万引き
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刑法 第36章 窃盗及び強盗の罪

(窃盗)
第235条 
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

(事後強盗)
第238条 
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

(強盗致死傷)
第240条 
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(未遂罪)
第243条 
第235条から第236条まで及び第238条から第241条までの罪の未遂は、罰する。


万置き

一度万引きをして、のちのち戻す行為を、一部では万置きと言うが、たとえ「万置き」したとしても、窃盗罪の成立は妨げられず、犯罪である。窃盗罪の構成要件を考慮すれば、不法領得の意思をもってすればごく一時的な占有でも窃盗罪に問われる可能性がある。

例えば、不法領得の意思があると(客観的に)認められるような方法で、服の袖に入れたり、人の服のポケットに入れたり、個人用のバッグに入れたり、手に持ったまま店から持ち出したり、レジを通過した後の買い物袋に入れたりなどすれば、その時点で窃盗罪が既遂となる(未遂罪とはならない)。いったん既遂となれば、その後、すぐにせよ時間を置いてにせよ、店に戻したとしても、窃盗罪の成立は妨げられない。

「万置き」は、後に述べる少年等の悪質な度胸試しとして行われる事が多い犯罪類型である。

その他

例えば、コンビニ店内に設置してある雑誌コーナーから、トイレ内(大便時)に雑誌を持ち込んで読んだ後、元の場所に返して置く行為は利益窃盗として不可罰だが、わざと封をしてある雑誌のビニール袋・テープを破る、その場所に雑誌を放置する行為が、故意になされたことが明らかである場合は器物損壊罪に該当する。

器物損壊罪とは他人の物を損壊し、それを傷害する行為を罰する罪であり、本罪としては人の生命・身体に対する行為と異なり、法益侵害が軽微に止まることが多い為に、親告罪であり過失犯規定もない。


万引きの変遷

1970年代までは、経済的理由から万引き行為に走ることもあったが、それ以降は前述の通り、客を装って一点、若しくは複数点の商品をかすめ取る行為が主流で、少年グループの度胸試しの一環として行われる事もあった。後に、おとりを仕立てて、商品の説明をうけたり、支払いをしている最中に犯行を行うなどの巧妙な計画性のある手口が用られるようになった。

また、書店で店員の面前でボストンバッグなどに詰め込めるだけの商品を詰め込んで堂々と逃亡し、奪取した書籍を新古書店で売りさばくという大胆な万引き行為もある。ドラッグストアやコンビニエンスストア等で単価の高い商品(養毛剤、化粧品、健康食品等)のみを狙って、見張り役、実行役、隠蔽役、店員の気を引く役などで数人のチームを構成し、チームプレーにより同一商品を大量に窃取する事案が発生している。この場合、店側の金銭的損害は大規模なものになり、頻繁に行われると経営に影響を与えかねないケースもある。

一方で近年では主婦や未成年などが遊び感覚や軽い気持ちで万引きに手を染め、常習化するケースが増えており問題視されている。

また、『万引き』という犯罪を利用して人を陥れるために、店の商品を無断で無関係な他人のバッグ等に入れ、その人を万引き犯に仕立て上げてしまうケースもある。単に万引き犯に仕立て上げる事自体が目的のケースや、他の金品の万引きついでに面白半分に実行するケースもある。このような場合でも、事実が明らかになれば、窃盗の実行者は無断で他人のバッグ等に入れた者であり、窃盗の意思の無い入れられた者に犯罪は成立しない(間接正犯、道具の理論。なお、入れられた者に窃盗の意思がある場合は単なる共犯である)。


万引き対策

食料品や雑貨などでは店員による目視、監視カメラの設置等が一般的である。しかし、店員の監視は人件費や通常の業務などを考えると、どうしても人を割けない事情もある。監視カメラにも死角があり、いずれも限界がある。


