万年筆は軸の中にインクをためて、そのインクを毛細管現象によりペン先に導くことによって筆記可能な状態を保つ構造をもつ。したがって、使用する前にペン軸の内部にインクを入れる必要がある。
インクカートリッジの形状は各社さまざまであるが、カートリッジインクの場合はカートリッジを装着するだけで使用可能となる。具体的には、首軸部分にカートリッジを正しい方向でおくまでまっすぐ(回転させるようにしてはいけない)差し込めばよい。この際、カートリッジの側面を強くつまんでいるとインクが飛び出すことがある。シェーファーだけは少し変った方法を推奨しており、カートリッジを、軸(首軸ではないほう)の中に入れそのまま首軸にねじ込む方式である。
同じメーカーの同じカートリッジを採用したペンであっても、コンバーターを利用できるものとできないものがあったり、固定方式などの点においてバリエーションが存在する場合があるので、原則として取扱説明書に記載されたメーカー推奨の組み合わせで使用する方が良いであろう。欧州共通規格を採用したものであっても、他社のコンバーターを使用するとインク漏れなどの原因となることがある。
吸入式やコンバーター式の万年筆を使う場合には、ビン入りのインクを使用することになる。
細かい手順は万年筆やコンバーターの種類によって異なるので製品に付属する説明書に従って操作しなければならないが、大まかな手順は共通している。まず、インクタンクの内部から空気を追い出すように操作する。その状態のままインクビンのインクの中にペン先を入れて、吸入動作をする。このとき、ペン先をつける量はペンによって異なるがハート穴やペン芯の空気穴が完全に隠れるようでないと空気を吸ってしまうことになり、インクを充填できない。充填が終わったら、余分なインクをふき取り、使用する。
インクボトルに残っているインクの量が減ってくると、インクを吸入するのが困難になる。このような場合は、小型の容器に移し替えたり、新しいインクを継ぎ足したりして使う。ただし、古いインクは変質していたりゴミが混入していたりする場合も多いので、インクの継ぎ足しはあまり推奨できる行為とはいえない場合が多い。 モンブランのインク瓶やパーカーのインク瓶(ペンマンインクのみ)では、瓶内に小区画を設定して、そこにインクを流し込むことで、インクの量が少なくなってもペン先を十分に浸すことが出来るようにするなどの工夫を行っている。
一般的には、軸を親指と人差し指の2本の指ではさむようにしてもつのが良いとされる。どこを持つかは、その人の手の大きさ、万年筆の大きさ、重量バランスなどにも拠るので一概には言えない。ヨーロッパでは万年筆の持ち方が初等教育段階で指導されており、学童用の万年筆には正しいもち方ができるように面取りしてあるものもある(ペリカンジュニアなど)。
ペン先を紙に当てる角度は、ペン先の研ぎ方にも拠るが、かなり寝せて書くのが一般的のようである。ボールペンのように垂直に近い角度で使うのは推奨されない。
欧文を書く場合は、寝せて書くほうが書きやすい、漢字、日本語を書く場合にはこれは当てはまらず、やはり、鉛筆同様の角度50度前後の角度で書いたほうが書きやすい。
ねじれ方向の角度に関しては、通常のペン先の場合、ペン先が紙に対して平ら、筆記方向に水平にあたるようにしなければならない。もし、ペン先がねじれて紙と接するように使ったとすると、引っかかるばかりでなく、割り切りの内側の角が削られて、かすれの原因ともなる。ただし、楽譜用など特殊用途のペン先には、ペン先を紙面・筆記方向に垂直に当て、縦線を細く横線を太く引く設計のものがある。
かなり弱い筆圧でも筆記に支障はない。むしろ強い筆圧でやわらかい(よくしなる)ペン先のものを使うと割り切りが開いてしまいうまく書けない。そのため一般に筆圧が強い人には硬いペン先のものの使用が推奨されている。いずれにしてもペン先が反り返ってしまうほど高い筆圧を掛けての使用は故障の原因となる。
インクの出が悪い等、万年筆の故障のほとんどは、長期間使用しないことにより内部でインクが固着することによって引き起こされる。このため、万年筆にとっては、日常的に使用され、ペン先にインクが供給され続けることが一番のメンテナンスである。吸引式の場合インクの補充の際、インクが本体の埃や、固まりかけたインクの塊を押し流す役割を果たす。カートリッジ式の場合、この機能を期待できない。 逆に、長期間使用しないときは、内部のインクを抜き、洗浄し乾燥して保管する必要がある。
洗浄には水またはぬるま湯を使用し、洗剤はペン先及び本体を傷める恐れがあるので使用しない。カートリッジ式の場合はカートリッジを外しペン先を水またはぬるま湯に浸してそのまま数日放置し、内部のインクが流れ出るのを待つ。 一方、吸入装置を内蔵する万年筆またはコンバーター式万年筆の場合はインクが内部に残っている場合変質を防ぐ為内部に残っているインクを全て廃棄し、水にペン先を浸け何度か水の吸入・排出を繰り返し、汚れた水を交換しながらペン先から出る水が無色になるまで続ける。洗浄の際に熱湯を使うと万年筆本体を傷めるので絶対に使用してはならない。洗剤を使用することも禁忌である。
インクが詰まってしまいどのような方法を用いてもそれを取り出すことできない場合、推奨されないが低周波超音波洗浄器を用いて洗浄する場合がある。この方法は、1度入れたインクを別の色に変えたいときなどに用いると中の洗浄も短時間で終了できるので便利である。ただし、超音波洗浄機はその種類により周波数や音波強度に差が大きく、ペンの使用にかかわる悪影響を及ぼす場合がある。
トピックス
第二次世界大戦中米軍はフィリピンの抗日ゲリラに対し、パーカー社の万年筆を勲章の代わりに授与した。
インクフローの表現として使われる「ヌラヌラ」という言葉は、山口瞳が「万年筆売場にて」というエッセイ(『変奇館の春』所収)で初めて使った[4]。
メーカー
※リストは一般に知名度が高いブランドを上位にしている。
日本
パイロットコーポレーション - 国産最大手。スタンダードな製品から軸に蒔絵を施した最高級品まで幅広く取り揃える。カスタムシリーズやノック式のキャップレスが代表的製品。
ナミキ - パイロット社のブランド。元々は海外における同社の商標だったが、現在では国内でも最高級蒔絵万年筆に限り使用されている。
セーラー万年筆 - 同社の職人である長原宣義による特殊なペン先は評価が高い。プロフィットシリーズが代表的製品。
プラチナ萬年筆 - 万年筆通であった梅田晴夫と研究グループが開発したプラチナ#3776はロングセラー商品となっている。
中屋万年筆 - 元プラチナ萬年筆の職人が創業。注文者の好みに応じて、ペン先やデザインを調整している。
カトウセイサクショカンパニー - 現代でもセルロイド製のペンを手作りで作っている。
ロングプロダクツ - 現代でもセルロイド・アセチロイド製のペンを手作りで作っている。
オート
三菱鉛筆 - バレンチノ・ガラヴァーニ(Valentino Garabani、スーツのデザイン等を手がけている)と契約し、そのデザインの元で万年筆及びボールペン、シャープペンを販売していた。