レーガンのお気に入りの映画は1985年公開の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、ホワイトハウス内の専用上映室で何度も見たという[17]。この映画には、タイムマシンで30年前の1955年に戻った主人公マーティが、そこでこのタイムマシンを作った科学者ドク・ブラウンの若かりし頃と対面、自分が未来から来たことを告げる。そんなことは全く信じないドクが、「そうか、じゃあ1985年には誰が大統領になってるんだ?」
と聞くと、マーティは、「ロナルド・レーガンだ」
と答え、これを聞いたドクは呆れて、「ロナルド・レーガン?(二流)役者のか? なら副大統領は誰だ?(コメディアンの)ジェリー・ルイスか?」
と嘲笑されるシーンがある[18]。
1986年2月4日の一般教書演説で、レーガンは逆にこの映画から別のセリフを引用、「映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも言っていたように、我々の行き先には道が敷かれている必要はないのです[19]」(= 未知を恐れる必要はない)という一節を挿入して、議場の喝采を浴びている。
レーガンの茶目っ気と洗練されたジョークはアメリカを魅了したが、軽口が災いして、ひとつ間違えば外交問題に発展するか、下手をすれば全面核戦争にもなりかねないような状況を作ってしまったこともあった。
1984年8月8日、定例ラジオ演説の本番前のマイクロフォンテストで、常套句 (Testing, testing, one, two, three.) を言うかわりに、「国民の皆さま、喜ばしいご報告があります。私はただいまロシアを永遠に葬り去る法案に署名しました。爆撃は5分後に始まります[20]」
と言ってみたのである。ただの音量テストのはずだったので好きなことを言ってみただけのことだが、誰が何を間違えたのかその時マイクはオンエア状態で、まるで宣戦布告のようなこの「メッセージ」は全米のみならず、短波放送を通じて世界中の人々に聞かれてしまった。
当時は「力による平和」戦略でソ連に対しては強硬な外交路線敷いていた真っただ中だっただけに、これを聞いて青ざめる者も多かったという[21]。
注^ 1980年代のアメリカの景気は、82年から83年初頭まで後退傾向にあった他はほぼ一貫して拡大傾向にあり、これがそのまま90年の末まで続いている(厚生労働省 ⇒『海外労働情勢』1994年版)。
^ 1947年にも娘が生まれたが4ヵ月の早産で翌日に死去している。
^ フォード1187票に対し,レーガン1070票。
^ アイルランド系アメリカ人は欧州から合衆国へ組織的に移民した古参格で、強い民族意識と横の連帯を武器にアメリカ社会で確固たる地位を築いてきた。その後の欧州からの移民の中には、新天地での暮らしが少しでも容易になるよう、自らの姓を英語風のものに改める者も少なくなかった中で、誇り高いアイルランド系のアメリカ人の間でそうしたことはほとんどなかったのである。
^ アメリカ英語で Donald と Ronald は、早口で言われるとアメリカ人でもよく聞き違える名である。
^ レーガンの名が浸透した今日では、逆に「リーガン」さんたちの方が「レーガン」と呼び間違えられることが多くなっているという。
^ 護衛官が盾となって要人を救うと言うシーンは後に、クリント・イーストウッド主演の「シークレットサービス」、ブルース・ウィリス主演の「ラスト・ボーイスカウト」等において主人公の過去の英雄的エピソードとして用いられている。
^ ただしそのことが公表されたのはずっと後、レーガンが退院してからのことである。
^ ただしこの時は大統領権限の一時的移譲手続きを行わなかった。事態はそれほど緊急を要したのである。(権限委譲については「健康」の節を参照。)
^ 2005年に全米ライフル協会 (NRA) などの抵抗により効力延長手続きがされず失効。
^ “Mr. Gorbachev, tear down this wall!"
^ “I was talking about another time, another era.”
^ 1983年11月9〜12日、1986年5月4〜、1989年5月2〜7日。
^ 2006年のレーガン国葬にも当時88歳の中曾根はたっての願いで参列して故人を惜しんでいる。
^ レーガンは以前から難聴ぎみで、就任の翌年には早くも現職大統領として初めて補聴器を着用しはじめていた。しかし二期目に入った頃からその度合いが進行し、公の席でも傍らにいたナンシー夫人がことあるごとに耳打ちをするようにまでになった。この光景をアメリカのメディアは「ファーストレディーの政治へ容喙」などとして取りあげたことから、ナンシー夫人は「ナンシー・レーガン大統領」などといった陰口を後々まで叩かれることになった。
^ 最長寿は2006年12月26日に死去したフォード元大統領の93歳と165日。
^ 他にも『レッズ』などがお気に入りで鑑賞していた。