万年筆
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カートリッジ式

現在は、インクの補充を簡単に行うため、インクを詰めたカートリッジが広く使われている。カートリッジの形状は原則としてメーカーごとに異なっており、ペンの製造メーカーから供給されるカートリッジを購入し使用するのが一般的である。 ヨーロッパのメーカーの多くでは欧州共通規格のカートリッジが採用されており、この場合は欧州共通規格を採用する他のメーカーのインクを使用することが可能である。 ただし欧州のメーカーであっても独自規格のカートリッジを採用するメーカーも多く、またペンの種類によって利用可能なカートリッジが異なっている場合もある。また、カートリッジ式の場合、インクに掛かる費用が吸入式の5倍近くになると言われている。

カートリッジ専用(コンバーター不可)の万年筆においてインクにかかる費用を抑えるために、使用後のカートリッジに注射器スポイト等で瓶のインクを詰めれば瓶のインクを使えるが、カートリッジが劣化した時や、カートリッジの差し込み口が緩くなってしまうと、インクが漏れてしまい危険である。もちろん、メーカーの保証外行為のため自己責任となる。また、他社のコンバーターが偶然装着できることもある。


インク止め式

昭和30年頃までは主流の方式であった。また、海外では同様の構造は見られず、日本独自の方式である。なお、海外のアイドロップ方式とは異なる。

構造は大きく分けてキャップ、首軸、胴軸、尻軸に分かれている。首軸、尻軸はねじが切られており、首軸を外してスポイトでインクを直接胴軸に入れる方式である。 筆記の際には尻軸を緩めペンを縦に振ってから筆記する。もしくは、尻軸を完全に緩め、引いた後押し込む。これによりペン芯にインクが供給され筆記可能となる。 前者の方法では、インクが飛んでしまう事が多い。しかし、後者の方法では、加減によりボタ落ちを防げる。 また、尻軸を緩めるのは、胴軸の中にあり、尻軸と直結しているエボナイトの棒状の栓を緩め、インクがペン芯に行き渡るようにするためである。尻軸を閉めている時は、胴軸内のエボナイトの棒がペン芯へのインクの供給路を塞いでいる。

胴軸全体がインクのタンクとなるため、他の方式と比べインク容量は非常に多い。 軸の素材としてはエボナイトまたはセルロイドが殆どである。


万年筆のインク


インクの種類と組成

一般に万年筆用のインクとしては染料系のインクが用いられており、耐光性・耐水性に乏しい場合が多い。

旧来、万年筆を使用してそれらの性質を必要とする公文書などを書き記す場合、化学反応によって紙に定着するタイプのブルーブラックインクが使われてきた。このインクはイオンの状態で鉄を含んでおり、これが酸化されて黒色の沈殿を生じる事によって紙に定着する。これの反応が進む様子はインクの色によって知ることができ、筆記直後には比較的青い色をしているものが、日にちが経って反応が進むと次第に黒ずんでくる。このタイプのインクは、強い酸性を示し、金属を冒す事でも知られる。万年筆のペン先として金が多用される理由の一つは、酸性のインクに冒されない耐薬品性の強さである。

現在生産されているブルーブラックインクは単にブルーとブラックの中間の色彩を持つ染料インクであり、メーカーによる違いは有るものの耐水性や耐光性には乏しい場合が多い。なお、保管状態で反応が進行してしまうため、化学反応で着色するタイプのブルーブラックインクカートリッジは存在しない[要出典]。

顔料系のインクは鮮やかな色彩を醸し出し、耐水性、耐光性はあるが、インクが乾くと目詰まりを起こし万年筆が使えなくなるので敬遠されてきた。製図漫画の製作その他によく使われるインディアインク(インディアンインク)も詰まりやすいことから使えない。カーボン系の黒も同じ理由で敬遠されてきたが、現在では超微粒子顔料の万年筆用カーボンインクが販売されている。

万年筆のインクには色素成分の他に、界面活性剤が含まれている。界面活性剤は、紙にインクを染み込ませる役割をしている。界面活性剤の量によって染み込み具合が大きく異なるため、ペン芯とインクとの相性や裏抜けと言った現象が発生する。また、ペン芯からペン先へのインクの伝わり易さをインクフローという。


インクの供給形態

インクは、大きく分けてビン入りとカートリッジ入りの二種類の形態で流通している。

ビン入りのインクは、一般的にはカートリッジ式のものより単価が安く、色の種類も豊富である。化学変化により紙に定着するタイプのブルーブラックインクや顔料インクなどの特殊インクについても瓶詰めで供給されている場合が多い。このため、万年筆を多用する人や万年筆に趣味性を求める人などに愛用されている。

これに対してカートリッジインクの長所はインクの充填作業が簡単になることと、小分けされたプラスチックカートリッジの状態であることから、持ち運びが楽なことである。ただし、典型的な色しか用意されていないことが多く、ボトルインクでは化学変化により紙に定着するタイプのブルーブラックインクを供給しているメーカーであっても、カートリッジインクの場合は一般に通常の染料インクであり耐水性・耐光性は期待できない。


使用方法


インクの充填

万年筆は軸の中にインクをためて、そのインクを毛細管現象によりペン先に導くことによって筆記可能な状態を保つ構造をもつ。したがって、使用する前にペン軸の内部にインクを入れる必要がある。


カートリッジインク式万年筆の場合

インクカートリッジの形状は各社さまざまであるが、カートリッジインクの場合はカートリッジを装着するだけで使用可能となる。具体的には、首軸部分にカートリッジを正しい方向でおくまでまっすぐ(回転させるようにしてはいけない)差し込めばよい。この際、カートリッジの側面を強くつまんでいるとインクが飛び出すことがある。シェーファーだけは少し変った方法を推奨しており、カートリッジを、軸(首軸ではないほう)の中に入れそのまま首軸にねじ込む方式である。


コンバーター(吸入器式)の場合

同じメーカーの同じカートリッジを採用したペンであっても、コンバーターを利用できるものとできないものがあったり、固定方式などの点においてバリエーションが存在する場合があるので、原則として取扱説明書に記載されたメーカー推奨の組み合わせで使用する方が良いであろう。欧州共通規格を採用したものであっても、他社のコンバーターを使用するとインク漏れなどの原因となることがある。


ビン入りのインクを補充する場合

吸入式やコンバーター式の万年筆を使う場合には、ビン入りのインクを使用することになる。

細かい手順は万年筆やコンバーターの種類によって異なるので製品に付属する説明書に従って操作しなければならないが、大まかな手順は共通している。まず、インクタンクの内部から空気を追い出すように操作する。その状態のままインクビンのインクの中にペン先を入れて、吸入動作をする。このとき、ペン先をつける量はペンによって異なるがハート穴やペン芯の空気穴が完全に隠れるようでないと空気を吸ってしまうことになり、インクを充填できない。充填が終わったら、余分なインクをふき取り、使用する。

インクボトルに残っているインクの量が減ってくると、インクを吸入するのが困難になる。このような場合は、小型の容器に移し替えたり、新しいインクを継ぎ足したりして使う。ただし、古いインクは変質していたりゴミが混入していたりする場合も多いので、インクの継ぎ足しはあまり推奨できる行為とはいえない場合が多い。 モンブランのインク瓶やパーカーのインク瓶(ペンマンインクのみ)では、瓶内に小区画を設定して、そこにインクを流し込むことで、インクの量が少なくなってもペン先を十分に浸すことが出来るようにするなどの工夫を行っている。


筆記法

一般的には、軸を親指と人差し指の2本の指ではさむようにしてもつのが良いとされる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki