中国における食品の安全性を脅かす要因として、以下のものが挙げられている。
農作物、家畜を生育する水源・土壌の汚染[2](中国の環境問題も参照)
家畜の飼育基準の不徹底(不衛生な生育環境、家畜育成用抗生物質の乱用など。トリインフルエンザ、SARSの項目も参照)
農作物を育てる際の不適切な農薬の使用(他国では既に使用禁止されている農薬の使用・不適切な使用量)[3]
製造・加工過程でのモラルの低下、不良品の混入[2]
食品添加物・内容物の偽装[4]
政府等公的機関における問題(後述)。
などがある。
中国の抗弁
中国共産党機関紙である人民日報と人民網は、2007年8月28日付の ⇒中国食品の「毒」は日本から来たと題する記事で、朝日新聞社の発行する週刊誌AERA(アエラ)の記事を引用する形で、もともと中国製の食品は安全であったが、中国の食品が農薬や抗生物質を含むようになったのは、中国に抗生物質を持ち込み、中国で品質を無視して買い叩く日本人が原因である。日本は中国の食品安全問題に対して逃れようのない責任があり、日本人が悪いのになぜ日本人はあれこれ騒いでいるのだと、日本の食品安全に対する姿勢を非難している。
この記事に関しては「買い付け」と「品質管理」との因果関係を検証もせずに責任転嫁するやや感情的な筆致であり説得力に欠けるものとなっている。
ただし、中国生産品への安全性に対する日本企業の姿勢については、朝鮮日報2007年8月19日付の ⇒中国産食品:品質重視の日本、価格重視の韓国 上 ⇒同 下と題する記事において、価格のみでなく品質・安全性も重視して中国での生産行程を管理していることが報道されてもいる。
中国の主要な農産物は米、トウモロコシ、小麦、大豆、綿、リンゴなどであり[5]、主要な畜産物は豚肉、牛肉、乳製品と卵である[6]。中国政府は農産物の生産に対して監視するとともに、食品包装、容器、添加物、薬品製造、販売事業者に対して規制を課している。2003年、中国政府は国家食品薬品監督管理局を設立して食品の規制管理部門を統合したが、同局は食品の安全問題を解決するよう増え続ける国内外の圧力にさらされてきた。
2007年の初頭にアジア開発銀行が中国政府に対する批判と早急な改革を勧告する報告書を提出すると、中国の食品の安全性に対する不安は最高潮に達した。同年国家食品薬品監督管理局は回答者の65%が食品の安全性に関心を持っているという調査結果を発表した。その後、中国人民政治協商会議のメンバーである呂建中と国務院副総理の呉儀は謝罪と食品の安全性を監視するシステムを確立すると約束する声明を発表した[7]。
中国の食品規制は複雑でその監視システムは無責任であり、監視し政策を施行する政府部局は重複し、しばしばあいまいな義務を課している。約10ある政府の関係部は食品の安全性の確保する責任を共有している。多くの地方行政機関も食品の生産と販売を監視している。WHOのヘンク・ベケダムは2007年4月9日付のウォール・ストリート・ジャーナルでこれまで施行されてきた食品や医薬品関連の法律はそれ自体が基本法の目的に沿わないその場しのぎの方法を生み出してきたと語っている[8]。中国では食品の安全性の原則が確立された1995年の食品衛生法[9]の改正以来、食品や医薬品関連の大きな法改正はされていない[10]。国務院とその下部組織である部は共に食品に関する規制を課し、指導することができる[11]。
中国における食品生産システムの変化は食品の安全性に対する問題意識を生み出している。中国の農業のシステムはそのほとんどが小さな地主農家[12]と自給自足の農家によって成り立っている。しかし中国の耕作可能地は他国より狭く、農家は高い生産性を維持するため肥料と農薬を集中的に使用している[13]。食品は海外市場と都市部のスーパーマーケットに出荷され、1990年代後半には中国の農場は特定の作物用により専門化され、地方の市場は国内外の市場により強く連結された。しかし、地方当局のほとんどは中央政府が介入しない限り、大まかな規制しか行っていない[14]。 都市部の消費者の収入が増加するとともに、食品の品質、安全性、加工過程の安全に関する要求も高まり、都市部の居住者やスーパーマーケットは国やメディアの食品問題に対する姿勢に関心を払っている[15]。
2007年7月10日、国家食品薬品監督管理局の元局長である鄭篠萸は偽薬を認可する際、企業から賄賂を受け取っていたとされ、処刑された[16]。