万年筆はインクを充填する方式により大きく2通りに分けられる。ひとつは、ビンに入ったインクを吸入する方式、もうひとつはカートリッジにつめられて小分けされた状態で流通しているインクをつかい、ペン軸内にカートリッジをセットして使用する方式である。
ペン軸内にインクを吸入するための機構が内蔵されているものを吸入式と言う。 ビン入りインクを吸入して用いる方法専用のもので、後述するカートリッジ式や、コンバーター(吸入器)式のものよりも多くのインクを一度に充填する事が出来る。 万年筆が考案された当初から使われている形式で、現在でも高価格帯の製品を中心に多くのモデルが製造されている。
吸入装置は本体内を負圧にし大気圧でインクを本体内に送り込むもので、ピストン式のもの等様々な方式がある。使用出来るインクの種類が多い上、インクを出し入れするときに細かいゴミなどを掃除する事が可能である(なお、モンブラン等の一部のメーカーは洗浄成分をインクに混入させている。)。 カートリッジ式を採用した製品では、コンバーターを装着しない限りこの掃除機能は望めない。しかし、後述のコンバーター(吸入器)式に比べると、インクの吸入機構が劣化した場合において、修理に出さなくてはならない場合がある上、ペン内部の洗浄がしづらいといった欠点がある。
カートリッジ、コンバーター両用式と明記されているものが利用できる。 カートリッジを刺す部位にコンバーターと呼ばれる吸入器を装着し、インク瓶からインクを吸入出来る様にするものである。カートリッジ装着部に取り付ける構造上の都合から、吸入出来る量はカートリッジ式とほぼ同じか若干劣るものの、基本的には吸入式と同じく使用出来るインクの種類が多く、インク装填時にペン内部を掃除する事が出来る等の利点がある。そのため、昨今の主流であるカートリッジ式と違い、コンバーター購入等の初期費用が掛かる事が多いが、インクに掛かるコストを考慮に入れると長時間筆記し続けることが多い人には適した方式とも言える。
吸入式に比べ、コンバーターを買い換える事で吸入機構を新しく出来るため、吸入機構が劣化しても修理に出す必要が無く簡単に交換できる点や、ペン内部の洗浄がしやすいといった利点がある。しかし、吸入式に比べるとインクを保持できる量が少ないといった欠点がある。最近は、吸入式と違い後述のカートリッジ式と機構を共用できる事から、コスト面からこの方式を吸入式の代わりとして用いているメーカーが増加傾向にある。
現在は、インクの補充を簡単に行うため、インクを詰めたカートリッジが広く使われている。カートリッジの形状は原則としてメーカーごとに異なっており、ペンの製造メーカーから供給されるカートリッジを購入し使用するのが一般的である。 ヨーロッパのメーカーの多くでは欧州共通規格のカートリッジが採用されており、この場合は欧州共通規格を採用する他のメーカーのインクを使用することが可能である。 ただし欧州のメーカーであっても独自規格のカートリッジを採用するメーカーも多く、またペンの種類によって利用可能なカートリッジが異なっている場合もある。また、カートリッジ式の場合、インクに掛かる費用が吸入式の5倍近くになると言われている。
カートリッジ専用(コンバーター不可)の万年筆においてインクにかかる費用を抑えるために、使用後のカートリッジに注射器やスポイト等で瓶のインクを詰めれば瓶のインクを使えるが、カートリッジが劣化した時や、カートリッジの差し込み口が緩くなってしまうと、インクが漏れてしまい危険である。もちろん、メーカーの保証外行為のため自己責任となる。また、他社のコンバーターが偶然装着できることもある。
昭和30年頃までは主流の方式であった。また、海外では同様の構造は見られず、日本独自の方式である。なお、海外のアイドロップ方式とは異なる。
構造は大きく分けてキャップ、首軸、胴軸、尻軸に分かれている。首軸、尻軸はねじが切られており、首軸を外してスポイトでインクを直接胴軸に入れる方式である。 筆記の際には尻軸を緩めペンを縦に振ってから筆記する。もしくは、尻軸を完全に緩め、引いた後押し込む。これによりペン芯にインクが供給され筆記可能となる。 前者の方法では、インクが飛んでしまう事が多い。しかし、後者の方法では、加減によりボタ落ちを防げる。 また、尻軸を緩めるのは、胴軸の中にあり、尻軸と直結しているエボナイトの棒状の栓を緩め、インクがペン芯に行き渡るようにするためである。尻軸を閉めている時は、胴軸内のエボナイトの棒がペン芯へのインクの供給路を塞いでいる。
胴軸全体がインクのタンクとなるため、他の方式と比べインク容量は非常に多い。 軸の素材としてはエボナイトまたはセルロイドが殆どである。
一般に万年筆用のインクとしては染料系のインクが用いられており、耐光性・耐水性に乏しい場合が多い。
旧来、万年筆を使用してそれらの性質を必要とする公文書などを書き記す場合、化学反応によって紙に定着するタイプのブルーブラックインクが使われてきた。このインクはイオンの状態で鉄を含んでおり、これが酸化されて黒色の沈殿を生じる事によって紙に定着する。これの反応が進む様子はインクの色によって知ることができ、筆記直後には比較的青い色をしているものが、日にちが経って反応が進むと次第に黒ずんでくる。このタイプのインクは、強い酸性を示し、金属を冒す事でも知られる。万年筆のペン先として金が多用される理由の一つは、酸性のインクに冒されない耐薬品性の強さである。
現在生産されているブルーブラックインクは単にブルーとブラックの中間の色彩を持つ染料インクであり、メーカーによる違いは有るものの耐水性や耐光性には乏しい場合が多い。なお、保管状態で反応が進行してしまうため、化学反応で着色するタイプのブルーブラックインクカートリッジは存在しない[要出典]。
顔料系のインクは鮮やかな色彩を醸し出し、耐水性、耐光性はあるが、インクが乾くと目詰まりを起こし万年筆が使えなくなるので敬遠されてきた。製図や漫画の製作その他によく使われるインディアインク(インディアンインク)も詰まりやすいことから使えない。カーボン系の黒も同じ理由で敬遠されてきたが、現在では超微粒子顔料の万年筆用カーボンインクが販売されている。
万年筆のインクには色素成分の他に、界面活性剤が含まれている。界面活性剤は、紙にインクを染み込ませる役割をしている。界面活性剤の量によって染み込み具合が大きく異なるため、ペン芯とインクとの相性や裏抜けと言った現象が発生する。また、ペン芯からペン先へのインクの伝わり易さをインクフローという。
インクは、大きく分けてビン入りとカートリッジ入りの二種類の形態で流通している。
ビン入りのインクは、一般的にはカートリッジ式のものより単価が安く、色の種類も豊富である。化学変化により紙に定着するタイプのブルーブラックインクや顔料インクなどの特殊インクについても瓶詰めで供給されている場合が多い。このため、万年筆を多用する人や万年筆に趣味性を求める人などに愛用されている。
これに対してカートリッジインクの長所はインクの充填作業が簡単になることと、小分けされたプラスチックカートリッジの状態であることから、持ち運びが楽なことである。ただし、典型的な色しか用意されていないことが多く、ボトルインクでは化学変化により紙に定着するタイプのブルーブラックインクを供給しているメーカーであっても、カートリッジインクの場合は一般に通常の染料インクであり耐水性・耐光性は期待できない。
万年筆は軸の中にインクをためて、そのインクを毛細管現象によりペン先に導くことによって筆記可能な状態を保つ構造をもつ。したがって、使用する前にペン軸の内部にインクを入れる必要がある。
インクカートリッジの形状は各社さまざまであるが、カートリッジインクの場合はカートリッジを装着するだけで使用可能となる。具体的には、首軸部分にカートリッジを正しい方向でおくまでまっすぐ(回転させるようにしてはいけない)差し込めばよい。この際、カートリッジの側面を強くつまんでいるとインクが飛び出すことがある。