ないことは大きなメリットの一つであるが、主に生徒自身の学習態度の違いによって、学年が上がるにつれて、学校内での生徒間の学力差が顕著になる傾向がある。
中高一貫校の中には、高校段階で募集をしていない学校も多いため、学校の校風が自分に合わなくても別な学校に進学しにくいという問題もある。それでも高校募集をしている高校に受かれば転校は可能だが、中学校によっては、外部の高校を受験すると落ちた場合でも附設の高校に内部進学する資格を失ってしまうというペナルティ規定がある場合もある。なお、私立大学の附属校は一般入試を受けなくても大学に内部進学できる場合が多く、そのため難関大学の附属校は人気が高くなっている。
また、中高一貫校では、教育熱心で、そこそこ裕福な家庭で暮らしている生徒のみが6年間同じ環境で過ごす場合が多く、異質な生徒との交流機会が余り無い為、狭い世界しか知らない偏った考えの持ち主になってしまうという批判が有る[要出典]。教育学者の藤田英典は中学校の選択は親の関心が優先しがちなため公立中高一貫校も「選ばれた生徒だけの特別の学校」になるのは構造的な必然であると指摘している[1]。
しかし、公立中学校にはゆとり教育やいじめ問題や学級崩壊などの諸問題が発生する場合が比較的多い為、公立中学校に入学することへの不安も強い。また私学人の中には、「知識を磨いてこそ徳性も磨かれるため、『知育・体育・徳育』のうち知育が欠けた公立学校よりよほどよい」と主張している人もいる[要出典]。しかし、中高一貫校だからいじめ問題がないと言い切れるわけではない。
また、大学進学実績のみを重視する一部の中高一貫校の場合、素行に問題のある生徒や成績の伸びない生徒を中学卒業時点で高校へ内部進学させないなどの手法により、ビジネスライクな発想で実績を維持している学校もあり、そのようなプレッシャーが生徒間のひずみを産んでいるという声もある[要出典]。
典型的な中高一貫校の教育課程は、高校2年(中等5年)までに中高の内容を終わらせ、最後の1年で大学受験に特化した学習をするというものである。現在の学習指導要領では、中学校の内容がゆとり教育のため薄く、その代わり高校の内容が濃い。それを5年間で均等に引き延ばしているわけなので、必ずしもこの方法が詰め込み型の教育とは言えない。
中高一貫校は高い進学実績を残すのに有利とされている。例えば東京大学合格上位校の大部分を私立・国立一貫校が占めており、公立高校は浦和、宇都宮、県千葉、土浦第一、岡崎、一宮など少数にとどまっている。なお、一部の中高一貫校による(特に国公立の)医学部合格者の寡占状態が問題視されることも多いが、地方では地元の公立高校から大量合格者が出るケースも散見される ⇒[1]。
近年では公立改革が進み、日比谷や浦和などの名門公立校が進学実績を持ち直してきている。また、公立中高一貫校の設置も全国で進んでおり、小石川や県千葉といった名門公立進学校でも設置が相次いでいる。
一貫教育のメリットは中高にとどまらず、公立学校を中心として小中一貫校を設立するところも現れている。開智中学校・高等学校では、小学校も設置して小中高一貫校にする予定である。幼稚園から短期大学、大学まで擁している学校法人もある。ちなみに大部分の特別支援学校は小中高一貫校である(幼も入る場合がある)。
また、トヨタ自動車・中部電力・JR東海の中部財界3社は、2006年4月に中高一貫校「海陽中等教育学校」を愛知県蒲郡市のラグーナ蒲郡内に開校した。イギリスの名門イートン校をモデルにエリート養成を目指しており、同時に設立された学校法人海陽学園(理事長:豊田章一郎)が運営する。
特異なケースとしては、叡明館中等部・高等部という中高一貫教育の全寮制校が石川県に1984年開校したが、1995年に廃校となっている。
脚注^ 藤田英典 『教育改革--共生時代の学校づくり』 岩波書店、1997年6月20日、79-86頁。ISBN 400430511X
関連項目
学校
学校教育法
中学校 - 高等学校 - 中等教育学校
中学受験 - 高校受験
小中一貫教育