中華民国の国名表記は、中華民国政府が「全中国(China)を代表する主権国家」であるという認識に基づいている。そのために、1971年に国際連合で中華人民共和国が「全中国を代表する主権国家」として承認されてからは、国際連合の影響下にある国際機関では中華民国のことを『中華民国(Republic of China)』と称するケースが減少し、現在ではオリンピック(1976年大会以後)などのスポーツ大会や各種国際機関においては、Chinese Taipei(チャイニーズタイペイ、中華台北)という名称が使用されている。これは、国際連合ならびに同加盟国の多くが、中華民国政府を「全中国を代表する主権国家」として承認しない一方で、中華民国政府との非公式関係を維持していることによる。なお、世界貿易機関(WTO)に関しては、Separate Customs Territory of Taiwan, Penghu, Kinmen and Matsu(台湾・澎湖・金門・馬祖個別関税領域)という名称で加盟しており、Chinese Taipeiとともに中華民国の名称として使用されている。
一方、中華民國という国名やChinese Taipeiという名称について、最近では台湾地域を中心として反発が生じるようになり、李登輝元総統(任期:1988年〜2000年)を始めとする泛緑連盟の構成員・支持者達が、中華民國という現在の国号を「台灣」という名称に変更しようという台湾正名運動を興している。しかし、「中国の政党」であると自認する中国国民党を始めとした泛藍連盟の構成員・支持者達は国号変更に反対しており、この件に関する国論は二分されている。それと同時に、中華民国の一般住民の国に対する意識も1990年代から変化し始めていると喧伝される。
この様な背景もあり、中華民国政府は2003年9月以後、パスポートに、「中華民国」の正式名称とともに「台湾」を付記して発行するようになった。ただし、英語の付記では「ISSUED IN TAIWAN(台湾「で」発行)」となり、国号変更の争議にならぬように配慮している。なお、2004年9月7日に中華民国外交部のスポークスマンは「国交を持たない国に対しては「台湾」を強調することを最優先課題にし、将来的には国交を持つ国との間でも条約文書などで「Taiwan」を使用し、中華人民共和国との混同を避けるようにしたい」と話し、また、「9月7日の時点で中華民国行政院(日本の内閣に相当)は、自国の略称として第一にR.O.C.、第二にTaiwan、第三にTaiwan,R.O.C.、第四にR.O.C.(Taiwan)、第五にTPKM(Taiwan《台湾》、Penghu《澎湖》、Kinmen《金門》、Matsu《馬祖》の頭文字)を使用しているが、陳水扁総統の指示があれば使用順位を入れ替えてTaiwanを第一とする。」とも話した。その為、中華民国の対外的な略称がR.O.C.からTaiwanへと変更される可能性はあるが、仮に変更したとしても政権交代等が発生すれば元に戻される可能性もある。
日本語表記は中華民国。
マスコミでは「台湾」という表記・呼称を使用し、中華民国と他の国々を総称する際は「国及び地域」と表記している。なお、中華民国を「華」、「台湾」を「台」と略称する例もある。
日本政府は、1972年以降は中華民国を国家として承認していないが、サンフランシスコ講和条約において台湾島一帯の領有権放棄後の帰属については言明していない。また、日中共同声明でも、日本政府は「中国の立場を十分に理解し尊重する」と表明はしたが、中華民国及び台湾島一帯の地位について明確にしたわけではない。そのため、マスコミでも中華民国を「独立国」と扱わない他、国旗を掲載しないなどの「配慮」を行う一方で、雑誌や新聞、ニュースやドキュメンタリー番組からクイズ番組、バラエティ番組に至るまで、中華人民共和国とは別の「国家」として扱う上に、「中国の一部」という表現は行っていない。
中華民国の国旗は青天白日満地紅旗と呼ばれ、平等を表す白、自由を表す青、そして革命に献身した人々の血と友愛を象徴する深紅があしらわれている。
地理中華民國台湾地域の略図(東沙諸島、南沙諸島は除く)
⇒中華民國全圖(中華民国の公式国土地図)
中華民国の主張する国土の総面積は11,418,174km?である。このなかには現在中華人民共和国の中国共産党政府が実効統治している区域に加え、外蒙古(モンゴル国、トゥヴァ共和国)、清朝がロシア帝国に割譲させられた領土(江東六十四屯、パミール高原)、インドのアルナーチャル・プラデーシュ州、それにミャンマー北部の地域(ミッチーナ以北の地域、胡康河谷、江心坡及びに南坎)も含まれている。これは、中華民国が清朝の全ての国土を継承したという認識によるものであり、中華民国は国交が無いモンゴル国の独立を公式的には承認していない(詳細は中華民国における外蒙古の扱いを参照のこと)。さらに、日本の主権下にある尖閣諸島に1969年、「青天白日旗」を掲揚し、付近海域の石油採掘権をアメリカ企業に与えた上に、1971年6月以降は中華人民共和国による同様の主張に対抗するべく、領有権を主張している。
建国当初の中華民国は中国大陸を領有する国家であり、1895年に日清間で締結された下関条約により日本に割譲された台湾島一帯はその版図に含まれていなかった。台湾島一帯が中華民国領となったのは、1945年の第二次世界大戦における日本の敗戦により、台湾島一帯を「中国の一部」として中華民国が自国領として回収したことによる。その後、国共内戦の結果、中華民国は1955年までに台湾省(1947年成立)、福建省の一部以外の領地を全て喪失し、1912年の建国から一貫して統治している地は福建省の金馬地区のみとなっている。しかし「『中国』における唯一正統な政府」を自認する中華民国は大陸部の統治権を放棄せず、中華民国政府が発行する官製地図『中華民国全図』には前記地域を中華民国国土として掲載してている。しかし 2004年1月、内政部は、実行支配地域外を含めた『中華民国全図』の新規発行停止する決定を発表し、今後公式な国土範囲にも変化を来たす可能性が示唆されている。
現在の中華民国が実効支配する範囲は台湾島(台湾)一体と金馬地区(金門県)、東沙諸島、南沙諸島から成り立っており、日本や中華人民共和国、フィリピンなどと領海を接している。