万引き防止システム電波式の万引き感知ラベル

電子機器やソフトウェアなど高額商品の場合、磁性体(磁気式-EM)やICチップ(電波式-RF)を利用した商品タグや小型のブザーを商品に貼付もしくは装着し、店舗入り口に設置された検知器で検出すると言う方式が一般に採用されている。 この方式ではコストはかかるものの、個別に防犯対策を施せる事から、各種量販店やレンタルビデオ店などでも普及している。 しかし、検知を無効化したり、防犯装置自体を破壊したりして窃盗する者も出現しており、犯行はより巧妙化している。

また、衣類に関しては、洗浄の難しい染料系インクを加圧封入したガラス管を装着した特殊なタグを容易に切断できない高張力高分子ワイヤで商品に装着し、所定の治具以外で取り外すと商品・犯人共にマーキングされるという方法で万引きを抑止している。

しかしながらシステム導入費用や導入後の維持に多大な手間と費用がかかることから小規模小売店などは導入に躊躇している。


万引きGメン

また近年は、私服で巡回を行い不審者を監視する警備員「店内保安員」を配置する店が増えている。売り場にそぐわないごつい体格の男、しわくちゃになった小さなレジ袋(長時間の巡回によりしわくちゃになるものと思われる)を持っている者、あるいはどう見てもお買い物を楽しんでいる客とは思えない厳しい視線を投げかける者などが、店内を不自然にうろうろ歩いていることが多く直ぐに判別が付くので、犯罪抑止効果も狙っているものと思われる。しかしながら、買い物客としては行動があまりにも不自然なので、一般客から不快感を持たれたり逆に不審人物として制服警備員に通報されるケースもある。

ワイドショーや犯罪関係の番組などで、こうした警備員を「万引きGメン」として その勤務の模様を放送することがある。その勤務内容は、
店内で不審な行動を取っている客を監視し、その客がバッグやポケットに商品を入れるのを確認する。

その後その客が店を出て、犯罪が成立した時点で声を掛ける

というものである。 一連の万引きGメンと万引き犯人のやりとりを放送することは万引きの抑止にもなるという声もあるが、この企画が放送されるとやらせではないのかなどと抗議・苦情が来る場合もある。

なお、犯人を捕まえて連行、警察官が駆けつけるのを待つ事を“キャッチ” “捕捉”と呼ぶ。


犯人への対応

秋葉原電気街等の小型高価格製品を扱う店舗が多く、かつ、中古品の買い取りを行う店舗が存在する場合、荒稼ぎが可能となるとして、そのような個所では厳重な警戒が行われ、初犯であっても即座に警察に引き渡す・職場などに連絡するなどの厳しい措置が取られている。

また、刑法改正により窃盗罪にも罰金刑(最高50万円)が新設施行され、従来は起訴便宜主義により起訴猶予微罪処分となっていた多くの万引き事犯でも、今後は略式命令等による罰金刑宣告処分が増加する可能性がある(ただし少年保護事件の処理に影響あるかは不明である)。


万引きに関連した事件など

2003年1月に、・京急線八丁畷駅近くの古書店で万引きをして店員に補導された少年が、その後引き渡された警察官のもとから逃走し、遮断機の降りた踏切を越えようとして走ってきた電車に撥ねられ死亡するという事故が起きた。

この事故がテレビ等で取り上げられた際、少年の父親やテレビでインタビューを受けた一般人の一部が書店側の責任を問う発言をし、マスメディアで放送された。その後、書店に対し全国から多数の抗議が寄せられ書店は閉店した。

その後、少年の万引きが初犯でなかったことや、補導時の少年の行動等に言及し、書店側の行動が妥当な対応であったとして、書店を擁護する声が上がり、書店に対する多数の応援も寄せられた。

これを受けて書店側は営業を再開したが、その後再び閉店した。

以上の経緯から、マスメディアによる当初からの報道内容や姿勢、中立性について糾弾する声があがった(報道のあり方に関しては報道の自由ならびに報道被害の項を参照のこと)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki