中国の主要な農産物は米、トウモロコシ、小麦、大豆、綿、リンゴなどであり[5]、主要な畜産物は豚肉、牛肉、乳製品と卵である[6]。中国政府は農産物の生産に対して監視するとともに、食品包装、容器、添加物、薬品製造、販売事業者に対して規制を課している。2003年、中国政府は国家食品薬品監督管理局を設立して食品の規制管理部門を統合したが、同局は食品の安全問題を解決するよう増え続ける国内外の圧力にさらされてきた。
2007年の初頭にアジア開発銀行が中国政府に対する批判と早急な改革を勧告する報告書を提出すると、中国の食品の安全性に対する不安は最高潮に達した。同年国家食品薬品監督管理局は回答者の65%が食品の安全性に関心を持っているという調査結果を発表した。その後、中国人民政治協商会議のメンバーである呂建中と国務院副総理の呉儀は謝罪と食品の安全性を監視するシステムを確立すると約束する声明を発表した[7]。
中国の食品規制は複雑でその監視システムは無責任であり、監視し政策を施行する政府部局は重複し、しばしばあいまいな義務を課している。約10ある政府の関係部は食品の安全性の確保する責任を共有している。多くの地方行政機関も食品の生産と販売を監視している。WHOのヘンク・ベケダムは2007年4月9日付のウォール・ストリート・ジャーナルでこれまで施行されてきた食品や医薬品関連の法律はそれ自体が基本法の目的に沿わないその場しのぎの方法を生み出してきたと語っている[8]。中国では食品の安全性の原則が確立された1995年の食品衛生法[9]の改正以来、食品や医薬品関連の大きな法改正はされていない[10]。国務院とその下部組織である部は共に食品に関する規制を課し、指導することができる[11]。
中国における食品生産システムの変化は食品の安全性に対する問題意識を生み出している。中国の農業のシステムはそのほとんどが小さな地主農家[12]と自給自足の農家によって成り立っている。しかし中国の耕作可能地は他国より狭く、農家は高い生産性を維持するため肥料と農薬を集中的に使用している[13]。食品は海外市場と都市部のスーパーマーケットに出荷され、1990年代後半には中国の農場は特定の作物用により専門化され、地方の市場は国内外の市場により強く連結された。しかし、地方当局のほとんどは中央政府が介入しない限り、大まかな規制しか行っていない[14]。 都市部の消費者の収入が増加するとともに、食品の品質、安全性、加工過程の安全に関する要求も高まり、都市部の居住者やスーパーマーケットは国やメディアの食品問題に対する姿勢に関心を払っている[15]。
2007年7月10日、国家食品薬品監督管理局の元局長である鄭篠萸は偽薬を認可する際、企業から賄賂を受け取っていたとされ、処刑された[16]。
中国では国務院下の約10の部局が食品の安全性を監視している[17]。これらの中には衛生部、国家食品薬品監督管理局、国家薬品監督管理局、農業部、国家工商行政管理総局(工商総局)、商務部、国家品質監督検験検疫総局(質検総局)、国家科学技術部、栄養と食品安全所が含まれる。
中国では単独の行政機関がすべての食品の安全性の責任を負うのではなく、各部の職務はしばしば重複している[17]。地方にも同様の機関があるが、中央政府とのはっきりとした上下関係はない。関係する部があまりにも多く複雑であったため、全国人民代表大会は2003年それを解消すべく国家食品薬品監督管理局を設立した。当初、同局はすべての食品の安全性の監視、規制を単独で行うことを提案した。 しかし、政府の決定により同局は単独の担当機関になることはできず、他の機関が共同、継続して食品の安全性を監視、規制することになった。